
訳者・吉川南さん『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』
『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』
パク・ソンヒョク 著
吉川南 訳 ダイヤモンド社
出版社HP Amazon
「これから勉強を始めるには遅すぎますか?」受験生の不安交じりの質問に、著者はこう答える。「あきらめてください。手遅れです」。友達が必死に勉強している間、何年も怠けてきたあなたが、いまさら頑張っても追いつけるわけはないだろう―そう突き放しておいてから、筆者は救いの手を差し伸べる。「一つだけ方法がある。それは強い覚悟だ」と。
韓国の田舎町に生まれ育った著者は、何の夢も持てず、学校をサボることばかり考えていた。当然、成績はクラス最下位。中学卒業を控えたある日、「自分はいま、何をやっているんだ?」という心の声にハッと我に返る。夢も希望もない自分と一生付き合うなんて、あまりにみじめじゃないか。そして小学5年と6年の問題集などを買い込み、その日から一人で勉強を始めた。ところが不思議にも、覚悟を決めて机に向かううちに、あれほど嫌だった勉強がどんどん面白くなってきたのだ。その結果、ソウル大学をはじめ難関校に次々と合格できた。
本書は、よくあるハウツー本ではなく、ガチガチの精神論だ。「なぜ」勉強するのかさえ分かればノウハウは自然に見つかる、と著者は言う。モチベーションを高めて維持する知恵は、仕事にも役立つはずだ。孤独な作業に疲れた訳者自身、本書に大いに励まされた。
☆通訳・翻訳ジャーナル2022年秋号より転載☆