イースト・プレス『ロンリー・ボーイ ア・セックス・ピストル・ストーリー』

『ロンリー・ボーイ ア・セックス・ピストル・ストーリー』
スティーヴ・ジョーンズ 著 川田倫代 訳
リトルモア
出版社HP Amazon

スティーヴ・ジョーンズを知っていますか? 「セックス・ピストルズのギタリスト」と言えば、わかる人も多いはず。ですが、ピストルズと言えばジョニー・ロットンとシド・ヴィシャス。次はマネージャーのマルコム・マクラーレンかもしれません。クビになったグレン・マトロックも1冊本を出しています。

ただ、ピストルズの創設メンバーといえばスティーヴで、彼なしにはピストルズは存在しませんし、彼の視点なしにはピストルズは語れません。「ジョニー・ロットン」や「Never Mind The Bollocks」の命名も彼です。

ではなぜ、ここまで影が薄いのか。それはある目的のために気配を消していたのです。毎日のように誰かのものを盗み(デヴィッド・ボウイの機材を盗んだ話は有名)、酒とドラッグとセックス依存症に陥り、25年リハビリを続け、地獄の淵から復活を遂げます。誰よりもピストルズらしく、誰よりも壊れた男はエピソードに事欠きません。「パンクとは?」という、誰もが信じてきたもっともらしい定義も、その根底から壊れます。

(イースト・プレス 圓尾公佑)