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2023.09.21 UP

警察通訳の世界をリアルに描く!
『東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー』

警察通訳の世界をリアルに描く!<br>『東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー』
©︎黒丸/講談社

通訳者・翻訳者にもおすすめ!
「通訳人」が主人公の警察漫画

マンガアプリ「Palcy(パルシィ)」で連載中の『東京サラダボウル-国際捜査事件簿-』(著者:黒丸/講談社)。破天荒な女性警官と中国語の警察通訳人のバディが、現代の日本で起こるさまざまな国際事件に立ち向かう、これまでにない警察漫画となっています。

最新第4巻の発売(2023年9月22日)を記念して、担当編集者の方に「警察通訳」にフォーカスしたきっかけや、作品ができるまでの取材やリサーチの方法、作品のみどころについてお話を伺いました。
通訳者・翻訳者にもおすすめの同作の魅力を紹介します!

【お話:講談社 女性コミック編集部 大西真由さん】

『東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー』【作品概要】
東京都の外国人居住者の割合、3.98%。パーセンテージではたったそれだけ。でもそれだけの人が確かにここにいるーー。
さまざまな事情で日本にやってきて、犯罪に巻き込まれた、または犯罪を起こしてしまった外国人による事件と向き合う、警視庁 国際捜査係の鴻田麻里(こうだ まり)と警察通訳人の有木野了(ありきの りょう)。
言葉がわからない国でいきなり逮捕されたらどうしたらいい…!? 自宅で子供が誘拐された…!?
日本でこんな事件が起きているなんて知らなかったーー2人の捜査の中で明らかになる、知られざる日本での国際犯罪の姿と、浮き彫りになる犯罪関係者たちの過酷な現実。
破天荒な女性警察官とゲイの警察通訳人の最強バディによる、これまでにない新たな警察漫画!!
(講談社Webサイトより)

Q.『東京サラダボウルー国際捜査事件簿ー』で、警視庁の国際捜査係、また警察通訳を取り上げようと考えたきっかけは?

――実のところ、私は企画立ち上げ時の担当者ではないので、聞いた話になってしまうのですが…
企画を立ち上げるときに、まずざっくりと「警察ものがやりたい」という話になって、これまでに警察漫画でガッツリ描かれていない分野を探したところ、国際捜査に行きついたという経緯だったそうです。
警察通訳という仕事は、著者の黒丸さんがもともと興味があったそうで、「それなら国際捜査の刑事と警察通訳人のコンビにしたらぴったりなんじゃないか」と。
その後、現在本作を監修していただいている関西司法通訳養成所 代表の清水真さんとお話しし、警察通訳の大変さやおもしろさを聞くうちに「これは絶対におもしろいぞ」と確信を得たそうです。

Q.捜査場面などのリアルな描写が魅力の1つですが、漫画の制作にあたり、警視庁や通訳者への取材はされましたか?

――メインとなるお話に必要なとき、その都度専門の方や、当事者の方に取材させていただいています。
例えば、5話ではベトナム人の技能実習生が登場するため、文化や慣習などについてベトナム語通訳人の方に取材をしました。ベトナムの名前には漢字表記があるのですが、自分の名前の漢字表記をみなさんどのくらい知っているのかなど、肌感覚を取材できたのは、非常に貴重でしたね。
警察に関することは、監修の清水さんにお伺いして、なるべくリアルさを追求するようにしています。例えば、無線での指令はどう来るのかとか、警察隠語や取調べ中の会話、警察学校の様子など、台詞から絵に至るまですべてを見ていただいています。
清水さんは現役時は国際捜査に携わる刑事だった方なので、「現場あるある」もたくさんお話しくださって、いつも担当一人で聞くのがもったいないくらい楽しいです(笑)。

作中では、リアルな取調べ通訳現場の描写も。通訳者が共感できる「あるある」な場面も多々登場する。

女性警官の鴻田と、中国語通訳人の有木野が、日本で犯罪に巻き込まれた外国人に寄り添いつつ事件を解決してゆく。

Q.主人公の1人である、警察通訳人の有木野了(ありきの りょう)について。なぜ中国語の通訳人という設定に? モデルはいますか?

――モデルは、特にいません!(笑)
ただ、中国語通訳人にしたのには、理由があります。まず、著者の黒丸さんが実際に中国に行ったことがあり、国の文化や空気感がわかっていて描きやすいため。そして中国という国が、文化的にも言語的にも、非常にバリエーションに富んでいるためです。

例えば、一口に「中国語」と言っても、北京語、上海語、広東語…など多様な言葉がありますよね。日本にも方言はありますが、中国語の地域差はそれよりさらに大きいと聞きます。多民族国家なので、顔立ちから文化まで地域によって本当に違っていて、そうした多様性を内包する国だからこそ、一国に留まらず幅広く「国際捜査」として取り扱えそうだなと思ったことが、中国語を選んだきっかけです。話者の多い言語でもありますし、かつ専門性も高いので、メインキャラクターの扱う言語としてピッタリでした。

©︎黒丸/講談社

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