第9回 ババンバ、バン、バン、Banned! 湯船ではそれは禁止です

日本お土産珍百景2017.06.02

知らないとダイブする!? 温泉の入浴マナー

日本に来る皆さんに「今回の旅行で何が一番楽しみですか?」と聞くと、かなりの確率で「Onsenだね~」という答えが返ってきます。来日前からテレビやyoutubeで見た映像をもとに、山間の秘境で素っ裸で静かな湯船に横たわる自分をイメージトレーニングしてくる方もいます。

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とりわけ、北欧方面からお越しのお客様は脱ぎっぷりがいいのですが、ある青年は温泉地に行くまで待てずに、真夏のお台場の人工ビーチでやにわに服をババっと空に放り投げ、私が「そーこーはー、人工ビーチで浅いから危ないですよ~!!」と音量最大で叫ぶ間もなく飛び込もうとして、肝を冷やしたという過去もあります。その際は公然わいせつ罪の嫌疑をかけられるという別な意味でも肝を冷やしましたが…。

このような脱ぎ慣れ(?)した一部の裸族はもとより、水着着用が基本の他の外国人観光客の皆さんもせっかく日本に来てオンセンタイムを満喫するにはここはひとつ郷に従い、恥ずかしがらずに文字通りひと肌抜いでみるか!となるようです。

私が温泉宿にお客様ご一行をお連れした場合、いの一番に入浴時のNG事項を説明します。これをやらないと、大浴場でティーンエージャーによる「クジラ並みのしぶきを上げる湯船ダイブ事件」や、湯船で顔やタオルをゆすぎ出す「湯船でごしごし洗濯する桃太郎のおばあさん事件」が多発します。

お風呂ひとつ入るのにも日本はいろいろルールがあってメンドーだなぁという雰囲気が若干漂ったところで、最後に浴衣の着方をご説明。この頃は皆さん来日前の予習が素晴らしく、正しい着方をマスターしているのはもとより、私が言うまでもなく「右と左を間違えると死んだ人なんでしょ?」とか、いやはや全くよくご存知で。中には「これから死んだようにぐっすり寝るから今日はデススタイルでいくよ」と言い出す人まで出る始末(左前はそう言えばいいのか! 私が勉強になりました)。ま、真っ白な浴衣じゃないし、正解を知ったうえでのことなので、今回は“デススタイル”も良しとします。

ドラッグストアの“アレ”で刺青対策

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さて、裸になる心構えもできたし、ガイドの私はお役御免!……と思ったところで重要なことを忘れていました。アレのチェックをしないと。そうです、イレズミです。万一スミズミまで入っていたら大変です。ご存知の通り、まだ日本では基本的にお体に素晴らしい絵が描かれている場合は、基本的に温泉入浴は×です。

さすがに両腕に睨みの利いた龍がバーン!とか、背中全面に高松塚古墳のような煌びやかな絵画になってる人はまだお目にかかったことはありませんが、女性でも肩あたりにかわいい猫が1匹というのはよくある話なので要注意です。とりわけ私が念を入れるのが北欧のヘビメタ好きグループ。大なり小なり猛々しい模様が入っているケースが多いので、下手をすると全員アウトなレベルです。

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そこで活躍するのが、ドラッグストアで売っているケガ用の防水パッド。応急処置ではありますが、とりあえず入れ墨を隠せば、温泉には入れるのでガイドとしては必須アイテムです。この防水バッド、S・M・Lとサイズは多々ありますが、割と派手な模様がドカンと彫られていた場合はとても1枚ではカバーしきれないので、L判を縦横何枚もつなげて隠します。背中に白いカードが何枚も並べられる羽目になり、これから神経衰弱でもするのか?という感じになっちゃいますが……致し方ありません。

こうしてやたら体にあちこちに白いものを貼り付けた集団を大浴場に見送って一段落となるのでした。ちなみにお客様方も一度こういったことを学習した後は、防水パッドを買っていく方も多いようです。もし、街で怪我をしている様子もないのに、防水パッドを爆買いしている外国人旅行者らしき人達を見かけたら、「ああ、温泉行くのにも大変なんだな」と温かく見守ってください。

日本お土産珍百景「Oh! ミヤゲ!?」 バックナンバー

第1回 ガイド中に遭遇する「えっ、そのチョイス!?」

第2回 包丁片手に、これが本当のブレードランナー

第3回 和菓子はNo! 製菓道具はWow!

第4回 オレってクール? 猛暑対策用品あれこれ

第5回 どこの世界も乾いた心を癒すのは、酒場でやはり同じように乾いているアレだった話

第6回 訪日外国人観光客に影響を与えた映画を取り上げていたら、最終的に映画評論家の水野晴郎先生に思いを馳せてしまった話

第7回 外国人が好きな日本食は「焼き」!

第8回 料理男子とアイディア対決!