第81回 ハワイからお届け

1.
オークの大木はベロニカの車めがけて倒れてきた。もうだめかと思われたその惨事をまぬがれたのは、彼女の素早い反射神経のおかげであった。車は、すごいスピードで突っ走り、車の後ろでは、折れたオークの木が道路の上に音を立てて転がった。

<コメント>「もうだめかと思われたその惨事」はちょっとくどい感じ。「音を立てて転がった」は書き込みすぎかな。もう少しナチュラルな訳文になるといいですね。

2.
巨大なオークの木が彼女の車に襲いかかろうとした。彼女が素早く反応したから、避けられないと思われた車の壊滅から何とか逃れた。割れた木が車の後方の道路に打ち付けた時に、車はちょうどそれを通り越した。

<コメント>さすがに「オークの木が……襲いかかる」は少しやりすぎかな。「車の壊滅」はまあ言わないでしょう。打ち付けた時にちょうど通り越すと当たってそうな気がします。意味を把握した上で、もっとこなれた日本語に。
<余談>ネットで似た文章を探して読んでみる手もあります。

3.
その大きなオークの木は、今にも彼女の車の上に倒れてきそうだった。車がぺしゃんこにならなかったのは、ひとえに、彼女がとっさにきかせた機転によるものだった。巨大な木の断片が背後の路面に音をたてて倒れたときには、車はずんずんと先へ突っ走っていた。

<コメント>「倒れてきそうだった」だと、これから倒れ始めるみたいな読み方もできてしまうので、もっと緊迫感が出るといいですね。「機転」はちょっと違う感じ。reflexesは反射能力とかなんだけど、そのままだと色気がないので工夫した方がいいかな。「ずんずん」ももう少しスピード感がある単語がいいなあ。
<余談>わー、誰だろう。今度教えてね。

4.
樫の巨木が車の上にのしかかってくるところであったが、ヴェロニカの素早い反射神経のおかげで、避けられないと思われた最悪の事態は回避された。車が勢いよく前へ突進すると、その巨木の断面が、車のすぐ後ろの地面を叩きつけた。

<コメント>意味的にはあってるんだけど、少し饒舌過ぎてしまって原文の持つスピード感が欠けちゃってる気がします。もっと言葉を縛り混むといいですね。
<余談>おかえりなさい。一年ぶりにアメリカの本屋を訪れると、コジーの棚の表紙にはやはり猫が多いです。

5.
その巨大な樫の木は、車を直撃する恐れがあった。助かったのは、ひとえにすばやい反射神経のおかげだ。でなければ、きっと全壊だっただろう。車が走り出たと同時に、割れた大木が背後の地面に叩きつけられた。

<コメント>annihilationだから死んじゃうんじゃないかな。「恐れがあった」だと何かスピード感がないんですね。たとえば「直撃しそうだった」なんだけど、もう一歩進めれば「まさに車を直撃しようとしていた」とか。でも「車の上にまさに倒れようとしていた」とかの方がスムーズだと思うんですね。
<余談>ご苦労様です。一日一分でも英語に触れるだけでだいぶ違いますよ。僕も数日英文を離れると、リハビリが大変です。息子さんはそれが仕事です(笑)。

6.
樫の大木が危うくヴェロニカの車の上に倒れ込んできそうになったが、持ち前の素早い反射神経に救われて、かろうじて壊滅的打撃を免れた。 車がすり抜けると同時に、その後ろで道路に大木の断片がたたきつけられた。

<コメント>「危うく」はいらないかな。意味的にはあってるんですけど、やっぱり色気が足りないと思います。もう少し工夫すればずっと良くなると思います。

7.
巨大なオークの木が車にぶち当たりそうだった。ベロニカに俊敏な反射神経がなければ、間違いなく命中していただろう。車がものすごい速さで走り抜けると同時に、巨木の一部が道路を直撃した。

<コメント>「ぶち当たる」は、小説の訳文としてはちょっとどうかな。命中よりは直撃だけど、もう一工夫。
<余談>もうちょっと訳語を細かく選んだ方がいいかも。小説ではとくにトーンが大切になるので。チェッカーというのも質の差がものすごいので、まあ仕方ないです。たまに泣けてくるような質問があったりします。

8.
そのオークの巨木は、ベロニカの車を今にも直撃しそうだった。だが、反射的にとった咄嗟の行動のおかげで、彼女は九死に一生を得た。車は前に突進した、とその時、後方の路上に割れた巨木の断片が落ちてきたのだ。

<コメント>前半はなかなかいい感じなんだけど、「前に突進した、と……」のところがもったいないなあ。「九死に一生」は良いですね。

9.
樫の大木が倒れかかろうとしていたが、ベロニカは機敏に車を操作して、間一髪下敷きになるのをまぬがれた。ロードスターがぐんぐんとスピードを上げる後方で、裂けた大木が道路に落ちて大きな音を立てた。

<コメント>「倒れかけていたが」でもいいかな。「音を立てた」もいらないかも。

10.
楢の巨木が彼女の車を押し潰しそうになったが、咄嗟の反応で彼女は悲劇を免れた。間一髪車を発進させ、その直後に折れた巨木が道を打ったのだ。

<コメント>悪くはないんですが、やや色気に欠けるかな。もう少しスリリングな感じが出るといいです。発進させだと、車が止まっている感じになっちゃうかな。
<余談>好きな詩人だとピーター・ハミルかなあ。

11.
巨大な樫の木が彼女の車に襲いかかろうとおびやかす。だが、少女はすばやい反射神経だけで、予想された破滅から救われた。車が前方へ突っ走る、と同時に、大きな木の一部がその背後で道路をたたきつけた。

<コメント>「襲いかかろうとおびやかす」はちょっとピンと来ないかな。「反射神経だけ」は、「だけ」ではなくて、「~があったおかげで」みたいな感じ。「予想された破滅」は、「確実な破滅」で、要するに「逃れようのない死」ですね。
<余談>意味をきちんと理解した上で、日本語だったらどう書くだろうということを追求するのが大切だと思います。がんばってください。

12.
巨大なオークの木がいまにも車を直撃しそうだったが、娘の素早い反応が絶体絶命の窮地を救った。勢いよく前に飛び出したロードスターの後ろで裂けた大木が道路に激突した。

<コメント>意味はきちんと取れているんですが、色気が足りないかなあ。「勢いよく前に飛び出した」はいい感じなんですが。
<余談>地の文のありふれた表現が意外と難しいんです。

13.
樫の大木はもう少しで車を直撃するところだった。しかし彼女がすばやく反応したため、車は間一髪で大破を免れた。車を急発進させると、すぐ後ろで大木が道路に倒れる音が聞こえた。

<コメント>悪くないんですが、やや色気に欠けるかな。「た~た~た」と語尾が並んでいるところも気になります。もうちょっとなんですけど。

14.
巨大な樫が車めがけて倒れ込んできたとき、彼女の俊敏な反射神経なくしては、明らかに大惨事を免れることはできなかっただろう。車が前に飛び出した瞬間に、大木の一端が真後ろの道路をたたきつけていた。

<コメント>意味は合ってるんですが、ちょっと硬いかな。「たたきつけていた」は「たたいた」くらいだけど、もう一工夫。「なくしては」は少し硬い感じ。「がなければ」くらいかな。

15.
その樫の巨木が彼女の車を押しつぶさんと倒れかかってくる。大破は免れないと思われたが、俊敏な反射神経が唯一彼女を救った。車が急スピードで前に出たその瞬間、後ろで大木の断片が路面を叩きつけた。

<コメント>全体にやや硬めかな。「大破は免れないと思われた」はもう一工夫。「たたきつけた」は「打った」くらいでも。
<余談>工夫は分かりますし、姿勢もそれでいいので、あとはもっと自分の表現の引き出しを育ててください。

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