第99回 簡単な単語の翻訳には要注意

コメント

1.

乗客はタラップを下ると、高温化した滑走路に顔を揃えた。そこで目の当たりにしたのは不可解な現象であった。米国ジェット機の車輪が、アスファルトの中へと沈み込んでいたのだ。まるでその地面が溶けたセメントであるかのように。車輪は地中の奥深くに沈みこみ、実際、飛行機を引き上げようとしたトラックにも手の施しようがなかったほどであった。航空会社は、仮に35人の乗客を追加で搭乗させていなかったら、飛行機を吊り上げることはできたはずだと悔やんでいる。後の祭りというやつだ。

<コメント>滑走路はアウト。「高温化」はわかりにくいですね。「熱くなったアスファルト」とか工夫してみましょう。「顔を揃える」は「集まった」くらいでも十分。米国ジェット機ではなくて、「USエアウェイズ」という航空会社。そのあとはまあまあ。「奥深くに」というと完全に沈んでいる印象もあるので、ちょっと工夫しましょう。トラックは引き上げようとしたのではなくて、引っ張って動かそうとしたんですね。「手の施しよう」はちょっとニュアンスが違うかな。「悔やんでいる」というニュアンスはないです。そうではなくて、35人を機外に出せば、飛行機が動かせると期待したんですね。

2.

乗客たちはタラップを降り、熱い滑走路の上に集まった。そこで彼らが目にしたのは、なんとも異様な光景だった。USエアウェイズジェット機の車輪が、生コンクリートのようにやわらかくなった黒い舗装路に沈み込んでいたのだ。実際、車輪はかなり深く埋まっていたので、航空機牽引車では引き出すことができなかった。USエアウェイズは、乗客の重量、三十五人分の重みを取り除いて軽くすれば、航空機を牽引できると期待したが、それは当てが外れた。

<コメント>結構いい感じなんですが、滑走路はアウト。「USエアウェイズのジェット機」という風に読みやすくしたいし、「航空機牽引車」もここではわざわざ使いたくないかな。tow tractorとあえて書かずに説明的に書いてあるところを汲んでもいいと思います。重量の後には「すなわち」とか入れたいところ。

<余談>実話なんですよ。実際、最近は事実と小説の境目がなくなってしまったような時代で、いまこの原稿はパリのテロが発生した直後に書いているんですが、911の頃なら特番で報道されていたような事件がまともに報道されていない状況の方が怖いです。

3.

乗客たちはタラップを降り、焼け付くように熱いタール舗装の滑走路上に集まった。そこで彼らが目にしたのは異様な光景だった。USエアウェイズのジェット機の車輪が、固まっていないセメントのようにぐにゃりとなった黒いタールの滑走路にめりこんでいたのだ。車輪はそうとう深くまで埋まっていて、機体をレッカー移動するためにやってきた牽引トラックを使っても引っぱり出すことはできなかった。航空会社は、三十五人の乗客を降ろして機体にかかる付加重量を減らせば、飛行機が軽くなって牽引できるだろうと考えていた。だが、そうはならなかった。

<コメント>「焼けつくような」でもいいかな。「固まっていない~ぐにゃり」は少し饒舌かな。結構うまくまとめてあると思うんですが、やや硬めに響くかも知れません。

<余談>課題文も今回出すので終わりですね。早いものです。

4.

乗客たちはタラップを降り、暑い駐機場へ集まった。そこで目にした異常な光景。USエアウェイズ機の車輪が、まるで湿ったセメントのように、黒く舗装された地面にめり込んでいるのだ。かなり深くはまっているので、トラックが牽引してなんとか機体を引っ張り出そうとするのだが、できなかった。航空会社側としては35人の乗客の重さがなければと期待したのだが、不可能であった。

<コメント>「駐機場」でも良いとは思うんですが、この訳文だとわざわざ駐機場に集まったように読めるんですよね。その次は無理に体言止めする必要なかったんじゃないかな。全体的には誤訳もないので、もう少し色気がある文章にできるとよいかも。

5.

乗客たちはタラップを降り、熱せられた滑走路上に集まった。そこで彼らは異様なものを目の当たりにする。黒い舗装路に、USエアウェイズ・ジェット機の車輪がめり込んでいるではないか。まるで塗りたてのセメントみたいだ。しかも車輪は深くはまり込んでいるので、やって来た牽引トラックも機体を引き出せない。USエアウェイズは、フライトの乗客35人分の加わっている重さがなくなれば、目方が減って飛行機を牽引できるのではと期待していた。だがその願いは空振りに終わった。

<コメント>熱せられたというと「何が」熱したのかと考えてしまいます。舗装路とするとなんか道があるみたい。塗り立てのセメントが何を指しているのかがわかりにくいです。塗り立てのセメントの上、とか。目方はちょっと浮いてるかな。重量とか。空振りは悪くないです。

<余談>はじめがあれば終わりがあるわけで、仕方ないことです。むしろ惜しまれて終了できることに感謝ですね。

6.

乗客は階段を降りると、熱を帯びた滑走路に集まった。そこで彼らは珍しいものを目にした。USエアウェイズのジェット機の車輪が、黒い舗装道路に沈み込んでいたのだ。まるで滑走路が舗装し立てのやわらかいセメントであるかのように。車輪は非常に深く沈み込んでおり、実際のところ、機体を牽引しようとやってきたトラックでも動かすことができなかったほどだ。航空会社側は、フライトの追加重量である35人の乗客が降りれば、機体も牽引できるくらいに軽くなるだろうと考えたのだった。だが、そうはならなかった。

<コメント>これだと、飛行機から降りた感じがしないです。舗装道路というと、空港という感じが伝わってきません。「舗装し立てのやわらかいセメント」は少しくどいかな。追加重量は一工夫あってもいいかも。

<余談>あと一回なので、次回もよろしくねー。

7.

乗客は階段を降りて、熱い滑走路上に集まっていた。そこで通常とは違うものを見た。USエアウェイズの車輪が黒い舗装路に沈み込んでいたのだ。まるで固まっていないセメントに沈み込むように。車輪があまりにも深く入り込んでいたので、実際、飛行機を牽引するために来たトラックは飛行機を引っ張ることができなかった。航空会社は、飛行時に追加される重み、つまり35人の乗客がなければ、飛行機は軽くなって動かすことができると考えていた。

<コメント>滑走路上に集まるのはそもそも怖いですよね。「通常とは」だったら「いつもとは」でもいいかな。エアウェイズの車輪はないと思います。ジェットが抜けてます。飛行時ではなく、「この便」でしょうね。

8.

乗客はタラップを下りると、灼熱の滑走路に集まった。そこでは、ただならぬことが起きていた。USエアウェイズ機の車輪が、まるで生乾きのセメントのような黒い舗装道路に沈み込んでいたのだ。深くめり込みすぎて、実際、けん引用トラックで引いてもびくともしない。乗客三十五人分の余分な重量を減らせば、機体が軽くなって引っ張れるのでは、と航空会社は期待をかけたのだが、うまくいかなかった。

<コメント>「灼熱の」はいいですが、滑走路は行きすぎ。「ただならぬ」というと何かちょっと古い感じがします。「舗装道路」というと、何か場所がどこかわかりにくくなります。

<余談>すぅさんとゆいちゃんともあちゃんの世界へようこそ! 僕はもあちゃん派ですが。暮れの横浜アリーナのチケット、抽選で当たったので見てきます。

9.

乗客はタラップで熱いアスファルトの上に降りた。すると異常な光景が目に入ってきた。乗っていたUSエアウェイの機体の車輪が、まだ固まっていないかのように黒い舗装に埋まっていたのだ。牽引すべくやってきたトラックが動かせないほど、車輪は深く沈みこんでいた。乗客35人分の重量を除けば牽引できる軽さになるのでは、と航空会社は願ったようだが、そうは行かなかった。

<コメント>全体的にうまくまとめていますが、厳密にはアスファルトとタールマクは違うんですね。エアウェイズです。

10.

乗客はタラップを下りて、熱した滑走路上に集まった。そこで目にしたものは、一種異様な光景だった。US航空機の車輪が、黒いアスファルト舗装に沈みこん でいるのだ。まるで滑走路が生コンであるかのようだった。車輪はかなり深くはまり込んでいたので、実際、飛行機を牽引しにきたトラックも、機体を引っ張り 出せなかった。航空会社は、飛行機の付加重量である35人の乗客を降ろせば、機体が軽くなって牽引できるかと期待したのだが、その思惑は外れた。

<コメント>滑走路だとちょっとまずいかな。US航空機ではなくて、USエアウェイズのジェット機ですね。後半はうまくまとめていると思いますが、「付加重量」はちょっと硬いかな。

<余談>そう言うアプローチでも構わないと思いますよ。

11.

乗客たちは、タラップを降り、熱く灼けた滑走路に集まった。そこで、彼らは異様な光景を目の当たりにした。USエアウェイズのジェット機の車輪が、舗道に沈み込んでいたのだ。舗道はまるで固まる前のセメントのような状態だった。実際のところ、車輪はとても深く埋まっていて、機体を牽引しに来たトラックにも動かすことができなかった。航空会社は、乗客三十五名分の追加重量を除けば、機体が軽くなり、引き上げられるかと期待していた。しかし、それでも十分ではなかった。

<コメント>滑走路だとちょっと怖いかな。舗道は「表面を平らに舗装した道路。舗装道路。ペーブメント」なので、ここでは「舗装」そのものですよね。pullなので、「引っ張る」です。

<余談>もう残り2回です。色気はやっぱり何度も読んだり、訳したりして身につけるものなんでしょうね。自分自身がなかなか身につかないものでもあります(^-^;

12.

彼らは階段を降り暑い滑走路に集まった。そこで不思議な光景を見た。USエアウェイズの機体がまるで濡れたセメントの上にいるかのように黒い滑走路に沈み込んでいたのである。車輪は深くのめり込み、機体を牽引するために登場したトラックでは引っ張り出すことが出来なかった。乗客35名が降りることで機体は軽くなり引っ張りだせると航空会社は期待していたが、思うようには行かなかった。

<コメント>熱い滑走路に乗客が集まるのは怖いですよね(^-^; 「そこで見たのは……」の方が流れがいいかな。エアウェイズの機体でもわからないことはないけどジェットを訳出してしまった方がいいと思います。「のめり込む」は「めり込む」のつもりだったのかな。「機体が軽くなり」かな。

13.

乗客は階段を降り、熱を持ったタールマック滑走路上に集まった。そこで異様なものを見る。 USエアウェイズ機の車輪が、生乾きのセメントのようになった黒い舗装路に沈み込んでいた。車 輪は深く埋まっていて、牽引しようとやって来たトラックが飛行機を引っ張り出すことはできなかった。USエアウェイズは、追加された重量、つまり35人の乗客が いなければ、飛行機は牽引できると期待したのだ。だが、そうはならなかった。

<コメント>階段だとわかりにくいんじゃないかな。タラップ、あるいは「タラップの階段」かな。タールマック滑走路だとこれもわからないんじゃないかな。「追加された重量」だから「余分な重量」くらいにしてもいいかと。

<余談>いや、難しいですよ、こういう平易なのは(^-^; 意外と考えなければならないことが多いです。

14.

乗客たちはタラップを降りると、熱くなったアスファルトの上に集まった。そこで彼らは何か異様なものを目にした。USエアウェイズ機の車輪が、真っ黒な舗装に沈み込んでしまっていたのだ。まるで、セメントがまだ乾いていないかのようだ。それどころか、車輪がかなり深いところにとどまっていたので、機体を引っ張り出しに来たトラックは、梃で引き上げることができなかった。航空会社にしてみれば、乗客三十五人の重さが加わらなければ、機体は引っ張り出せるくらい軽いのに、という思いだった。だがそうではなかった。

<コメント>厳密にはアスファルトとは訳せないかも知れません。個人ブログですが。(http://ftcb.chu.jp/b905/2624/10/rally10/r10other.html) 「深いところにとどまる」がちょっとわかりにくいかな。「梃」はこの場合関係ないんじゃないかな。「軽いのに」はちょっと浮いている感じです。ちょっともったいない感じ。

15.

乗客は階段を下りて、熱い滑走路の上に集まった。そこでただならぬものを見た。USエアウェイズのジェット機の車輪が、まるで固まっていないセメントのようになってしまった黒い舗装路に沈んでいたのだ。実際、車輪はとても深くめり込んでいて、同機を引き上げに来たトラックは滑走路から引き離すことができなかったのだ。同社は35人の乗客分の余分な荷重を減らせば、ジェット機は十分に引き上げられる重さになるだろう、と見込んでいた。だがそうはいかなかった。

<コメント>階段だとちょっとわかりにくいかな。滑走路じゃないと思います。「ただならぬ」というと何かちょっと浮いている感じ。「まるで~沈んでいた」の部分は少し読みにくいです。「引き上げ」~「引き離す」はちょっと流れが悪いかな。

16.

彼らは階段を下り、タールマカダム舗装された道路に集まった。見慣れないものが彼らの目に飛び込んできた。USエアウェイズの航空機の車輪が、まるで濡れたセメントのように真っ黒な道路に沈んでいた。実は車輪が奥深くにあるため、トラックがその飛行機を引っ張り出すために来たものの自由に動かすことが出来なかった。その航空会社は乗客35人を降ろせば飛行機は引っ張れる重さになると期待していたが、そうはいかなかった。

<コメント>階段、道路だと浮かんでくる風景が違っている気がします。これだと「濡れたセメントのように黒い」と読めます。「奥深くにある」だとそこに最初から存在していたみたいです。「自由に動かす」だとちょっとニュアンス違うかな。「その航空会社は」だとしつこい感じなので、「航空会社としては」とか。

17.

彼らは階段を下り、熱い舗道の上に集まった。そこで彼らが見たのは見たこともないものだった:USエアウェイズのジェット機の補助輪は、黒い歩道 がまるで乾いていないセメントのように、その中にめり込んでしまっていたのだ。車輪は実に深くめり込んでいて、機体を引っ張り上げるために来たトラックも力を加えて離すことがで きなかった。機体や35人の乗客の付加的な重量がなくて引っ張りあげることができるくらい軽かったらよかったのに、そうではなかった。誰かが写真 を投稿した。「なぜ私のフライトがキャンセルされるのか。DCが熱過ぎて僕らの飛行機が“舗道”に沈んじゃったのさ」

<コメント>全体的に少し崩しすぎ。階段と舗道だと見える風景は別のものだと思います。コロンは基本的に使わないですね。補助輪だと普通の車輪は大丈夫のように読めます。「黒い舗道~セメントのように」は文章がよれています。「力を加えて離す」は意味がわかりにくいです。「よかったのに」は誰が主語なのかわかりにくいです。その後は課題の範囲外ですが、「Someone posted a picture: “Why is my flight cancelled? Because DC is so damn hot that our plane sank 4” into the pavement.”」ですから。「どうして私のフライトがキャンセルになったのかって? こっち(ワシントン特別区)がめちゃくちゃ暑くて、飛行機が舗装の中に4インチもめりこんじゃったんだよ」とかですね。

18.

乗客は階段を降りて、暑いタールマック舗装エプロン上に集まった。そこで目にしたものは異様だった。USエアウェイズ機の車輪が黒い舗装面に、まるで乾いていないセメントの上のように沈みこんでいたのだ。大げさではなく本当に車輪が深くはまりこみすぎて、飛行機を牽引しにきたトラックが機を動かせなかった。搭乗客三十五名の重量が加わらなければ、機体が軽くなって引っぱりだせるのでは、と航空会社は期待していた。無駄だった。

<コメント>階段はちょっとわかりにくいかなあ。「タールマック舗装エプロン」は間違ってないんだけど、読み手の側から訳されてない感じがします。自分が読むとしたら「タールマック(で)舗装されたエプロン」とかの方がずっと読みやすいでしょう。「そこで目にしたものは異様だった」も間違いじゃないんですけど、「そこで異様なものを目にした」の方が流れやすいし、もっといえば、「異様」を避けた方がいい気もします。「舗装面」はいいと思います。全体的に硬いですが、意味は押さえられているので、もうちょっとなんだよねえ。

<余談>今回がラストチャンスかも!

19.

乗客らはタラップを降り、焼けるようなタールマック舗装の上に寄り集まった。そこで、異様な光景を目にした。ユーエス・エアウェイズ機の車輪が、生乾きのセメントのような黒い滑走路に沈み込んでしまっていたのだ。車輪は地面にすっかりめり込み、事実、けん引にきた作業車でも引き上げられなかった。航空会社は、余分な重さの乗客三十五人を降ろせば、機体が軽くなってけん引できるという望みにかけていた。機体は動かなかった。乗客のだれかがインターネットに画像を投稿した。「どうして欠航になったかって? ワシントンD.C.がサイコーにくそ暑くて、ターボウィークエンドファンの飛行機が『道にダイブ』したからさ」

<コメント>「~ら」ということは乗客以外も含まれますね。でもtheyはpassengersのはず。クルーが乗っていない状態では動かさないでしょう? 「かけていた」というほど強くはないんじゃないかな。「ワシントン~したからさ」はやりすぎ。原文にない情報を足しすぎですし、この本の性質を考えても、言葉が汚すぎると思います。この部分がなければ敢闘賞なんだよねえ……。

<余談>よかったですねえ。継続は力なり。あと、やり過ぎは禁物だと思います。せっかく読めているのに、のめり込み過ぎているかも知れません。第三者として自分の訳文を見る力も大切なんですよ。

20.

乗客はタラップを降り、灼熱の滑走路(ルビ/ターマック)上に集まった。そこで彼らが目にしたのは、ある不自然な光景だった。USエアウェイズのジェット機の車輪が、黒々とした路面にどっぷり沈んでいた。路面がまだ乾いていないセメントででもあったかのようにだ。車輪はかなり深く沈んでおり、機体を牽引しにきたトラックも引き上げられないほどだった。航空会社側は、余分な重量(つまり三十五名の乗客)を降ろせば機体は引き上げられる程度に軽くなるのでは、と期待していたようだが、うまくいかなかった。

<コメント>滑走路ではないんですね(もっとも調べないとわからないけど)。「不自然」はちょっと違うかな。「ででもあったかのようにだ」はちょっと読みにくいです。「であるように」で十分。その次の行はいいですね。重量って降ろせるかな。素直に「減らせば」でいいと思います。「引き上げられる程度に軽くなる」もあってるんですが、「軽くなって引き上げられるだろう」ということですよね。

<余談>もうすぐ皆さんともお別れと思うとなかなか寂しいものがあります。カウアイ高いですよね。家庭の事情でしばらくハワイ(というより長期旅行)は行けないと思うんですが、次に行くときはカウアイも検討してみます。

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