国内有数の医療機関が監修
医師の医学講義とプロ通訳者の指導

 多数の会議通訳者を輩出するインタースクール。同校では医療通訳者の育成にも力を入れており、2009年より日本初の本格的な専門コースを開講している。COVID-19感染も広がる中、年々求められるスキル・知識もレベルが高まる医療現場に対応できる通訳者を輩出している。

 カリキュラムは、国内有数の国際外来を持つ医療機関が監修。厚生労働省「医療通訳育成カリキュラム」にも準拠しており、医療現場のノウハウと、同校が長年培ってきた通訳者養成のノウハウとを組み合わせた実践的な医療通訳者養成プログラムになっている。平成29年には、厚生労働省「医療通訳養成支援間接事業」実施団体にも選定。

 コースの中核をなす「医療通訳コース」では、医療現場で求められる通訳スキルと医学知識を83時間で習得する。授業は、医師が各診療科目について解説するビデオ講義と、現役通訳者が指導にあたる通訳演習との2部構成。「知識の習得」と「スキルの鍛錬」を並行して進めていくため、医療現場に即対応できる確かな実力を養うことができる。

現場のニーズに合わせたコース設定
成績優秀な修学生にはOJTの機会

 言語は、英語と中国語があり、どちらも前述した「医療通訳コース」に加え、語学力に自信のない人や医療従事者向けの「医療英語コース/医療中国語コース」を設置。さらに、英語コースには通訳技術を集中的に学ぶ「医療通訳スキル特化講座」、ロールプレイ中心の上級講座「医療通訳Workshop」を設けており、自分のレベルに合ったコースから学習を開始できる。

 さらに、インタースクールでは、常に変化し続ける医療通訳現場のニーズにも対応し、「国際医療コーディネーター講座」や「遠隔医療通訳講座」の設定など、医療通訳者の継続した学習の場を提供している。

 受講者は、医療関係者のみならず、医療分野をめざす通訳者、医療通訳に関心を持つ会社員や主婦など幅広い。成績優秀者には、母体の㈱インターグループと連携してサポート。優秀な修了生には、大手総合病院より医療通訳のOJTの機会も頂いている。また、高度専門医療研究センター国際診療部門が主催する医療通訳研修にも参画している。

 また、医療通訳コース修了生は日本医療教育財団実施の「医療通訳技能認定試験【基礎】」が、スキル特化講座と医療通訳Workshopの修了生には、「同試験【専門】」の受験資格が付与される。

講師インタビュー

間中先生

医療英語コース
間中恵子先生
(まなか・けいこ)

2011年インタースクール東京校で医療通訳コースを受講。2015年より医療通訳者(英日・日英)として都内を中心に病院での通訳や電話・タブレットを使った遠隔通訳に従事している。インタースクール東京校にて医療英語コースの講師も務める。

好奇心と粘り強さで一歩ずつ、目標達成をめざしてください

 医療英語コースは、医療通訳者をめざしたいという方々に広く門戸を開いている基礎コースです。解剖学の動画や、医療英語に特化した音声の教材を使い、まずリスニングで情報を正確に聞き取る。次に理解したものをアウトプットし、そのとき頭の中では画像を浮かべながら英語の頭で考え、英語でアウトプットします。医師と患者さんとのやりとりを、パターン化し、定型表現をたくさん覚えていただきます。これをロールプレイで学ぶわけですが、これらの表現をうまくアウトプットできる人が上手に通訳できるというわけです。また、医療現場では、英語ネイティブではない患者さんも多いので、例えば話者が南アジア系の方など非英語ネイティブの教材を取り入れ、訓練時から適応力強化に取り組んでいます。医療通訳をめざす皆さんの中には、新型コロナの情勢に不安を感じる方も多いでしょう。インバウンドが大幅に減り、メディカルツーリズムなどは減少しています。しかし、日本在住外国人への対応は続いており、持病をお持ちの方や、複数の疾病を抱えた方への対処、緊急性の高い分野も増えています。今後もこの流れは続き、これからの医療通訳者は、高度医療に対応できるよりハイレベルなスキルが必要とされます。医療通訳は命を預かる仕事です。A言語からB言語への直訳では済まず、細かいニュアンスや空気を感じ取り、不足があれば確認して補い、ホスピタリティある会話が求められます。

 正直、医療通訳者への道はハードルが高いです。目標を見据えてやり遂げて下さい。常に知識・情報をブラッシュアップすることが求められ、辞めるまで勉強が続く世界ですが、とてもやりがいのある仕事です。現場でみなさんを待っています。

修了生インタビュー

野地さん

医療通訳コース《中国語》
野地りえさん
(のぢ・りえ)

大学では中国語を専攻。会社員を経て鍼灸師と薬の登録販売者資格を取得。2015年にインタースクール東京校にて医療通訳コース《中国語》を受講。その後のプログラムで都内医療機関でのOJTを経験ののち、現在は医療通訳者として従事。

現場の医療従事者や患者さんの橋渡しができる通訳者に

 大学で学んだ中国語と、手に職をつけたいと取得した鍼灸師や薬の登録販売者資格をうまく生かした仕事はないかと模索していた時、インタースクールが「医療通訳コース《中国語》」を開講していることを知り受講しました。

 専門家の監修を受けたテキストは非常に精巧にできており、実際に診療に当たっている医師が内容を解説してくださるので、格段に理解力が高まります。単語集への信頼感も高く、今でも役立てています。

 テキストの内容を映像でも解説してくださるので、格段に説得力があります。先生は中国の医療事情にも精通しており、ここでしか得られない情報も貴重でした。覚えることが多く大変でしたが、優秀なクラスメイトたちと切磋琢磨しながら勉強できたのはありがたかったです。また、授業の中で幾度となくロールプレイをしたことで、都内医療機関でのOJTに参加した際には、授業で訓練した内容に近いシチュエーションでは、緊張せずに冷静な対応ができました。

 現在、医療従事者として大切にしているのは、インタースクールの講師に教わった「現場の医療従事者や患者さんの信頼を得ること」。医師が言わんとすること、患者側の要望を正確に把握し、理解するように努めています。また、通訳者としての勤務がたとえ1日でも、迷わず患者を案内できるよう、院内の構造を把握することも心がけています。

 インタースクールでは、通学当初から、何を勉強したいのか、何をめざしているのかを把握してくれており、修了後もセミナーや短期講座の案内、インターグループからの仕事の紹介などアフターフォローも心強く、今でも関わっていられることは非常にありがたいです。医療通訳者は、頑張るほど自分の成果としてフィードバックされ、世の中の景気に左右されることなくどんな状況下でも必要とされる、とてもやりがいのある仕事です。これからも言葉や医療、そして中国圏の文化などの勉強を重ねて、医療従事者と患者さんの橋渡しができる通訳者になれるように、と思っています。