
「スクールで学び、現場で生かす」インターメソッド
1966年に開校したインタースクール。半世紀以上にわたる歴史の中で、優秀な通訳者、翻訳者を数多く輩出してきた。第一線で活躍するプロを講師に据え、現場で通用する本物の語学力と通訳・翻訳スキルの習得をめざしている。
同校の大きな強みが、運営する通訳・翻訳エージェンシーである㈱インターグループとの連携だ。スクールで得たスキルを仕事で実践する機会を提供するのが「インターメソッド」。これにより「スクールで学び、現場で生かす」の相乗効果が生まれ、受講生の実力をさらに高めるだけでなく、モチベーションアップにもつなげている。
トップレベルの通訳者を育成してきたインタースクールが提案するプロ通訳者への新たな道
インタースクールは半世紀以上にわたり、会議通訳者として経験豊富な講師が、政府間会合、首相会見といった場でも活躍できるプロ通訳者を育成。またエージェント部門がスクール・講師陣と連携しながらスクール受講生各々の習熟度や経験、現在の状況に応じて、在学中から通訳者として活躍できる機会を提供している。
2022年度からは、インターグループとセミプロフェッショナル契約を結び、さらなるスキルアップと実践経験を積むことのできる「セミプロフェッショナル制度」が創設された。本気で通訳者をめざす人にとって、大きなチャンスとなるはずだ。
講師×修了生 対談インタビュー
スクール・講師陣とエージェントの連携により
通訳のさらなるスキルアップと実務経験の場を提供
英語が母国語でなくても努力して近づくことはできる
平井聖一講師(以下、平井):インタースクールで室岡さんと、初めて出会ったときは大学生だったので、社会人らしい話し方や立ち居振る舞いを身につける必要もあり「プロデビューまでは時間を要するかもしれない」と感じました(笑)。ただ、室岡さんには「どうしても通訳者になりたい」という熱意と、講師の助言を受け入れる素直さがあったと思います。継続して訓練を積み重ね、昨年秋にはついにインターグループの専属通訳者としてデビューしました。インタースクールでの4年半はどうでしたか?
室岡佑佳さん(以下、室岡):最初の1年半は、授業でも自分なりに手応えを感じられて順調だったと思います。ですが、レベルが上がるにつれて徐々に伸び悩みを感じはじめました。クラスメートは皆さんすごくレベルが高かったですし、より実践的な訓練を行う中で、自分の苦手な部分を痛感させられました。それを克服するのに3年かかったという感じです。私の場合は特に、時事問題をはじめとする背景知識が圧倒的に不足していました。
平井:そうでしょう。英語力が高いだけでは、通訳はできませんからね。授業で特に印象に残っていることはありますか?
室岡:平井さんはよく「外国語である英語を母国語のように話すのは不可能。でも、努力してそこに近づくことはできる」とおっしゃっていました。そのための訓練として、聞こえた英語を記憶して復唱する「リプロダクション」を行ったことが印象に残っています。
平井:通訳者にとっての最終的な商品は「音声」ですから、英語の音を安定的に出せる力が必要なんです。室岡さんには、1つのセンテンスを家で1時間練習してきてもらったこともありましたね。
室岡:はい。うまくできなくて苦労したこともありましたが、練習を通じて理想的な英語の音を体にたたき込むことで、確実に力がついたと思います。
平井:リプロダクションの素材には、世界的な企業のCEOや政治家などによるスピーチを選びました。マーケットは常に変化しているため、練習でも「今」の旬な素材を扱うことが大切です。教材選びを含め、授業では現場の環境をできる限り再現するよう意識しています。受講生を会議通訳者としてデビューさせることが、私の役目ですから。「先生」でなく「平井さん」と呼んでもらっているのも、いつかパートナーとして現場に出ることを想定しているためです。

通訳案件後、エージェント部門と通訳の振り返りをしている室岡さん
社内通訳での経験を糧に専属通訳者として活躍
平井:出会った当初から、室岡さんには「最低でも3年間は社会人を経験したほうがいい」と伝えていました。プロとして仕事をする上で、やはり社会人経験はあった方がいいですからね。
室岡:大学卒業後はアート系の出版社で通訳・翻訳を含むさまざまな業務に携わりました。その後、インターグループを通じて大手広告代理店の社内通訳のお仕事を紹介していただきました。
平井:インターグループの強みは、スクールとエージェント部門が密接に連携していることです。受講生に関しては日常的に情報共有をしていますし、エージェント部門の担当者が授業のオブザーブに入ることもあります。室岡さんは約束どおり3年間の社会人経験を積み、通訳のスキルも身についてきていたので、社内通訳の仕事を紹介する運びとなりました。現場に出てみて、どうでしたか?
室岡:最初のうちは、ちゃんと訳せているのかという不安でいっぱいでした。思うように訳せず悔しい思いをしたこともあります。そんな中でも、自分に何が足りないのかを冷静に分析し、一つひとつの現場に対応していけるよう努力しました。リプロダクションなどの練習にも、より現場を意識しながら臨むようになりました。社内という、ある意味「守られた」環境の中で経験を積めたことは、私にとって大きなプラスになったと思います。
平井:昨秋からはインターグループの専属通訳者として稼働していますね。どんな案件を担当していますか?
室岡:企業案件のみならず、政府官公庁・国際機関の通訳など、さまざまな案件に携わっています。インターグループの皆さんのサポートおかげで、クライアントや分野の幅が大きく広がりました。多くの通訳機会をいただくことで、毎日大変ではありますが(笑)充実した日々を過ごしています。
平井:私自身は94年から通訳の仕事を始め、通訳者としてのキャリアは30年になろうとしています。室岡さんは、私がキャリア10年でようやく到達した国際的な現場で、なんとすでに通訳の経験があるんです。そんな人は他にいませんよ(笑)。もちろん室岡さんの実力もありますが、インターグループの実績と信頼がこれを叶えたのだと思います。今後も室岡さんに続く人材を現場に送り出すべく、今年からは新たに「セミプロフェッショナル制度」が立ち上げられました(※下記参照)。室岡さんには、将来のインターグループを引っ張っていくつもりで頑張ってほしいですね。
室岡:頑張ります。私はスクールで平井さんをはじめたくさんの講師陣の訓練を受け、社内通訳として経験を積ませてもらい、インターグループの専属通訳者になってと、それぞれの段階で多大なサポートをいただいたと思います。今は精一杯、通訳に専念して、現場経験を積んでいこうと思います。