デビュー体験談 映像翻訳者編
※『通訳者・翻訳者になる本2022』より転載。

ライフステージの変化に合わせて続けていける仕事

字幕翻訳は、結婚、出産などを経てライフステージが変化していっても、自分の生活とバランスを取りながら続けていける仕事だ。田添さんも、子育てをしながら字幕翻訳の仕事を続けている。

「今は子どもが小さく体調を崩すことも多いので仕事量をセーブしていますが、子育てが落ち着いたらもっと仕事量を増やし、仕事の幅を広げたいと思います。吹替も学んだので、いつかは挑戦してみたいです。また翻訳者になる前はファッションに関する仕事をしていました。将来的には、ファッションをテーマにしたドラマやドキュメンタリーの字幕を翻訳する機会にも恵まれるといいなと思っています」

田添さんが今も心に刻んでいるのが、尊敬する講師が言っていた「翻訳は一生勉強」という言葉だ。

「一生勉強するのは大変です。けれども、勉強してでも続けていきたいと思える仕事に出会えたことが、本当に幸せです」

自宅の仕事スペースにて。PCはデスクトップタイプ1台で、字幕の作業にはSSTを使う。『朝日新聞の用語の手引』や『てにをは辞典』は必携で、常にデスクのそばに。そのほかの辞書はなるべくオンライン版やアプリ版を使用して、PCで引けるようにしている。国語辞典が充実している「エクスワード(カシオ)」の電子辞書を使うこともある。

産業翻訳者をめざす人へ ADVICE
たくさんの作品に触れて表現力や語彙力を高める
字幕翻訳者は、日頃からいろいろなことに興味を持って知識を蓄え、たくさんの映像作品や言葉に触れて表現力や語彙力を高めることが大切だと実感しています。それから、あきらめないことが大事です。なかなかトライアルに受からなくてもあきらめず、地道な努力を続けていくと道は開けると思います。私はスクールに複数通いましたが、仕事にしたいと思うのならば独学よりもスクール学習がおすすめです。

※『通訳者・翻訳者になる本2022』より転載  構成/京極祥江