Vol.11 小さいうちは楽しく英語に触れる/通訳者・国本真実さん

通訳者・翻訳者の子育て2018.05.15

「通訳者で、8、6、3歳の男児の母」と言うと、たいてい「すごい(子沢山)ですね!」と。そして「お子さんは英語ペラペラですか?」という質問をいただきます。
今回は、我が家の英語事情と、子どもの教育において大切にしていることを書きたいと思います。

3人の男児は日常の遊びの中に英語を

まず、冒頭の質問については、「3人ともまったくしゃべれません!」
我が家では、「やりたい時に」「楽しく」を前提に、ゆる〜く英語と触れ合っています。思い返せばいろいいろと試した記憶が…。英語で観ようと購入した「おさるのジョージ」DVDは、子ども達の強い希望により、延々日本語で鑑賞(笑)。フォニックスや絵日記、カードゲームを自作までしましたが、わんぱくで自己主張の激しい息子達と、やりたくないことを続けさせる気のない私。「無理せず楽しいことだけやろう」と考えた結果、子どもの「気の向くまま」に、絵本の読み聞かせ、映画、音楽、ゲームなど、日常の遊びの中に英語があるといった感じです。

唯一、最近始めた「なだめて続けさせる」ものとして、NHKラジオ基礎英語があります。このネット時代に、昭和の香り漂う古典的学習法。これには私なりのこだわりがあります。日本で生まれ育ち、英会話すら習ったことがなかった私は、中学1年で初めてABCを習い、日本人教師のカタカナ発音を完全コピー。高校の授業で初めてネイティブ教師に出会い、あまりのギャップにビックリ…そんなごく普通の学生でした。

にもかかわらず、生の英語が理解できたのです。少なくとも既習の単語・文法を使った平易な文章であれば、かなり正確に。そしてそれは、小学5年生から聞き始めたNHKラジオ英語こそが大きな要因だと思います。母の勧めで、当初は意味も分からず適当に聞き流していたのですが、これが英語の音の感覚を身につけるのに大いに役立ちました。映像に頼らず、純粋に音だけを聞き、わからないところは推測しながら意味を取る…知らず識らず通訳訓練のようなことを行っていたのです。

さて、我が子ども達ですが、英語の音を真似させてみると、なかなか良い発音だったり、好きな映画や音楽から気に入ったフレーズを聞き取って覚えていたり。今のところ楽しく英語に触れているので、あとは本人のやる気次第だと、温かい目で見守っています。

英語は単なるツールにすぎない

「やる気」といえば、再び冒頭の質問に戻りますが、通訳=英語=グローバル人材という単純なものではありません。英語はただのツールに過ぎず、それを使って何をする(したい)のか、が問題です。ますますグローバル化する世界で、いかに自由に自分らしく生きていくかが大切だと考え、日々の生活や会話の中で、自然に知的好奇心を育んでいきたいと思っています。世界の最先端技術や、ビジネス、アートに至るまで、通訳現場で出会った「すごい!」を、子どもに分かる言葉でおもしろおかしくシェアしたり話し合ったり。コミュニケーションを通して、興味・関心事を探り、それを後押しして伸ばしていく手助けができたらと思っています。

こうした試みの一環で、夏休みを利用して、マレーシア・シンガポールに学校見学に行きました。変化の激しいアジアで、同年代の子ども達が何を学び、どんな日常を過ごしているのか、直接肌で感じることができ、とても良い刺激になりました。中でも、幼少期から、社会や国家、世界と自分とのつながりを意識させ、教科を横断的に学び、自ら問題提起し解決策を見出す力を培うことを目指した教育法が印象的でした。

2020年新大学入試に向け、英語教育改革が叫ばれていますが、英語だけに留まらず、教科書を暗記し試験をパスするための教育から、真の意味でのグローバル人材を育てるための改革であるべきだと感じています。そして、それをただ学校に委ねるのではなく、家庭でも子どもとの関わりの中で一緒に考え、実践していきたい。通訳者として母として、私も子どもとともに日々成長しています。