
通学・オンライン・通信で受講生のニーズに応える
1975年創立のフェロー・アカデミーは、実務・出版・映像3大分野の講座を開講する翻訳専門校だ。各専門領域で活躍する現役翻訳者や翻訳会社、映像制作会社などの担当者が、豊富な経験に基づき、実践的かつきめ細かな指導を行っている。
2020年には、コロナ禍にいち早く対応し、双方向型のオンライン講座を提供。現在も通学・オンライン講座と通信講座で多彩なラインナップをそろえ、受講生のさまざまなニーズに応えている。
また、仕事につながるサポート体制も充実している。日本最大級の翻訳者ネットワーク「アメリア」を併設しており、翻訳会社、出版社、映像制作会社など約600社から寄せられる求人は年間1500件以上。未経験者の仕事デビューを後押しする「クラウン会員」制度を設けるなど、受講生・修了生への手厚いキャリアサポートが特長だ。
「翻訳会社ゼミ」優秀者は登録翻訳者への道も開かれる
通学・オンライン講座の各コースにおいては、それぞれの翻訳分野に応じたサポートを行っている。たとえば、実務翻訳コース「翻訳会社ゼミ」の優秀者は、そのまま企業の登録翻訳者になれるチャンスがある。
今回は、実務翻訳コース「翻訳会社ゼミ(臨床試験)」修了生の岩本真実さんと講師の穴見翼先生に対談していただいた。
講師×修了生 対談インタビュー
医薬翻訳の実務に即した実践的な内容を学び
即戦力として活躍できる翻訳者をめざす
上級講座を通して実務の予行演習ができた
穴見翼先生(以下、穴見):岩本さんは以前もメディカル翻訳の講座で学ばれたことがあるそうですが、「翻訳会社ゼミ」を受講してみていかがでしたか。
岩本真実さん(以下、岩本):まだまだ知識不足を感じていましたので、仕事を始める前にもう少し学びを深めておきたいという気持ちがあって「翻訳会社ゼミ」を受講しました。翻訳会社で医薬翻訳に従事していらっしゃる穴見先生から、実務においてはどうか、どうあるべきかというお話を聞くことができて、とても参考になりました。実際に仕事をしてみないと、「どこまで原文に従うか」「どこからどこまで申し送りをするか」といった感覚をつかむのは難しいと思うのですが、この講座を通していい予行演習ができました。
穴見:それはよかったです。今回は、「治験薬概要書」「有害事象報告」「電子症例報告書(eCRF)」「医療機器の臨床試験」という4つのテーマを取り上げ、それぞれを翻訳するうえで最低限知っておきたい知識をお伝えすること、実際の仕事で通用する翻訳技術を身につけていただくこと、この二つを目標に掲げて指導しました。授業を翻訳演習と講義の二部構成にした点はいかがでしたか。
岩本:前半が翻訳課題の添削と解説、後半がテーマに沿った講義という二部制になっていたおかげで、課題を翻訳する際に個別に調べていた内容がすっきりと整理され、知識として定着していく感覚がありました。
穴見:受講生の皆さんには、背景知識と文法・翻訳技術を両輪として、「原文と訳文の単語と単語が対応していればよい」という水準にとどまらない自然な訳語や表現が選べるようになっていただきたいと思っています。岩本さんは「読み勘」がよく、原文の趣旨を汲むのがとても上手。アドバイスした内容は、メディカル・治験関連の単語レベルの解釈や、文書に応じた表現や言い回しなどがほとんどでしたね。
岩本::全4回の授業を通して、「治験薬概要書」「有害事象報告」「電子症例報告書(eCRF)」「医療機器の臨床試験」というさまざまなテーマの文書を訳したことで、臨床薬事の全体的な傾向を把握できました。もちろん実際にはもっと難解で複雑な文章を扱うことになると思いますが、毎回の課題を訳しきり、助言をいただいたりお褒めの言葉をいただいたりしたことで、自分にもなんとかやれるかもしれないと自信がついたように思います。
穴見:講座修了後は、㈱メディカル・トランスレーション・サービスへの登録案内をさせていただきました。
岩本::実務に即した実践的な内容が学べる点と、受講後はトライアルなしで登録翻訳者になれる可能性があるという点が決め手になって「翻訳会社ゼミ」を受講しましたが、実際に登録につながり良かったです。実務経験がなく、なかなかトライアルに挑戦するタイミングがつかめないでいた私にとって、まさに必要な講座でした。

双方向型のオンライン講座は自宅からの参加が可能。授業はライブ形式で、講師が受講生の訳文や訳例を共有しながらポイントを解説する。後日、録画配信もあるため、欠席時や復習時に活用できる。
治験関連文書に加え動画の翻訳案件も増加
岩本:医薬翻訳市場の現状について教えてください。ニーズが高いのはどのような文書でしょうか。
穴見:私が㈱メディカル・トランスレーション・サービスに入社して以来、治験実施計画書をはじめとする治験関連文書がメディカル翻訳のメインストリームであることに変わりはありません。また、販促用の資料に治験の成績への言及があるなど、治験に直接関連しない文書を翻訳するうえでも治験の知識が必要となることは多いです。そのため、メディカル翻訳に携わるすべての人にとって、治験の知識は程度の差こそあれ必須のものと考えます。
岩本:治験実施計画書はもちろんですが、「翻訳会社ゼミ」で扱ったような文書を翻訳する機会が多いということですね。最近、需要が増えている案件はありますか。
穴見:この1~2年の傾向として、動画関連のスクリプトや字幕の翻訳案件が増加しています。動画関連の翻訳では、原文の内容を忠実に訳文に反映する治験実施計画書などとは異なり、適宜、言葉を足したり引いたりすることがあたりまえに行われます。翻訳として別のジャンルと言っても差し支えないほど性質が異なるため、動画を主戦場とする翻訳者に依頼したい案件ですが、そうした翻訳者でメディカルの知識も持っている人は多くありません。メディカル翻訳と動画翻訳の知識・技術を兼ね備えた翻訳者が必要とされています。
岩本:なるほど。治験関連文書がメディカル翻訳の中心を占めつつも、新しい仕事も出てきているんですね。私自身はまだ右も左もわからず手探りの状態ですが、今後も仕事と並行して勉強を続け、これが得意だと言える専門分野を見つけたいです。ゼミの翻訳課題の中では、eCRFのインターフェースや医療機器についての周辺情報を調べている時が一番おもしろく感じましたので、いつかはそうした最新の技術やガジェットに関する領域で活躍できればと思っています。
穴見:講座でもお話ししたように、今後ご自身が翻訳者としてどのようなスタイルをめざすのかも意識しつつ、メディカル関連の知識をどんどん蓄積して、さらに翻訳力に磨きをかけていただきたいと思います。がんばってください。
岩本:はい、がんばります。