第40回 サイエンス本でちょっと一息

★訳文記載について
・訳文は応募順に記載しています。
・赤字…最優秀訳文、ピンク字…敢闘賞受賞訳文です。

1.
たいていの経済学は、次の四つの言葉に要約できる。”People respond to incentives.(人間はソロバン勘定で動く。)” あとの残りは、この説明にすぎない。

<コメント>「たいていの経済学」がちょっと入りにくいかな。「経済学はおおよそ」とか。前半の硬さと「ソロバン勘定」がちょっとアンバランスかも。アイデアは悪くないので、ちょっと前後がもったいなかったかな。
<余談>いえいえ、今月もちょっとばかりつけておきました。

2.
経済学の大筋は以下のごとくだ。「人はインセンティブに影響される」。それ以外はただの注釈である。

<コメント>書籍の書き出しと考えると、ちょっと荒っぽく感じます。「~となる」とか、一行目ってすごく大切なんですね。すっと入れるのが大切。ちょっともったいない感じです。
<余談>仕事ではあっという間に訳せる時もあれば、1行に数時間悩むこともあります。そういうものですね。

3.
経済とは? 端的に述べればこうだ。「人はインセンティブに反応する。」どういうことか説明しよう。

<コメント>うーん、アイデアは買うんですけど、ちょっと前半が少し原文から離れ過ぎかなあ。「経済とは?」だったら、「経済学とはどのような学問だろうか」くらいまでにしないと。あとeconomicsは経済学ですね。後半は意味がずれています。
<余談>ノリは好きなんですけどねえ

4.
経済の大部分は、「人は意欲刺激に反応する」というたったこれだけの言葉で説明できる。以下に詳しく述べよう。

<コメント>訳語の選択として間違いではないんですけど、もともと一般向けに書かれた本なので、かえって悩ましいかも知れません。economicsは経済学、economyは経済。あと後半はちょっと意味が違ってしまっていますね。
<余談>incentiveにつかまってしまってかえって、前後がもったいない状態になってしまったようです。

5.
ほとんどの経済の変動は端的に表すことができる。「人が刺激に反応する。」残りは解説が必要だ。

<コメント>ええと、変動は、moveとかvolatilityとかswingとかchangeとかfluctuationとかを使います。economicsですから、ここでは経済学。「人は」かな。「残りは~」の部分は必要だといっているわけではなく、まあ平たくいえば「真理はAのみであって、残りはすべてその説明である」という意味です。
<余談>ご苦労様でした。いまはとても就職が大変だそうですが、勝負は自分をいかに差別化するかです。がんばってください

6.
経済学の大部分を要約するとこうなる。「人はインセンティブに対し反応する。」残りの部分は解説だ。

<コメント>「経済学の大部分」ってすっと入ってくるでしょうか。やはり一行目なのでインパクトが欲しいかな。それなら「経済学を一言でいえばこうなる」みたいな方がはるかにインパクトがあります。後半は悪くないのですが、「残りの部分」も少し言葉が多いです。
<余談>習うより慣れろというので、どんどんチャレンジしてみてください。ただ、常に読み手を意識すること。技巧に走って評価されるものではないので。

7.
経済法則のほとんどは、つぎの一文に要約できる。「人は、ご褒美につられる」。それ以外は、解説にすぎない。

<コメント>「経済法則」だとlawsとかprinciplesかなと考えてしまいます。もっと話は大きく、「経済学とは」なんですね。「ご褒美につられる」は悪くないんですが、それだともう少しくだけた文体にしないとちょっと浮きすぎです。
<余談>経済学とかわざわざ難しくしなくてもいいのにという言葉が一杯出てきますね。最近だと「不胎化介入」。「為替介入に際して外貨売買の結果、自国通貨の量が増減する場合に自国の通貨の増減を相殺するような金融調節を実施することによって、為替介入後も中央銀行通貨量が変化しないようにする外国為替市場介入。」ことだそうで。英語はsterilized intervention。
「To use offsetting open market operations to prevent an act of exchange market intervention from changing the monetary base. With sterilization, any purchase of foreign exchange is accompanied by an equal-value sale of domestic bonds, and vice versa.」どちらが分かりやすいかは一目瞭然ですね。

8.
経済学の大部分は次の4文字に集約され得る。「報酬反応」。残りの部分はその解説である。

<コメント>「文字」としてしまうと、逆に自分の訳文を縛ってしまうと思います。「報酬反応」とすると、たぶん生物学の方を考えてしまうのではないかなあ。専門用語っておっかないんですよ。ただ、アプローチの仕方はとても面白いと思いました。ですから、これも惜しい訳文なんですね。もうちょっと調べれば気付いたはず。訳語を今度はGoogleなどで検索し直すという作業がなかったですね。
<余談>写経はぜひやってみてください。セクハラ、パワハラもいじめですね。昔から「出る釘は打たれる」といいますが、農耕文化的なものもあるでしょうし、それ以上に嫉妬の文化になっているような気がしています。景気が悪いというのはそういう面でも良くないですね。

9.
経済における表現のほとんどは”People respond to incentives.”のように4つの英単語が使われる。後は解説のみである。

<コメント>意味がちょっと違っています。そうではなくてsummarizedですから、平たくいえば「~にまとめられる」。ですから「次の4語にまとめられる」です。economicsは経済学、economyは経済、似たような感じですが意味が違いますので注意してください。
<余談>はいはい、こちらこそよろしく。

10.
経済学の大半は、”人はインセンティブに反応する” の一言で表すことができる。それ以外は注釈である。

<コメント>大半でも悪くはないですが、もう少し大きく受けても良いと思います。「およそ」とか「概して」とか。ただ文章としては読みやすいと思います。
<余談>だいたい5時半から6時半に起きて、食事やメールチェック&返事を書いてから、だいたい7時から8時の間にスタート。だいたい11時から12時まで仕事。食事。昼寝。2時から2時半に再開して、だいたい7時過ぎまで仕事。(その間に散歩に1時間くらい出ます。)それから食事をして、9時くらいから再開、だいたい11時から12時まで働いて風呂に入って寝ます。10時間勤務が普通という感じです。本当に忙しいと昼寝と散歩が削られます。

11.
経済を一言でいえば「人は利益に反応する」ということになるだろう。あとは補足だ。

<コメント>これは悪くないんですが、利益がちょっと微妙というか、悩ましいところ。悪くはないんですが、利益だけかなあというのが悩ましいところ。「an incentive is any factor (financial or non-financial) that enables or motivates a particular course of action, or counts as a reason for preferring one choice to the alternatives. It is an expectation that encourages people to behave in a certain way.」なので。「あとは補足だ」だとちょっと意味がはっきりしないので、「あとは補足に過ぎない」とかの方がいいかな。
<余談>kindleは存外役立ちますよ。携帯用ブラウザにもなりますし、kindle用の英辞郎もありますから便利。ひめぽん(嫁)が僕のより新しいのを買って、日本語環境を活用しています。

12.
経済学の本質は、この一言に尽きる。「人はインセンティブに反応する。」残りは注釈に過ぎない。

<コメント>訳文としては問題ないです。やや色気に欠けるところはありますが。
<余談>常用漢字はあくまで義務教育ではそれ以外を使わないようですが、これはある意味仕方ないこと。言い方はなんですがこんなもんに縛られていたら、個人名すらひらかなければならなくなる。難しい漢字を無理して使う必要もありませんが。下に常用漢字の候補になりながら外された漢字を挙げておきます。これなしで翻訳できると思いますか?疑問に思ったら調べてみましょう。
叩 噂 濡 笠 嬉 朋 覗 撫 溜 鷹 揃 頷 翔 喋 洩 禄 栗 馴 駕 鴨 淵 駿 蘭 胡 蘇 狼 蝶 惚 蒼 腿 菩 吊 雀 樽 壺 祀 卿 歪 棲 磯 桶 鷲 媚 寵 秤 套 疼 賤 糊 誼 截 綬 庄 毅 揆 躇 躊 憐 狽 萌 撥 謳 蔓 捏 饉 倦 恍 斡 膠 疇 謗 乖 誹 蒙 聘 憚 哨 諜
あと一般に訳されている分を引用する場合も、そうでない場合もあります。ケースバイケース。

13.
経済学の大部分は、この1文に要約できる。「人はインセンティブ、即ち報酬や得する情報に反応する」。残りの部分は解説である。

<コメント>「1文」は「一文」の方が良いかな。「得する情報」は少し絞りすぎかも知れません。「残りの部分は」だとちょっと弱いかな。「あとは」くらいの方がインパクトがあります。
<余談>説明はいいんですけど、ちょっと「得する」が気になりました。うちは昨年は冷房を使ったのが3日でしたが、今年はほぼ毎日。さすがに体調的にはきつかったですが、仕事があるのでそうもいっておられず、ほとんど休みなしで働きました。

14.
経済学の核心はこう表現できる。「人はインセンティブに反応する」。あとは注釈なり。

<コメント>悪くないです。ただ最後がちょっと文体的に浮いているかなあ。「あとはすべて注釈である」で十分だと思います。
<余談>年に50冊、がんばってください。1年後に報告を聞くのを楽しみにしています。最初の20冊くらいは好きなジャンルでかまいませんが、YAはやはり語彙が狭いので、後半はできるだけ大人向けのものにすると良いでしょう。。

15.
「人は誘因に対して行動する。」経済学の本質の大部分はこの一文で語れてしまう。他の文章はその解説にすぎない。

<コメント>これも悪くはないです。前後を入れ替えたのはうまいですね。ただ「誘因」という用語を使ってしまうとかえって取っつきにくくなると思います。あと「他の文章」はちょっと違うかな。というか文章に限定するべきではないと考えます。
<余談>経済関係は難しいです。今日も高橋洋一の「日本経済のウソ」(ちくま新書)を読んでいましたが難しい難しい。でも勉強しないと分からないので少しずつでも継続することが大切ですね。

16.
経済学の大部分は次の一言に集約される。「人は刺激に反応する」。残りは注釈である。

<コメント>「刺激に反応する」は意味としては合っているんですが、単純にこれだけを読むと生物学みたいになってしまいます。ただ全体としては良くまとまっているので、もう少し工夫してみてください。
<余談>コンテスト、励みにはなりますね。ただあまり数を多くやりすぎると、その分クオリティが落ちてしまう可能性もあります。その辺に注意してみてください。

17.
経済学は、ほぼ次の4語に尽きる。「人は 刺激を 受けると 反応する」 これ以外のことは、解説に過ぎない。

<コメント>これだと四語になってないような。無理して切ってもあまり読み手にとっては意味がないです。もう少し並びも工夫した方がいいかなあ。刺激を受けると反応するだと、生理学のようにも読めてしまいますね。
<余談>four wordsを捨てればいいんですよ。さもなければ残すしかない。

18.
経済学の要諦は「人は刺激に反応するもの」だ。あとは注釈に過ぎない。

<コメント>うーん、意味はあっているんですけど、パンチに欠けてしまいました。刺激は確かにそうなんですが、ちょっと弱いかなあ。

19.
人々はインセンティブに反応する。」経済学ではたいていこのように要約される。あとは解釈次第だ。

<コメント>いや、「経済学では」ではなくて、「経済学が」ですね。ちょっと意味がずれている感じです。
<余談>いろいろ読んでみてください。経済学は皆さんの生活に関わってくるものですから、少しでも勉強しておくとよいです。

20.
経済学の大部分は「人は得するように行動する」という言葉に集約できる。残りの部分は解説に過ぎない。

<コメント>雰囲気は良いと思います。厳密には少しずれていますが。
<余談>毎月1日以上これでつぶれますが、やはり毎月応募してくださる人のことを考えるとできる範囲でコメントしようと思います。

21.
ほとんどの経済学は一言で表現できる。「人はボーナスにつられる」あとは、人は説明に左右される。

<コメント>ボーナスはさすがにちょっと意味が飛びすぎです。二番目の文章も原意から離れすぎ。もう少し丁寧に。

22.
経済学の大部分は、「人間は意欲を掻き立てるものに反応する」の一言で要約できる。残りは注釈だ。

<コメント>悪くはないです。もう一歩かな。括弧の中の部分はけっこう良いと思うのですが、二番目の文章をもう少し工夫すると良かったですね。
<余談>こちらこそ。

23.
経済学の大部分は一言でまとめられる。「人々は刺激に反応する」。あとの残りは論評だ。

<コメント>前半はいい感じです。「あとの残り」は、同語反復っぽいなあ。「あとは~に過ぎない」とか。
<余談>これからの日本は放置すれば悪くなるばかりですが、そうならないように自分から少しでも発信なり動くなりしないといけません。そう思って、今回もいろいろ書いてみました。いまの状態を放置すれば、こうやって書くこともできなくなるかも知れないので。kindleは日本語もサポートするようになったので、青空文庫あたりから著作権の切れた文学などを読んだりすると良いですよ。

24.
経済学において、ほとんどの学説はこの一文に要約することができる。「人々は刺激策に反応する」。あとはただの注釈に過ぎない。

<コメント>「策」というのは「はかりごと」という意味なので、少し限定的に過ぎるかも知れません。あと「学説」だけの話ではないので、これも足しすぎに思えます。
<余談>ウェブサイトはこれというのはありませんが、海野文男・和子著「ビジネス技術実用英語大辞典V5」が出ましたのでこれはお勧めです。

25.
経済のほとんどは、この一文に集約されるだろう――人は刺激に反応する。残りは、その解説だ。

<コメント>さらっとまとまっていて悪くはないです。刺激の部分はもう一工夫してほしかったけど。
<余談>目が悪くなければ、フォントを小さくすることで、表示される範囲を広げられますから、同じような効果が得られますよ。

26.
経済学という学問の大部分は次の一言で要約できる。「人間はインセンティブに影響されるものである。」残りの部分は、この言葉の説明に充てられているにすぎない。

<コメント>前半は悪くないのですが、後半がやや多弁に過ぎるかも知れません。The rest is commentary.は、なかなかパンチが効いているんですね。

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