第9回 印象に残っている仕事と苦労した仕事

通訳者通信fromロンドン2018.02.16

ロンドンは今が冬本番。偏西風の関係で緯度のわりに暖かいイギリスですが、このところ、零下〜3℃で、昼間の最高気温ですら8℃と、イギリスにも冬将軍が到来しています。
年が明け、すでに2月ですが、新年の抱負は決めていますか? 私は昨年の抱負が3つとも挫折しているので(苦笑)今年はbaby stepsを抱負に取り入れました。
さて、前回は一番楽しかった案件について書きましたので、今回は印象に残っている仕事と苦労した仕事についてお話ししたいと思います。

印象に残る仕事―戦争に関わるトピック

少し前、BBCのピースボートのインタビューを英語に通訳するという仕事が入り、被爆者のインタビューを訳させてもらいました。それから少しして、ノーベル賞が発表になりました。ノーベル平和賞を受賞したのはICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の被爆者サーロー節子さんでした。被爆者インタビュー通訳の仕事をしてからあまり時間が経っていなかったこともあって、サーロー節子さんのコメントに聴き入りながら、感極まるものがありました。

BBCラジオ(Radio 1)の建物の入り口。

BBCラジオ(Radio 1)の建物の入り口。

ロンドン中心地のBBCのBroadcasting House。

ロンドン中心地のBBCのBroadcasting House。

私がいただくお仕事の中で、普段の仕事とはまた違うやりがいを感じる仕事が、テレビやラジオの通訳の仕事です。被爆者インタビューを通訳したBBCの仕事も、連絡があった時点で「今日なんだけど」というものでした。テレビやラジオの仕事(とくにBBCなど)は「今日なんだけど、何時に来られる?」というものがとても多い(というかほとんど)。

仕事で行った民放チャンネルITV(Independent Television)局の入り口の前。

仕事で行った民放チャンネルITV(Independent Television)局の入り口の前。

被爆者インタビューを通訳したBBCの仕事は、週末、家で次の案件の準備をしていたところに、連絡がありました。トピックを確認し、できると判断。2時間後には現場で作業が始まります。この日は、ディレクター(日本でいうところのデスク)と編集スタッフが編集室に入っており、映像を見ながら訳出。アウトプットが英語なので、スクリプトが上がったら担当記者がボイスオーバーを入れるのかと思っていました。

「君、できそうだね。行ってみようか。」と、急遽英語で私が訳出することになりました。ただ、繰り返し流れる映像でしたので、ぶっつけ本番ではなく、画像(え)に合わせて、ディレクターの指示を何度か仰ぎながら、OKが出るまで数回、声入れをしました。

また、テレビ局以外でも映像に合わせて通訳を入れることもあります。スイスのジュネーブの近くにあるCaux(コー)のマウンテンハウスで毎年開かれる国際会議があり、3年前に、戦後70周年を記念して、8月6日に広島デーのプレゼンテーションとスピーチを通訳させていただきました。この時も、BBCの映像に合わせて、ブースから通訳を入れる場面がありました。

被爆者インタビューのときも、戦争に関するスピーチのときも、どちらも話題が話題ですから感情が高ぶってしまいます。でもそのままでは、のどが詰まってしまって、聞き手の耳障りになってしまいます。そうならないよう、呼吸に注意を払い、息を整えてから臨みました。

スイス「コー・パレス」にある戦後間もなくからある同通ブース(そのなかの最小ブース)

スイス「コー・パレス」にある戦後間もなくからある同通ブース(そのなかの最小ブース)

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