経験豊かな現役通訳者が「現場のニーズ」に応えるノウハウを実践指導
万全のキャリアサポートで優秀なプロを育成する伝統校

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通訳者養成校として長年の伝統を誇るサイマル・アカデミーでは、「通訳コース」と「会議通訳コース」を設置している。その特徴は、現場のニーズを取り入れた教材、経験豊かな現役プロ通訳者による実践指導、そしてグループ会社と連携した万全のサポート。ビジネス現場や国際会議などで活躍する即戦力を多数輩出している。

訪問クラス 通訳者養成コース「通訳Ⅱ」

通訳の土台をつくる「情報取り」演習

「通訳コース」は社内通訳者・ビジネス通訳者の育成を目標とし、4段階のクラスを設けている。今回見学するのは「通訳Ⅱ」。さまざまな基礎訓練と逐次通訳演習を並行して行い、通訳者としての基礎力を固めるという。

この日は逐次通訳の録音からスタートした。教材設定は外資系企業での日本人部長と外国人社長とのミーティングで、業務の効率化・高度化を推進する社内プロジェクトについての報告。前回の授業でメモを取らずに一通り訳出しているため、今回はメモを取りながら逐次通訳し、どれだけ「精度」を高められるかが試される。

受講生たちが一斉に通訳する中、井戸惠美子先生は一人ひとりのパフォーマンスをモニタリング。すべて訳し終えると、「出だしの言葉は言い直さず、一発で決めることが大事」「『ですね』を連発して文末が単調にならないように」と、聞きやすい通訳に欠かせない要点を2つ伝えた。

フィードバックが済むと、受講生から質問が飛ぶ。「(先日の会議で)従来のやり方より格段に効率化を図れるイニシアチブとして紹介されていたのが、意思決定の迅速化です」という文章について、「主語が長いのでどう訳せばいいのか」と尋ねられると、井戸先生は「What we heard in the previous meeting was で始め、最後の『意思決定の迅速化』を先に言ってから、残りを補足する。文が長いと思ったら、結論をまず訳してしまいましょう」とアドバイス。百戦錬磨のプロならではの実践テクニックだ。

続いての演習は「情報取り」。「サイバー攻撃」に関する日本語の統計報告をメモを取りながら聞き、メモと資料(図表)を頼りに日本語でリプロダクションする。実際にやってみると、専門用語や年代、数値などのキーワードが相次ぐため、それらをメモするだけで手一杯。述部や接続部は記憶に留めたつもりでも、聞き終えたときにはもう曖昧だ。

手こずっている受講生たちに対し、井戸先生は「単語ばかりに気を取られず、『何の話をしているか』という意識で聞く」「単語をやみくもに書き並べるのではなく、ポイントを箇条書きに」「前もって図表を読み解いておく」などとアドバイス。「英語が話せるだけでは通訳はできない」と言われるが、その意味を実感した演習だった。

ミスの原因を見抜き講師が的確にアドバイス

休憩を挟み、後半は新たな教材での逐次通訳演習に入っていく。内容は「通信会社の取締役会」。表現リストなどの資料は事前に配布されるため、受講生たちは自宅で準備した上で授業に臨んでいる。

指名されると、しっかりと声を出して通訳する受講生たち。そのパフォーマンスを受けて、井戸先生は「情報はすべて取れているのでもっと簡潔に」「『叱られる』は reprimand がこの文脈では一番使いやすいのでは」などとフィードバックしていく。

最も印象に残ったのは、I don’t mind◯◯, but I don’t feel like ~ if I can’t… という箇所をめぐるやりとりだ。指名された受講生は I don’t mind を落としてしまい、「◯◯は構わないが、もし…なら~しているように思えない」とすべきところを「◯◯だと~しているように思えない」と誤訳。井戸先生はミスが生じた原因を見抜き、こう指導をした。
「どこからどこまでが1つの情報のまとまりなのか、文の切れ目に注意して聞く必要があります。ポイントは動詞。互いのメモを見て、動詞が然るべき場所に記されているか確認してください」

すると一斉にノートを見せ合い、活発に意見し合う受講生たち。英語を聞く際に「文の切れ目」と「動詞」がいかに重要か、全員の頭に深く刻まれたに違いない。

最後に訳出した箇所の吹き込みをし、2時間の授業は終了した。井戸先生の快活な指導がそうさせるのか、受講生たちは終始、萎縮せずに伸び伸びと演習に取り組んでいるように見えた。通訳現場を想定した教材、スキルを高めるトレーニング、そして指導に長けた講師。3本の矢がそろった本クラスは、通訳の基礎力を習得するのに最適のクラスと言えるだろう。

講師コメント

通訳者養成コース「通訳Ⅱ」 井戸惠美子先生 いど・えみこ 青山学院大学在学中より、サイマル・アカデミーに学ぶ。大学卒業後、一般企業勤務を経て、社内通訳業務に従事。現在、フリーランスの通訳者として、政府・企業関係の会議やセミナーを中心に通訳を行っている。

通訳者養成コース「通訳Ⅱ」
井戸惠美子先生
いど・えみこ

青山学院大学在学中より、サイマル・アカデミーに学ぶ。大学卒業後、一般企業勤務を経て、社内通訳業務に従事。現在、フリーランスの通訳者として、政府・企業関係の会議やセミナーを中心に通訳を行っている。

修了生と現場に出るのは楽しい
興味のある方、一緒に学びましょう

「通訳Ⅱ」は「聞いた情報を咀嚼・整理して、聞き手にわかりやすいようにまとめ直す」という通訳の基礎をつくりあげるクラスです。通常は授業の冒頭で時事知識などの小テストを行い、前回のおさらい、リプロダクションやサマライズなどの基礎訓練をした上で、逐次通訳演習に取り組みます。

指導する際は、まず「聞き手にわかりやすいか」という観点からチェックします。表現に難があるときには、こちらから一方的に「こう訳して」と伝えるのではなく、受講生の訳を生かす形でよりよい表現を一緒に模索。また、いろいろ気になるところがあっても、一番気になったものに絞ってコメントします。ポイントを明確にしたほうが、確実な改善が期待できるからです。

学校に来れば、講師だけでなく仲間にも出会えます。勉強の仕方やメモのとり方を共有したり、ペアワークのときに率直に感想を伝え合ったりできるので、それだけでも通学する意味があると思います。もちろん、授業に出ていれば通訳者になれるというものではなく、うまくなりたいのなら、地道にご自宅などでも復習する以外にありません。

通訳は、自分一人では知り得なかった世界を覗き見られるエキサイティングな仕事です。興味がある方は一緒に学んでみませんか。修了生の方と一緒に仕事をするのは楽しく私自身励みにもなるので、一人でも多くの方と切磋琢磨できる仲間になれたらと思っています。