第74回 読者に伝わる訳文を作るには

1.
トヨタの白いバンが近づき、ヘッドライトの明かりが橋の下の暗闇を照らしだした。ガルヤは小刻みに震える体を橋脚にぴたりと寄せたが、頬を押し付けたコンクリートは氷のように冷たかった。

<コメント>うまくまとまっているとは思うんですが、「寄せたが」が引っかかるかな。
<余談> そうなんですよ。怖いんですよ。慎重にかつ大胆にがコツです。

2.
白いトヨタのバンが近づいて来て、そのヘッドライトが橋の下に影を投げた。ガリアは、頬にコンクリートの氷のような冷たさを感じながら、震える体を柱にへばりつかせた。

<コメント>ヘッドライトが影を投げたのではなく、橋の下の影を照らしたんですね。「へばりつかせた」は間違いではないんですが、ちょっと読みにくいかなあ。
<余談> 夏ばて対策はないんですが、早寝早起きと十分に休みを取ることかな。晩夏にこれを読もうというのはないです。その時手が届くところにある本を読みます。

3.
白いトヨタのライトバンが近づいてきた。ヘッドライトの光が橋の下の影に浴びせられる。ガルヤは震えるからだを柱に押し付けた。コンクリートが凍りつくように頬に冷たい。

<コメント>「バン」は「箱型荷物室を備えているトラック」なので、ここではライトバンとは限りません。淡々とした文体は良いと思うんですが、「浴びせられる」はちょっと工夫してもいいかな。

4.
白いトヨタのワゴン車が近づいてくる。ヘッド・ライトが橋の下の闇を照らし出した。ガーリャは、ひんやりと冷たいコンクリートに頬を押し当て、震えながら橋脚にぴったりと張り付いた。

<コメント>ワゴン車は「セダンの車体後方を拡張して、荷物室を設けた乗用車。」だから
・wagon = sedan but with a 3rd compartment similar to the back of a van.
・van = not a sedan ..more interior space and extra row of seating. のような違いになるかな。「ヘッド・ライト」は普通は一語じゃないかと。最後のところは間違ってはいないんですが、flattened * againstのニュアンスは出したいですね。

5.
白いトヨタのバンが1台近づいてきて、ヘッドライトで橋の下の影を照らした。ガルヤは、コンクリートの氷のような冷たさを頬に感じながら、震える体を柱にぴったりつけた。

<コメント>「氷のようなコンクリートの」かな。意味は取れているんですが、ちょっと色気不足。

6.
トヨタの白いバンが、ヘッドライトの灯りで橋の下の影を照らしながら近づいてきた。ガルヤは震える体を橋脚にぴたりと貼り付けた。コンクリートがひどく頬に冷たかった。

<コメント>細かいことですが、「照らしながら」が引っかかるかなあ。ながらだとずっと照らしている感じがするんですね。後半はいい感じです。
<余談> うまくまとめていると思うんですよ。ただ「ながら」がちょっと冗漫な感じがするんですね。「近づいてきて、~照らし出した」みたいな。

7.
白いトヨタのバンが近づいてきて、橋の下の暗闇をいっぱいに照らし出した。ガルヤは震える体を支柱に押し付け、身を隠した。頬にあたるコンクリートが、氷のように固く冷たかった。

<コメント>「身を隠した」はいらないんじゃないかなあ。「押しつけた」で十分。「固く」もないんじゃないかなあ。
<余談> 分けて書き下すのはオッケーなんですけど、少しない情報を足しすぎじゃないかなあ。足すと楽なんですよ。でも楽しくないのが上達のコツだったりします。パターソンも長いですね。

8.
橋の下をヘッドライトの影が大きく浮かび上がり、白いトヨタ・バンが接近した。ガルヤは、頬に氷のようなコンクリートの冷たさを感じながら、震えている体を柱に寄せた。

<コメント>「ヘッドライトの影」が浮かび上がるというと違う風景ですね。「接近した」は少し色気に欠けますね。

9.
白いトヨタのバンが近づき、ヘッドライトで橋の下の影を照らした。ガリヤは震える体を柱に押しつけ、頬にそのコンクリートの氷のような冷たさを感じた。

<コメント>訳文として間違ってはいないんですが、色気不足。「その」を足したことで「の~の~の」とリズムが悪くなっています。
<余談> ご質問に対する回答は、本文に書きました。もっと読者を意識しないと。

10.
白いトヨタのバンが迫ってきていた。ヘッドライトが絶えず橋の下の暗がりを照らす。ガルヤは震えながら、橋の支柱に張り付くように身を潜めた。頬にあたるコンクリートの感触が氷のように冷たい。

<コメント>「迫ってくる」というほどの圧迫感はないんじゃないかなあ。「近づいてきた」とか。「絶えず」も不要。「震えながら」にしちゃうとちょっと原文とニュアンス変わるんですよ。最後はいい感じ。

11.
白いトヨタのバンが近づいてきた、ヘッドライトが橋の下の陰を照らし出していく。ガルヤは震える身体を橋脚にぴったり押しつけた、コンクリートが頬に氷のように冷たい。 <コメント> 「照らし出す」だと「光を当ててはっきり現す」という意味になってしまいますね。そのほかは良い感じなのでもったいなかったなあ。

<コメント>「照らし出す」だと「光を当ててはっきり現す」という意味になってしまいますね。そのほかは良い感じなのでもったいなかったなあ。
<余談> あらま、それはお大事に。健康第一ですよ。ちなみに僕は8月中旬から平日は5キロ、週末は10キロをノルマに散歩してます。腰痛がかなり改善されました。

12.
白いトヨタのライトバンが近づき、ヘッドライトの溢れるような光が橋の下の暗闇を照らした。ガルヤは震える体を橋脚にぴったり寄せたが、頬にコンクリートが氷のように冷たかった

<コメント>うまくまとめてあるかな。「寄せたが」のところは一度切ってしまってもいいかもしれませんね。(「が」が逆接に読める。)

13.
トヨタの白いバンが近づいて、橋の下の暗がりが、ヘッドライトの光で満ちる。ガルヤは震えながら柱に張り付き、コンクリートの氷のような冷たさが、頬に伝わった。

<コメント>意味としては合ってるんですが、主語が切り替わりすぎて少し散漫な印象を与えるかも知れません。

14.
白いトヨタのバンが近づき、ヘッドライトの明かりが橋の下の闇にあふれた。ガルヤは震える体を橋脚に押しつけ、コンクリートの氷のような冷たさが頬にあたった。

<コメント>「頬にあたった」はちょっと違和感があるかなあ。「押しつけた。~コンクリートが~冷たかった。」みたいな感じでもいいと思うんですが。
<余談> 今はこの不況と絶対的な読者数の減少もあって、出版は決して明るい状況とは言えないかも知れません。そういう中でベストセラーになる作品というのは力があるんですね。そういう作品でなければ、とにかく粘り強く持ち込むことだと思います。

15.
トヨタの真っ白なバンが近づき、ヘッドライトが橋の下に影を落とした。ガリヤは、震えながらぴったりと柱に身を重ねた。文字通り氷のような冷たさが、頬に伝わった。

<コメント>真っ白かどうかは分からないんじゃないかな。「白い」で。橋の下に出来ている影をヘッドライトの光が照らして明るくしてしまうんですね。
<余談> とにかく量を読むことです。がんばりましょう。

16.
トヨタ社の白いバンが近づいてくる。ヘッドライトが橋のたもとの暗がりを照らし出す。ガルヤは震えながら橋脚にしがみつき、身を潜めた。頬を押し返すコンクリートの固まりは氷のように冷たい。

<コメント>こういう時は「トヨタ社」とは訳さないんじゃないかな。「トヨタ製の」。しがみつくだと「はなれないように、しっかりと、とりつく。」だから少し違うと思います。「コンクリートの固まり」はちょっと違うかな。もう少しストレートに。

17.
白いトヨタのバンが近づいてくると、ヘッドライトの光で橋の下に影が広がった。ガルヤは震える体をぴたりと橋脚にはりつかせた。頬に当たるコンクリートが氷のように冷たかった。

<コメント>ヘッドライトの光が橋の下を明るくしたんですね。それ以外は良いと思います。

18.
白いトヨタのバンが近づいてきた。ヘッドライトがまばゆく光り、橋の下の影を照らし出した。ガルヤは身震いする体を柱にぴたりと寄せた。コンクリートが氷のように冷たく頬に触れた。

<コメント>「まばゆい」という情報はちょっと足しすぎかな。「橋の下の影を照らす」で十分かな。語尾が全部「~た」になっているので、もう少しリズムを考えるといいかも。
<余談> がんばってくださいね。最初は足し引きしないことを意識しましょう。

19.
トヨタの白いバンが近づいてきて、ヘッドライトが橋の下の暗がりを照らしだした。ガルヤは震える体を橋脚におしつけた。頬にあたるコンクリートが氷のように冷たい。

<コメント>「照らしだす」だと「光を当ててはっきり現す。」なので暗がりがよりはっきりするという意味になってしまいますね。それ以外は良いと思います。
<余談> 高いですねえ。アベノミクスといっても株を持っている人とか、輸出やっている大企業以外はメリットが感じられません。消費税も上がるようで、生活は苦しくなるばかりです。

20.
一台の白いトヨタのバンが近づき、ヘッドライトが橋の下の暗闇を照らした。ガルヤは震える体を橋柱に押し付けた。コンクリートの凍てつくような冷たさが頬を刺した。

<コメント>語尾で「~た」が続くのがちょっと気になるかな。全体的にはうまくまとまっているかな。

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