第37回 電子書籍のいいところ

28.
「なんだ、それは。俺は知らないうちに、タイムマシーンにでも乗ってしまったのか。それとも、10年くらいも眠りこけてたのかい。」ロスを睨み返しながら、セベックはぼやいた。

(にらみ返すということは、その前ににらまれているということになります。前回の記事を読んで頂けるとわかるはずですが、ロスは別にセベックをにらんではいないです。あと、工夫は分かるんだけど、ちょっと言葉を足しすぎかなあ。
<余談>はいどうも。こちらこそよろしくお願いします。))

29.
セベックは彼を睨み付けた。「俺はタイムマシーンでも通ってきたってわけ?この10年ほど眠ってたとでも?」

(「彼」が気になりますが、台詞のところはいい感じですね。
<余談>洋書はバーゲンで買うに限ります。紀伊国屋のバーゲンが量が多くていいですね。専門書が特に安いんですよ。)

30.
セベックは彼をにらみ付けた。「俺がなんとタイムマシンに乗ってきたとでも言いたいのか?じゃなきゃ、10年間ずっと寝てたとか何か?」

(「なんと」の座りが悪いです。なくてよかったんじゃないかなあ。「何か」も同様。原文に忠実という姿勢は評価できるんですが、実際には助詞一つで処理できるような場合も多いんですよ。
<余談>英文法については、それ自体を目的にしてもなかなか身につかないかな。むしろ自分が弱いところ(時制とか冠詞とか)のみを取り上げている本を買ってきて、何度か読んだ方がよいと思いますよ。(「前置詞が使えるルールブック」みたいなやつ)

31.
セベックはロスをにらみつけた。「俺はタイムマシンで未来にでも来ちまったのか?それともここ10年、眠りこけてたか?」

(悪くはないんですが、もう少し語尾を丁寧にした方が読みやすくなると思います。「来てしまったのか? それとも~眠りこけていたとでも?」くらいがいいかな。)

32.
セベックは彼をにらんだ。「タイムマシンにでも乗っちまったのか、俺は?ここ10年間眠ってたとか?」

(「彼」がやっぱり気になるかな。あと、台詞の二つの文章のつなぎをもう少し工夫するといいですね。ノリ自体はよいので、もう一工夫。
<余談>暑いですね。でも今年はまだ冷房を入れていません。風で勝負。初の選挙とのこと、大切な権利ですから大切に使ってくださいね。政治に関心を持つのはとても良いことです。たかが一票、されど一票ですから。)

33.
セベックは、ロスをにらみつけた。「まったく、おれがタイムマシンにでも乗ってきたって言うのか?それとも今まで10年間眠りこけてたとでも?」

(「まったく」はなくてもいいかな。でもそれ以外はよくまとまっています。
<余談>Daemonの続編も出たそうです。基本的に翻訳検定とかは僕自身が受けないので(苦笑)。むしろ英文と和文がある取説とかを見つけて、実際に訳してみて、最終的にどうなったかというのを比較すると勉強になるかも知れません。)

34.
セベックは、ぎろっとソボルを睨み訊ねた。「僕はタイムマシーンを抜け出てきたとでもいうのかい。それとも、この10年やそこら、眠りこけていたとでも。」

(「睨み訊ねた」だと何か一語のように見えます。実際には訊ねたわけではないんですね。「たずねた」と開いた方がよいと思います。「僕が」かな。「かい」だと柔らかくなりすぎですから「か」でとめてもいいなじゃないかなあ。
<余談>授業とかと一緒で一回サボると、つぎもまあいいかになっちゃうんですよね。来月もお待ちしています。)

35.
セベックは彼を睨みつけながら言った。「俺はタイムマシンで未来にでもきちまったのか?それとも、十年かそこら眠り込んじまったのか?」

(「睨みつける」は開いた方が良いかも。「未来に」は良いですね。ただ刑事だと誰でも荒っぽい口調にすればよいというわけでもないので、そのあたりもう少し丁寧でもいいかも。
<余談>僕は産業が本業なので台詞はだいたい丁寧な口調がほとんど。注意するのは方言を使ったり、口調を汚くしすぎたりしないようにすることですね。テレビドラマのようにはいかないと思います。)

36.
セベック刑事は目をむいた。「私はタイムマシンとやらに乗って来たんですか。それともここ十年の間、寝てたか何かなんですかね」

(口調が少し落ち着かないです。「寝てたか何かなんですかね」って恐ろしく発音しにくいですよ。ということは読み手にもすっと入ってこないということです。音読してみてください。)

37.
セベックは彼をにらんだ。「おれはタイムマシーンとやらに踏み込んでしまったって言うのか。10年やそこら眠ってたってことか?」

(「踏み込む」は、ちょっと感じが違うかなあ。あと台詞の中の2つの文章のつながりというか流れが少し悪くなっています。「それとも」とか、何かしら入れてあげないと読みにくいかな。
<余談>こちらこそよろしく。これ一文で見込みはさすがに判断できませんが、翻訳は横の物を縦にすればいいわけではなく(それなら機械でもよい)、そこに何か付加価値を付けてあげることが大切なのだと思います。トライアルとかを受ける時でも、間違えてはいけないポイントをきちんと訳すことも大切ですが、文章が商品のレベルに達しているかというのも問われるところ。言い換えると、クライアントが期待する訳文になっているかどうか、ですね。そのあたりを意識して訳文を作ってみたらどうでしょう。)

38.
セベックは彼をにらんだ。「俺は間違ってタイムマシンにでも乗っちまったのかね?それともなんだ、この10年まるまる眠りこけてたか?」

(工夫されてていいんですけど、「それともなんだ」はさすがにくどい気がします。台詞って口語なんですけど、書き言葉だと微妙に違うんですね。イントネーションや間がないせいだと思います。「それともなんだ」だとそのあとに一拍あるんですよね。それが文章だと伝わらないんじゃないかなあ。
<余談>にらむは別に構わないですよ。それよりは台詞の中の流れ、そっちに注意してくださいね。健闘を期待します。)

39.
セベックはロスを睨みつけた。「俺はタイムマシンとやらにでも乗って来たっていうのか?それとも10年かそこら眠りこけていたのか?」

(悪くないんですが、台詞の中のリズムが少し悪いかなあ。「眠りこけていたとでも?」とか「眠りこけていたというのか?」くらいだと思います。前者の方がリズムはいいですね。もうちょっと工夫を。
<余談>そうなんですよね。翻訳を仕事にすると、人生、そしてその中で起きる出来事のすべてが勉強になります。自分の知らないことがどれだけたくさんあるのかにも気付きます。情けなくなることも多いですが(^-^)

40.
セベックはロスに食ってかかった。「知らないうちに俺は未来にでも来ちまったのか? それとも寝てる間に世の中は十年も経っちまったってことか?」

(「食ってかかった」は少し強すぎる感じがします。「激しい口調で立ち向かう」という意味ですね。「ちまった」はこの人に合うかどうかがポイントです。思い切って訳し変えているところは良いですが、少し饒舌になり過ぎかな。もう少し簡潔な方が原文の雰囲気が出そうです。あと一歩。
<余談>「ちまった」が聞き苦しいということはないですが、荒っぽい口調というのは意外に難しいんですね。言葉が汚くなれば、語彙も変わります。「俺らが実存的な存在だなんて発言はよう、認識論的な立場から吐けるわけねえだろ」は変でしょ。要はバランスです。)

41.
セベックは彼を睨みつけた。「俺はくそタイムマシーンなんかで来たのか?この10年間眠っていたとでも言うのか?」

(「くそ」を付ける理由がないですね。実際言わないと思うんですよ。fxxkingは強勢なので、別の表現の方がいいんじゃないかなあ。たとえば「か何か」でも「まさか」でも別にいろいろ工夫できると思います。特にアメリカの英語はあまりきれいではないので、この手の言葉をそのまま訳していくと、とても読めたものではなくなるんですね。
<余談>初めまして。がんばってね。やはりまず量を読むこと。それから名訳と呼ばれる作品などを原文と翻訳で比較しながら写経(自分でタイプしてみること)すると勉強になります。文芸なら、故浅倉久志さんとか、白石朗さんの作品はどうかな。もし産業なら、ウェブサイトから英文と和文がペアであるようなニュースリリースとか会社案内、マニュアルなどをダウンロードして自分の訳文と比較してみるというのも良いです。)

42.
セベックはロスを睨みつけた。「いまいましいタイムマシーンに踏み込んでしまったのか? 俺がここ10年、眠ってたとでも?」

(にらみつけたは開きたいなあ。「いまいましい」のでしょうか。それなら「まさか」とかもう一工夫してしまった方がいいかも。あと台詞の中の2文をもう少しうまくつなげると良かったですね。
<余談>個人的には自分が気に入ったものとか、分野があっているものが良いとは思いますが、芥川とか佐藤春夫とかは好きです。思想系なら柄谷行人とか、あと佐藤優とかも面白いですよ。)

43.
セベックは苦い顔でロスを見やった。「俺はタイムマシーンに乗ってたのか。それともこの10年ずっと眠ってたとか」

(その前のロスの台詞で、自分がバカにされたような気がして睨みつけている感じですから、苦い顔はちょっと違うんじゃないかなあ。あとの文章のつながりがもう一つなので、たとえば「眠ってたといいたいのか?」くらいかな。
<余談>解釈自体はそんなに外していないと思うんですが、やはり自分がばかにされたような気がすればむっとするんですよね。ですから、むっとしてロスをにらんだ、みたいなのならまだありかな。)

44.
セベックはまじまじとロスを見た。「俺はタイムマシンとやらに乗り込んじまったのか?この10年間寝てたか何かしたかな?」

(glareだからちょっと違うかな。後半はいい感じなんですが、二つの文章のつなぎをもう少し工夫するとなお良かったですね。
<余談>どうしてもマスコミ、特に新聞とテレビは絶対正しいと思っている人がけっこういますね。どうも、考えることをやめてしまっている人が多いようで。やはり高度成長期を経験している方の中には、いまの若い人がどれだけ大変か分からない場合が多いのでしょうね。いまの若者は本当によく勉強している子も多いけど、機会が与えられなくて何とかならないかな、と思います。)

45.
セベックはロスを睨みつけた。「俺はタイムマシンにでも乗ってやってきたのか?10年やそこらの間眠りっぱなしだったのか?」

(やってきたというと、何か実感っぽい気がします。それよりは「乗ってしまったのか?」みたいなノリで。あと二つの文章のつながりが今ひとつなので、うまくつなぐように工夫してください。
<余談>どうぞよろしく。)

46.
セベックはロスを睨みつけた。「俺がタイムマシンに乗って来たとか、10年くらい眠っていたとでも言うのか?」

(ちょっと台詞は簡潔にまとめた感じかな。それならいっそ「言いたいのか」にした方が良い感じになるんじゃないかなあ。
<余談>初応募ご苦労様でした。やっぱり訳文は勢いというか、「読ませる」というのが大切だと思います。その意味ではもうちょっと工夫してみてください。読者の視点に立つということです。)

47.
セベックは彼をにらみつけた。「俺はタイムマシーンでも通ってきたのか?それともこの10年、昏睡状態だったとか?」

(悪くないですが、タイムマシーンで通るというかなあ。それなら「時間を超えて」とかの方が良いような気がします。にらみつけた理由がもう少しはっきり見えるようにするとなお良いですね。)

48.
セベックはロスをにらみつけた。「タイムマシーンなんてクソったれに乗った方がいいと?俺がこの10年やそこら眠っていたとでも言いたいのか?」

(「クソったれ」と訳しちゃうと本当に下品になってしまいます。「乗った方」ではなくて、「乗ってきた」ですね。英語ではけっこう普通にfxxkingとかsxxtとか使われるので、あくまで強めに過ぎないというつもりで訳した方が自然になると思います。
<余談>講座とかを受けると、ずっと勉強になると思うのでがんばってくださいね。とにかくこつこつとスケジュール通りにやるのがコツです。)

49.
シベックは彼をにらみつけた。「俺はタイムマシンに乗って未来に来ちゃったのかな?それとも過去10年くらい寝過してしまったとか?」」

(シベックじゃなくてセベックかな。「彼」は避けたいところ。台詞のところはそれなりに工夫はされているんですが、この展開なら「俺がタイムマシンに乗って未来に来たとでも」みたいな方が流れるかな。) )

50.
セベックは鋭い目つきを彼に向けた。「何だそれ、俺はタイムマシンにでも乗ってきたのか。それとも10年かそこら、ずっと寝てたのか。」

(「彼」は避けたいです。「何だそれ」は少し口語過ぎ。それなら「どういう意味だ」とかの方がいいかな。そうすると、残りの語尾も変わってきますが。
<余談>はい、こちらこそよろしくお願いします。継続は力なりです。)

51.
セベックはロスをにらみつけた。「俺はくそタイムマシンから降り立ったところなのか? ここ十年ばかし眠っていたか何かだったのか?」

(「くそ」はやっぱりイメージが悪いですね。強めているだけなので、あまりきつい言葉に訳さない方が自然になります。あと、にらみつけたことと、台詞の関連がちょっと分かりにくいので、そこももう一工夫。
<余談>こういうごく当たり前の台詞が本当は難しいんですね。たとえば、「I’ve gotta do my fucking homework.」という文章があったとして「くそ宿題」とは訳さないでしょう? そういう考え方をしていくんですね。「とにかく宿題をやらなきゃならない」とか「ムカつくけど宿題やらなきゃ」とか。その辺の工夫が大切になるのだと思います。もちろん翻訳家の一人1人が違うアプローチをすると思いますから、これが絶対的に正しいというわけではありませんが。)

52.
セベックはロスをぎろりとにらんだ。「おれはタイムマシンで未来に着いたところか?それとも十年くらい眠ってて、いま目覚めたってわけか?」

(「ぎろり」は「じろり」の方がいいかなあ。でも台詞の部分は良い感じですよ。
<余談>政治経済の話はめんどいと感じるのではないかなあ。あるいは自分の人生に関係ないと思う人もいると思います。自殺した韓流スターの葬式に韓国まで行って号泣しているご婦人方を見た時に、こういう方々には少なくとも関係ないんだろうなあとは感じてしまいました。今回はとりあえず目をつぶって投票しますが、そのあとの行動が大切なのだと思います。)

53.
セベックは彼に目を剥いた。「ったく俺はタイムマシンに乗ってきたのか?ここ10年を寝て過ごすかなんかしたか?」

(「彼」は避けたいです。「ったく」はちょっとくだけすぎかなあ。ただこの訳文だと自問になっちゃっているんですね。むしろロスに向けたいんですよ。
<余談>タイムスリップは「あり」だと思いますが、タイムマシンを使っておいた方が確実でしょうね。)

54.
セベックはロスをにらみつけた。「おれはタイムマシンでも通ったってのか?十年かそこいら眠ったままだったわけか?」

(前半はいいんですが、やはり台詞の部分とその前の部分がうまくつながるように工夫したいところですね。言い換えると、読み手の思考の流れが自然になるように工夫するということです。
<余談>やっぱりあまり張り切りすぎると良くないかも(^-^; それよりも自分がどこまでなら確実にできるのかという立場から計画した方がいいですよ。でもまあ娘さんが楽しければそれでいいかも。人生のセイムスケールはあとでじっくり拝見します。ではでは。)

54.
セベックは彼を睨みつけて言った。「俺がこのいまいましいタイムマシーンがもたらす世界に足を踏み入れようとしたかって?この10年やそこいらの間、何もせず無頓着に過ごしてきたかって?」

(まず足しすぎですね。ですから本来の意味から離れてしまっています。サッカーと同じでもっとシンプルにやった方が良いですよ。
<余談>はじめまして。大変ですが、チャレンジングな方が楽しいですから、どうぞがんばってください。)


<全体コメント>

まず全体として、疑問符や感嘆符のあとは1文字空けましょう。その上で、意味を取り違えている人はほとんどいなかったんですが、たとえばfxxkingにつかまってしまって、それを訳出しようとしてかえって文章がスムーズでなくなっている例も散見されました。やはりすらっと読めるというのが大切なので、もう少し読者視点で訳すようにするともっと良くなるんじゃないかな。あと毎回書いていますが、音読してみてください。

そんなに大きな差があったわけではありませんが、今月の敢闘賞は2さん、18さん、29さん、35さん、52さん。MVPは金子奈津代さんです。皆さん、さらに精進してくださいね。

<講師試訳>

セベックは、ロスをねめつけた。「俺がタイムマシンに乗ってきたとでも言いたいのか? それともこの十年ほど寝たままだったと?」

<次回の課題文>
ラハイナだよん。

54 Old Lahaina Wharf
In the early 1940s, little remained of the small pier that once jutted into the sea in front of the Pioneer Hotel. Here, Front Street merchants and Pioneer Mill workers sent and received a wide variety of trade goods — often under perilous conditions including strong cross currents and storm surf.

2行目をお願いします。常体(だである調)で。写真のキャプションですから、あまりくどくならないように。これも意外に訳しにくいですよ。

それではまた来月。メッセージも楽しみにお待ちしております。

★★訳文の応募は締め切りました★★

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