第44回 被災者の皆様にお見舞い申し上げます

16.
叔母は私が頭にきていたメールとは何の関係もなかったけれども、何も知らずに事務所に入ってきて、じろっと睨みつけられる格好の的になってしまった。

<コメント>「おば」は日本語の場合、漢字にすると伯母と叔母どちらにするかによって意味が変わります。はっきりしていない時には漢字は避けたいところ。「何」が繰り返されるのがちょっともったいないかなあ。
<余談>どうしても自分の側に持ってきて訳そうとしてしまうんですね。そこは注意が必要です。がんばってね。

17.
メールとはもちろん何の関係もない。爆発寸前。まさに絶妙のタイミングでふらっとオフィスに入ってきてしまった彼女は、八つ当たりの格好の餌食となった。

<コメント>うーん、まずいじりすぎ。爆発寸前の主語は誰? 原文はそんなに詩的ではないです。もっと原文に忠実に訳して良いし、訳すべきだと思います。その上で、そこに読者という視点、日本人という視点で多少の工夫が必要となります。
<余談>とにかく、不器用なほど忠実に訳す練習をした方がいいです。自分の訳文を読者になったつもりで読んでみてください。何が起こっているか分からないはず。最初は基本からスタート。

18.
おばさんは、この腹立たしいメールとはなんの関わりもなかったが、たまたま私のオフィスに入ってきて睨まれるはめになってしまったのだ。

<コメント>悪くはないんですけど、もう少し流れを良くするといいかな。たとえば「たまたま私のオフィスに入ってきたばかりに」とか、ちょっとした語尾とかなんですが、ずっと流れが良くなるかなと。
<余談>むかつくでも別に良い気もしますが、その場合、全体のトーンがかわりますね。東京も暑かったり寒かったり、です。

19.
ネッティはそのムカつくメールとは何の関係もなかったけれど、悪びれもせず事務所に入ってきたりするから、格好の餌食としてにらまれる羽目になるのだ。

<コメント>「悪びれる」は、「気おくれがして、おどおどする」ですね。おばさんはもともと何の悪気もなかったのですから、気後れすることもないはずです。後半はにらんだ先におばさんがいた、というニュアンスを出せるといいですね。
<余談>お久しぶりです。またよろしくね。

20.
ネティーおばさんは私の頭を散々悩ませていたメールとは何の関係も無かったが、何も知らずにオフィスに入ってくるなり睨みつけられる格好の標的になってしまった。

<コメント>「頭を悩ませる」というと考え事をしていたような感じもしますが、ここではちょっとニュアンス違うので、「頭痛の種」のような表現の方がいいかも、「睨みつけられる」は開いた方がいいかな。「睨みつけられる格好の標的」はちょっとくどく感じられるかも。
<余談>はい、こちらこそよろしく。

21.
彼女は僕の腸を煮えくりかえらせていたそのEメールとは全く関係なかったけれど、何も知らずに僕の仕事場に入ってきたものだから、睨みつけるには格好のターゲットになってしまったのだ。

<コメント>主人公は女性で離婚経験もあるくらいなので、「僕」と一人称にするのはちょっと紛らわしいかなあ。「睨みつける」というのは意図的じゃないですか。でも、リーは画面に向かってきーってなっていたら、その視線の先におばさんがはいってきたみたいな動きなんですね。
<余談>よろしくです。

22.
Eメールには頭にきていたが、おばさんには何の関係もないことだった。しかし、悪気がないとはいえ私の仕事場に入ってきたため、睨むのに丁度良かったのだ。

<コメント>悪くはないんですけど、前の文章が逆接になっていて、さらに「しかし」で逆接というのは流れが悪くなりますね。そのあたりの思考の流れがもう少しナチュラルになるように訳すといいですね。
<余談>インフルエンザは大変でしたね。残念ながら一度かかればすべてのインフルエンザに対して免疫とはいかないと思います。

23.
私をいらいらさせるEメールと何の関わりもないけれど、彼女は私に睨みつけられる格好の獲物となるよう振舞って、無邪気に事務所へ入って来た。

<コメント>「Eメール」は縦書き考えるとちょっと避けたいですね。訳し下げないと、起こったことの順番が分からなくなりますよ。切れてる私>入ってきたおばさん>にらみつけられる という順番ですから。
<余談>大切なのは思考の流れなんですね。「振る舞う」というのは意図的な行為です。おばさん、たまたま入ってきただけですから。「のこのこ」の方が良かったと思います。本はいろいろ読んでみてください。経済は最初から難しいのを読まなくてもいいですよ。

24.
ネティーおばさんは、わたしをいらつかせているEメールとはなんの関係もないけれど、無邪気にわたしのオフィスに入ってきたものだから、ひと睨みされる格好の標的になってしまったのだ。

<コメント>「Eメール」は電子メールかメールで。これは割とさらっと訳されていて悪くないと思います。
<余談>たぶんちょっと複雑な文章になるとはまるんだと思います。1つの方法は、法律文、特に契約書をきっちり訳す訓練だったりします。文法力や正確な理解が求められますので。

25.
私をイライラさせるEメールと彼女は何の関係もないのだが、八つ当たりするには丁度よかった。無防備に私のオフィスに足を踏み入れたりするから、にらみつけられるという不運を招く破目になるのだ。

<コメント>「Eメール」はちょっと注意。「させる」よりは「させている」の方がいいかな。八つ当たりしたわけではないんですね。たまたま睨みつけられただけです。
<余談>初めまして。簡単そうでいて、実は(どんな物事も)奥行きがあります。自分も勉強中です。どうぞがんばってください。

26.
私を狂わんばかりに苛立たせているそのメールと、ネッティはなんの関係もなかった。しかし、なんとはなしにオフィスに入ってきた彼女は、私の敵意に燃える眼差しの、手近な標的となってしまった。

<コメント>訳文自体は間違っているわけではないし、「なんとはなしに」というのもなかなか好きなんですが、ただ原文の持つユーモラスな感じがなくなってしまっているんですね。もう少し軽く。
<余談>あらま、それは残念でした。De La Mareがさらさらと読めるようなら苦労しません(笑)。多少、自分にとって難しいなと思えるくらいの(でも面白い)本を読んでみてください。Mary Higgins Clarkは、大学1年生が最初に英語になれるために読むようなレベルなので。

27.
彼女は、わたしをイライラさせてきたEメールと何の関係もなかったけど、無邪気にわたしのオフイスに入ってきたので、にらみ付けるにはちょうどいい的だった。

<コメント>縦書きをちょっと意識するといいですね。オフィスが一般的な表記かな。多少カジュアルな口調ですが悪くはないと思います。「的になった」の方が原文のニュアンスに近くなりそうです。

28.
このむかつくメールとは無関係だったが、何も知らずに事務所に入ってきた彼女を、私は格好の的とばかりに睨みつけた。

<コメント>うーん、これだと意図的に睨みつけたことになっちゃうんですね。そうじゃなくて、睨みつけた先におばさんがいたということなんですよ。前半が悪くないのでちょっともったいないかな。
<余談>やはり意味が違うんですね。そのあたりを思い込みで訳してしまった方が多いということです。個人的には、特に初学者はなるべく原文の通りに訳していく練習をするべきだと思います。いきなり大リーグはムリです。でも仕事が見つかって良かったですね。

29.
おばさんは私をイライラさせていたEメールとは全く無関係だったが、無邪気にも私の事務所に足を踏み入れたことで、腹立ちをぶつける格好の餌食となってしまったのだ。

<コメント>Eメールは(電子)メールで。全くは開いた方がいいです。「無邪気にも」というとちょっと大上段に構えているように感じられるので、もう一工夫。
<余談>はじめまして。誤訳から傑作まで含めて、同じ文章からこれだけいろいろなパターンが出てくるところがおもしろいところです。

30.
彼女は私を悩ませてきたメールとはまったく無関係だったんだけど、たまたま私のオフィスに立ち寄っただけに否が応でも私のきつい眼差しの格好の標的になっていた。

<コメント>前半はなかなか良い感じだったんですが、「立ち寄っただけに」がちょっと違うかな。「立ち寄ったばかりに」だったら敢闘賞。あと後半は少しことばが過剰かも知れません。

31.
彼女は、ここのところずっと私をいらつかせている電子メールとは 何の関係もなかった。だが、たまたま事務所に入ってきて私の怒り の格好のはけ口になってしまったのだ。

<コメント>悪くないです。ただ、「なかった。だが」だったら「なかったが」で十分ではないかなあ。
<余談>ナンプレと違うのはこういう文章が何千行とつながって、全体が形作られていることです。

32.
彼女はクソッタレなメールとは何の関係もないけれど無神経に私のオフィスに入ってくるので単に目障りなのだ。

<コメント>やはり読み物ですし、コジー系ですから、「クソッタレ」のような表現はちょっと避けた方がいいんじゃないかなあ。無神経というとちょっとニュアンス違うと思います。もう少し丁寧に訳した方がいいかと。
<余談>やはり地味な努力の積み重ね、特に読んだ量が大きく影響するので、がんばってください。

33.
腹が立つEメールとは何の関係もないが、そしらぬ顔で断りもなくオフィスに入ってきた彼女に怒りの矛先を向け、にらみつけた。

<コメント>縦書きを意識しましょうね。「素知らぬ顔」というのは、「何か思うところがあるけど、それを隠している感じ」ですから、ちょっと違うと思います。睨みつけた先に彼女がいたんですよ。
<余談>なかなか面白そうでしょ。アメリカの書店に行くと、コジー・ミステリーはどんと1コーナーあったりします。

34.
ネッティおばさんはいまいましいeメールとは無関係だが、何も知らずに事務所に足を踏み入れてしまったために、うまい具合にわたしにぎろりとにらまれる格好になった。

<コメント>eメールなど細かい突っ込みどころはありますが、後半がなかなか良くできていて気に入りました。前半をあとで、訳し直してみてください。

35.
おばは、私のはらわたを煮えくり返らせていた電子メールとは無関係だが、何も知らずに私のオフィスに入ってきて、手っ取り早くにらみつけられる羽目になったのだ。

<コメント>前半は少し派手かな、という気もしますが、うまく流れをつかんではいると思います。
<余談>どうぞこちらこそよろしくお願いします。

36.
彼女は、わたしをイラつかせていた電子メールとは何のかかわりもなかったが、何気なくわたしの仕事場に入ってきたばかりに、格好の餌食となってわたしに睨みつけられてしまったのだ。

<コメント>後半がもう一工夫かな。でも全体の流れは悪くないと思います。
<余談>どうぞよろしく。

37.
おばさんは、その腹立たしいメールとは何の関わりもないのだけれど、何も知らずに私のオフィスに入ってきて、八つ当たりを受けるはめになった。

<コメント>「八つ当たり」というと主人公が意図的にやることになるんですが、ここではそういうつもりではなく、画面から目を上げたらその先におばさんがいたという感じ。
<余談>はじめまして。勉強になるかどうかは分かりませんが、とりあえず少しでもお役に立てればうれしいです。

38.
おばさんは、私の怒っていたEメールとは全く関係なかったものの、何食わぬ顔で部屋に入ってきたとたん、怒りの視線が向けられる身近な標的になってしまった。

<コメント>Eメールや「全く」はちょっと工夫してみてください。「何食わぬ顔」は「何も知らないようなふり」です。おばさんは別に「ふり」をして入ってきたわけではないですね。

39.
おばさんはこの頭の痛い電子メールとは何の関係もないけれど、のんきに仕事場に入ってくるものだから、格好な怒りのはけ口になってしまう。

<コメント>ああ、これはちょっと惜しいなあ。「のんきに」はなかなかいい感じ。「はけ口になってしまった」かな。ただ原文のニュアンスから少し違っているんですね。そのあたりが良ければ敢闘賞。

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