第96回 読者を意識した翻訳を心がけよう

1.
第2点と第3点については分かりませんが、ドーピングを取り締まるために第1点は欠かすことができません。最新鋭のドーピングは現在の技術では検知できないからです。そのため、運が悪かったりヘマをしたりしなければ、薬物を使用するたいていの選手は検知を免れるのです。

<コメント>「最新鋭のドーピング」は少しはしょりすぎかな。「検知」も意味的には合ってるんですが、「見つける」とか「検出する」の方がいいんじゃないかな。the mostは最上格なのでちょっと違ってますね。

2.
第二点目、三点目についてはよくわからない。だが、非合法的な能力強化薬物(PED)の使用と戦うためのいかなる真剣な取り組みにおいても、第一点目が不可欠であることに疑いの余地はない。最新のPEDは技術を結集して作られており、現在の技術水準では、その検出は不可能である。当然のことながら、薬物使用者の中でも最も洗練された人々は薬物検査をすり抜けてしまう。薬物が検出されるのは、不運なケースあるいはミスを犯した場合のみなのである。

<コメント>「わからない」でもいいんですが、たとえば「何ともいえない」みたいな訳し方もあり。第二点目の第はいらないんじゃないかな。「非合法的な能力強化薬物」はくどい感じ。それなら「禁止薬物」くらいで。で、不可欠ではないと思うんですよ。現実には行われてないんだから。「最も洗練された」はちょっと違和感あるよね。「最先端」くらいで。全体に硬すぎる感じ。ブログですからね。

3.
項目2と3については確かなことは言えないが、運動能力向上薬の違法使用に真剣に対抗するには項目1が不可欠であることは言うまでもない。最先端の運動能力向上薬は現代の技術で見破ることができない技術的な組み合わせである。理論上、巧妙な薬物中毒者は不運に見舞われたり過ちを犯さない限り、見破られることはない。

<コメント>「項目2と3」はちょっと硬いかなあ。あと読点が少なくて読みにくくなってます。「技術的な組み合わせ」はわかりにくいですよね。薬物中毒者ではないと思うんですよ。アレックス・ロドリゲスとか見ればわかるけど。成績を上げるために薬に頼る感じ。

4.
二点目や三点目はさておき、競技力を引き上げる不正な手段と本気で闘おうとするなら、一点目が常に肝心の点であることは間違いない。ドーピングの最先端では、その時点の技術では見破れないようなやり方が工夫される。そのため、不運や不手際のない限り、最新の手口に通じた薬物使用者は当然検査をすり抜けてしまうのだ。

<コメント>「競技力」ってちょっとわかりにくくありません? 二行目はなかなか良い感じ。「不手際」はちょっと違うかな。三行目の後半も良い感じです。全体にばらつきがあるのがもったいないなあ。

5.
項目2と3については定かではないが、項目1が、違法ドーピング剤の使用と戦うあらゆる真摯な取り組みに不可欠なのは明らかだ。ドーピングの最新技術には、現代の科学技術を用いても見破ることのできない、きわめて優れた方法が結集されている。だから当然、ひどく手慣れたドーパーたちは、運が悪くて手違いをしないかぎり検出を逃れてしまうだろう。

<コメント>悪くはないんですが、ちょっと硬いのと、読点が少ないかなあ。「結集」はもう一工夫あってもいいかも。「ドーパー」を使うんだったら、全体のトーンをもっとフランクな感じにしないと。

6.
2点目と3点目については何とも言えないが、1つ目の点に関しては、違法な筋肉増強剤使用と戦うための手段として、必要不可欠であることは疑いない。最先端の筋肉増強技術は複数の技術を上手く組み合わせたもので、現在のテクノロジーでは検知できない。つまり、最も洗練されたドーピング犯は、定義上、検知をまぬがれる。余程ついていないか、ミスをしない限りは。

<コメント>筋肉増強剤に限定されないんじゃないかな。実際に20年、30年後に尿検査などを行うというのはまだ実現してないと思うんで、「必要不可欠」と言ってしまうとまずいと思います。二行目はいい感じ。「洗練された」は違和感あるんじゃないかな。

7.
ポイント二と三については定かではないが、ポイント一については、違法な運動能力向上薬物の使用に真摯に取り組む上で絶対に欠かせないことに疑いの余地はない。運動能力向上薬物の最先端では、最新テクノロジーを駆使しても検出できぬよう技術を絶妙に組み合わせている。つまり当然ながら、運が悪かったりしくじったりしない限り、薬物を巧妙に常習する者のみが、うまく検出をかいくぐることになる。

<コメント>漢字を並べすぎて、読みにくくなっていますね。「運動能力向上薬物」は「運動能力強化薬物」と訳されますが、「禁止薬物」でも構わないです。最後の行、「のみが」というニュアンスはないですね。
<余談>PEDで調べると出てきますよ~。

8.
第二と第三に関しては何とも言えないが、第一の点は違法な能力向上物質の使用と戦うまじめな試みとして重要なのは間違いない。現在の能力向上物質は最高技術の結集で最新テクノロジーを使っても検知しきれな い。それに、そもそも、最も手慣れた薬物常用者は、運に恵まれないか間違いでも犯さない限り、発覚を逃れるだろう。

<コメント>「二つ目と三つ目の点」とかでも構わないと思います。「戦うまじめな試み」はちょっと違和感あるかな。「最も手慣れた」はちょっと違うかなあ。

9.
第二・第三の点についてはなんとも言えないが、運動能力向上薬の不正使用に真剣に対処しようとするならば、少なくとも第一の点が不可欠であることに疑問の余地はない。最先端のドーピングは、現在のテクノロジーでは検知できない最高の技術を駆使したものだからだ。当然、そうした最新の手段を用いてドーピングをおこなった選手は、よほど運が悪いかミスでも犯さないかぎり、発覚を免れることになる。

<コメント>いいと思います。ただそつがないとは思うんですが、もう少し色気が欲しいかなあ。ブログ的かなというと少し硬さを感じます。

10.
項目2と項目3については判断しかねるが、不正な能力向上薬の使用に真剣に立ち向かおうとするなら、項目1の提案が非常に重要であることに疑問の余地はない。最先端の能力向上薬には、現在の検査方法では検出できない最高レベルの技術の数々が用いられている。そのため、当然のことながら、もっとも洗練されたドーピング使用者は、不運に見舞われるかミスをするかしない限りは発覚するのを免れることになる。

<コメント>項目はちょっと硬いかな。「判断しかねる」もちょっと硬いです。「洗練された」はもう一工夫欲しかったなあ。
<余談>もともとある程度は言葉の使い方というのはみんないい加減なんですが、小泉首相以降のワンワード・ポリティックスみたいなのはやっぱりまずいです。最もあれは小泉元首相だからできたものであって、野田とか安倍がまねしてもできるものじゃないんですが。ただ僕たちの仕事は辞書を引くのが第一なので。

11.
二つ目と三つ目については分からないが、違法なパフォーマンス向上薬の乱用に真剣に取り組むとなると、一つ目のポイントは間違いなく必要だ。パフォーマンス向上の最先端では技術を最高の形で組み合わせて使っているため、現在の科学技術では検出できない。つまり、本当に手慣れた常習者は運が悪いかヘマをしない限り検査をやり過ごせるのは当然と考えられる。

<コメント>悪くないんですが、パフォーマンスは日本語にしたいところ。あと読点が少ないので、とても読みにくくなっています。特に二行目の前半と三行目の後半。もう少し読み手を意識すると良いですね。

12.
2,3番目の項目に関してはわからないが、違法運動能力向上薬の使用に対抗するための、どのような真剣な取り組みにも1番目の項目は必須であることは間違いない。運動能力向上に関する最先端の技術水準は、現存の技術を駆使しても検出できない各技術の最高の組み合わせである。つまり、運が悪いか、ミスをしない限り、最先端の技術を使ってドーピングをする者は確実に検出をすり抜けるだろう。

<コメント>読点はカンマは使わない方が良いです。官庁ものでは使うこともありますが。技術水準=組み合わせはちょっとわかりにくいですね。「最先端の技術」は繰り返さないように工夫してみてください。

13.
2、3番目の点についてははっきりとは言えないが、1番目の点が能力増強剤の違法使用を抑制する手段として不可欠であることは間違いない。最先端の能力増強剤は、現在の科学では検知できない手法を、最も効果的になるように組み合わせている。よって結果的に最新の増強剤に精通している者は、運が悪いかミスをしない限り、その使用が発覚することはないであろう。

<コメント>「能力増強剤」は厳密には「能力向上薬物」かな。ブログなので細かくは追究しませんが、performance enhancementは薬そのものではないですね。そのあたりを反映した方が良いと思います。最後の行はもう一工夫。ちょっと読みにくいです。「者については」かな。
<余談>だいたい誰からでも同じ訳文が出てくる課題は基本的に出さないですね。

14.
2番目と3番目については何とも言えないが、不法な運動能力向上薬の使用をめぐって真剣に取り組む際に、1番目が不可欠であることは間違いない。最先端の運動能力向上薬は、最高の技術が組み合わされており、現在の技術を使っても検知されない。つまり定義上は、巧妙な薬の常用者たちは、運が悪いかヘマをしない限り検知を逃れるだろう。

<コメント>「定義上は~逃れる」だとちょっと意味がわかりにくくありませんか? 「真剣に取り組む」は「きちんと取り組む」みたいな。

15.
2点目、3点目はどうかわからないが、1点目はどんな場面であれ違法な能力向上薬の使用を根絶やしにするには極めて重要である。最先端の能力向上薬には現在の技術では検出できないような最も優れた技法が詰まっている。そのため、運が悪かったり失敗したりしなければ、ドーピングに熟練した選手は当然検査を突破してしまうだろう。

<コメント>この文体の中だと「根絶やしにする」が浮いているかなあ。「技法」もちょっと気になります。意味はわかってるのだと思うんですが、どうも文体にばらつきがあるのがもったいないです。

16.
2と3について確かなことは言えないが、1については、不正な能力増強法を用いる企てを真剣に阻止しようとするなら、ぜひとも必要と言える。能力増強の最先端には、現行の技術では探知できないような最高の技法が結集している。となれば、当然、薬物使用の知能犯として最たる者たちは、運が悪いか間違いでも犯さないかぎり、探知を免れてしまう。

<コメント>全体的に硬い感じを受けるんですね。元の文章はもう少し柔らかいと思います。Freakeconomicsの作者がブログで書くような文体ではないです。工夫はわかるんですが、「となれば」とかは避けたいなあ。
<余談>僕は本とkindleの両方ですね。まだまだ電子化されてない本が多すぎです。東野圭吾とか宮部みゆきとかがkindleで読めるようになるとだいぶ変わると思うんですが。

17.
2項目と3項目は定かでないが、1項目は、違法な運動能力向上薬の使用撲滅に、真剣に取り組むために、間違いなく必須である。最先端の運動能力向上策は、最善の技術の組み合わせであり、現在技術を用いては発見できない。なので、当然のことながら、百戦錬磨の麻薬常用者は、よほど運が悪いか、へまをしないかぎり、検出を逃れるのだ。

<コメント>硬いです。その割に「へま」とかこの文体の中では完全に浮くことばを混ぜないようにしましょう。「現在技術」はちょっとわかりにくい。「麻薬常習者」ではないんですね。あくまでいわゆるドーピングの話です。
<余談>次回はよろしく。

18.
2つ目と3つ目の点については自信がありませんが、違法な成長促進剤の使用と本気で闘うために1つ目の点が絶対不可欠であることは確かです。成長促進剤には最先端の技術が使われているので、現在の科学技術を用いても検出することができません。当然ながら巧妙な薬物中毒者たちは、運に見放されたり失敗をしない限り薬の検出を回避できるのです。

<コメント>「成長促進剤」はちょっと違うかな。「薬物中毒者」も。文体は悪くないと思うんですが、もう少し訳語の選び方に工夫をしてください。

19.
私はポイント2と3が分からないが、ポイント1が違法性能強化者の使用に対抗するある重要な試みに必要不可欠だと疑わない。最新の性能強化は現代科学を用いても発見できない技術の最高の集大成だ。だから当然、最も洗練された薬常習者達は不運にあったり間違いを犯さない限り検査をすり抜けるだろう。

<コメント>「分からない」というと意味がわからないと取られてしまいますね。「違法性能強化者」は意味が通じないと思います。「最高の集大成」もわかりにくいです。全体に文体が生硬で、訳語の選択もまだまだ不正確なので、関連する新聞記事や書籍などを読んで、適語を選ぶように心がけましょう。

20.
2点めと3点めについては疑問に思うが、違法なパフォーマンス向上薬の使用を本気で根絶するには1点めは不可欠である。 競技パフォーマンスを向上することにかけては、現在のテクノロジーでは検出不可能な最先端の技術が使われている。よって、よほど運が悪いかミスを犯さない限り、この最新技術を備えた違反者はこれからも検査の目をすり抜けるだろう。

<コメント>「疑問に思う」は少し強いかな。「パフォーマンス」はできたら避けたいところ。「最新技術を備えた違反者」はちょっと荒っぽい感じです。
<余談>訳すように工夫してみましょう。

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