母体は伝統ある翻訳会社
即戦力育成を第一に

1981年設立のサン・フレア アカデミーは、翻訳会社大手の㈱サン・フレアが運営する翻訳者養成スクール。ニーズの高い産業分野別に、初級から上級レベルに対応した講座を開講し、同社の即戦力として活躍できる優秀な人材の育成・発掘を行っている。

第一線で活躍中の現役翻訳者で固めた講師陣、プロになってからも参考書として使えるオリジナルテキスト、少人数制によるきめ細やかな指導など、スクールとしての特徴は数多い。

なかでも特筆すべきは、サン・フレアが運営する資格試験、翻訳実務検定TQEの存在。事実上のトライアルであり、所定の成績を収めれば、翻訳者としてサン・フレアに登録できる。「特許明細書A(IT・電気・機械)」の講師を務める斉藤勝彦先生も、TQEに合格してプロになった1人。機械メーカー営業職出身のベテラン翻訳者だ。

「受講生の中には、私のように文系の方もいれば、技術畑の方、企業の知財部の方、弁理士の方もいます。バックグラウンドはさまざまですので、特許だからといって特に身構える必要はありません」

お話をうかがった方

●特許明細書A(IT・電気・機械)〈中級・上級〉
●機械〈中級・上級〉
●はじめての技術翻訳A

斉藤勝彦先生

(さいとう・かつひこ)

横浜市立大学商学部を卒業後、精密機器メーカーで営業職などを経験。TQE(特許明細書/機械/英日)に合格後、OJTを経て、フリーランスの翻訳者として(株)サン・フレアに登録し、現在に至る。

2系統のレベル別講座
翻訳者登録後の「安心」も

本校の特許翻訳講座は、初級・中級・上級のレベル別に6講座がラインアップされている(ページ下参照)。初級の「はじめての特許翻訳」では、身近な特許を題材に、特許明細書の構成、特許特有の文体や形式、特許翻訳の基本テクニックを習得。中級と上級は〈IT・電気・機械〉と〈医薬・化学・バイオ〉に分かれ、実践力を磨いていく。たとえば前者の場合、中級では機械装置の〈構造・仕組み・動作〉をどう訳すかを重点的に学習。上級では、調査力を駆使して自分の訳文をチェックし、最終的な「商品」に近いレベルに仕上げる力を養う。

「指導する際は、常に“実践”を意識します。たとえば課題については、出題箇所だけでなく明細書全体に目を配るよう強調しています。全体の流れをつかむことで、わからない部分や判断しにくい箇所がクリアになることが多いからです。仕事では基本的に1人で明細書のすべてを訳しますから、全体を意識することは非常に重要です」

特許明細書の文章は長文が多く、難解なイメージがある。だが「文章や表現のパターンに慣れてしまえば、読む力も訳す力も自然に伸びていく」。そのあたりをテキストや課題で学習し、さらにTQEを活用すれば、効率よく着実に実力を付けられるという。

「TQEではコメントや訳例などのフィードバックがあるので、自分の弱点をしっかり把握できます。実質的にトライアルではありますが、回数制限がないので、うまく学習に採り入れるとよいでしょう」

母体のサン・フレアは、約3万3000件の受注案件のうち約1万4000件が知的財産という、特許翻訳に強い翻訳会社(2018年実績)。つまり、TQEを経て同社の登録翻訳者になれれば、安定した受注が期待できる。特許翻訳者を目指す人にとっては、先々まで見通せる安心のスクールである。

修了生コメント

丸山真理子さん
(まるやま・まりこ)

富山大学人文学部人文学科英米言語文化コース卒業。2018年にサン・フレア アカデミーの中級/上級「特許明細書A(IT・電気・機械)」を受講。19年10月に翻訳実務検定「TQE」に合格し、現在はサン・フレアの登録翻訳者として活躍中。

7回目の挑戦でTQEに合格
今は明細書の和訳を受注しています

IT関連企業でマニュアル・ライティングに従事していたとき、英語力を生かせる翻訳に挑戦しようと思い立ちました。サン・フレア アカデミーを選んだのは、TQEをステップとしたプロへの道筋がはっきり示されていたからです。翻訳全般の初級講座で翻訳の基本を学んだ後、需要の多さなどから特許に的を絞り、中級「特許明細書A(IT・電気・機械)」に進みました。

テキストは「図の説明」「実施形態」「クレーム」「サマリ」といった特許明細書のセクションごとに、翻訳(英日・日英)のポイント、慣用表現、技術用語などが解説されており、とてもわかりやすかったです。授業では全員の提出課題について解説と討議が行われ、例文や図面をもとに技術内容を正確に把握する演習にも取り組みました。

文系出身の私は専門知識が弱点でしたが、先生が身近な技術についていろいろ話してくださり、技術をおもしろいと思えるようになったのがよかったです。リサーチ法や辞書の使い方、専門用語や定訳をデータベース化する自作辞書の作成法など、実用的な情報も大変参考になりました。

上級「特許明細書A(IT・電気・機械)」の修了後は、サン・フレアでの米国特許公報の抄録和訳プロジェクトに参加し、それとは別に特許校正の仕事をいただくようになりました。そして2019年10月に、7回目の挑戦でようやくTQEに合格。1回目の受験から約1年半かかりましたが、地道に勉強を続けたことが実を結び、とてもうれしかったです。

現在は、IT分野の明細書の和訳を手がけています。TQE合格に至るまでに特許翻訳関連の仕事に関われたのは、実務未経験者にとっては非常にありがたかったですね。今後もスキルと専門性を高める努力を続け、翻訳の質で貢献できるようになりたいと思っています。