東北新社 映像テクノアカデミア<br>映像翻訳科 Graduate Class

映画・海外ドラマの日本語版制作の国内大手
東北新社運営の映像翻訳スクール

東京校・大阪校・Web講座から多数の映像翻訳者を輩出

映像テクノアカデミアは、海外映像作品の日本語版制作で業界最大級のシェアを誇る総合映像プロダクション・東北新社の学校。1995年に設立と歴史も長い。通学クラスの東京校では字幕と吹替翻訳を、大阪校では字幕翻訳を学ぶことができる。2020年には字幕翻訳Web講座を開講。インターネット環境さえ整っていれば場所を選ばず受講が可能となった。多くの修了生が、映画や海外ドラマシリーズ、ドキュメンタリー番組をはじめとしたプロの映像翻訳者として活躍中だ。

映像翻訳を基礎から学び トライアル合格後プロに

同校では「現場密着型の実践教育」を掲げ、プロの映像翻訳者や、東北新社の日本語版製作スタッフが実践的な指導を行う。上級クラスは映像翻訳に必須のソフト「SST-GI」の実習や、東北新社の収録スタジオを使用しての特別授業などが行われる充実した内容となっている。

東北新社では、映像テクノアカデミアの修了生に対して映像翻訳者のトライアル(翻訳者登録試験)を実施している。トライアルの成績優秀者は、東北新社音響字幕制作事業部から翻訳の仕事が発注される。学校に通うことが仕事につながるのも魅力だ。

今回の対談では、映像翻訳科東京校Graduate Class講師でフリーランス映像翻訳者の高山龍一先生と、同クラス受講生の玉島光紗さんの対話から、授業の特色やそこで得られるスキルなどがわかる内容となっている。

高山龍一先生
高山龍一先生Takayama Ryuichi

獨協大学外国語学部を卒業後、シンクタンクを経て東北新社字幕課に勤務。その後、フリーランスの翻訳者に。字幕を担当した代表作に『アメリカン・ホラー・ストーリー』『ダイナスティ』『デッドサイレンス』『ビッグ・バグズ・パニック』など。

玉島光紗さん
玉島光紗さんTamashima Misa

玉川大学芸術学部卒業。デザイン会社に勤務後、フリーランスのデザイナーとして15年間活動。2021年10月に映像テクノアカデミアIntensive Class入学。23年3月Advanced Class修 了、2023年春期字幕トライアル合格。

少人数での議論や講評を通じて「正解の翻訳」に辿り着く考え方を学ぶ

長尺の作品1本を通して翻訳しプロのスキルを身につける

高山龍一先生(以下、高山):そもそも玉島さんが映像翻訳者をめざした理由は何だったんですか?

玉島光紗さん(以下、玉島):一番は「映画が大好きだったから」ですね。具体的なきっかけは、長く続けてきたデザイナーの仕事で初めて取った海外案件が、新型コロナウイルス流行の影響で流れてしまったことでした。そのときの悔しさで、海外に携われる仕事を調べて、映像翻訳の道があると気づいたんです。長年プログラミングやデザインをしてきたので、翻訳は畑違いの仕事でしたが、今やっているフリーランスの業務をそのまま継続できる点も魅力に感じ、新しい挑戦をしようと思いました。

高山:では、仕事を続けながら映像テクノアカデミアに入学したわけですね。

玉島:はい。この学校を選んだのは、先生方の翻訳実績に知っている作品が多く、第一線でご活躍されている方々に直接教えていただけることのほか、東北新社の映像翻訳者の登録試験を受けられる点も大きかったです。

高山:実際にこの学校の授業を受けてみてどうでしたか?

玉島:高山先生のGraduate Classの初回の添削は、本当に真っ赤でビックリしましたね(笑)。その前に受講してきたIntensive ClassとAdvanced Classでも勉強を重ねてきましたが、そこで「自分はまだ全然だな」と痛感しました。

高山:いえいえ、玉島さんの翻訳は全体的にバランスが取れている印象でした。意訳しすぎでもなく、直訳すぎることもなく、ちょうどいい具合にシーンに合った言葉選びができていると思いました。

玉島:細かく見ていただいていることに感謝です。その前のクラスでは毎回課題が変わっていたので、単純に作品ジャンルでの得意不得意が出やすい印象でしたが、このクラスで1本を通して訳すことで「出来が悪い箇所があるのは、ジャンルの問題ではなく、自分に足りない部分があるからだな」とわかりました。

高山:「プロとして継続的に仕事をもらえるスキルを身につけること」を長期的な目標とするGraduate Classでは、長尺の作品1本を教材として用いて、冒頭から最後まで翻訳してもらうのが授業の特色です。ワンシーンのみを訳すことが多い以前のクラスとは違い、作品全体の流れを常に考えながら翻訳をすることは、生徒さんにとっても貴重な経験になるかと思います。また字幕翻訳に必須のスキルである「SST-GI」を使ったスポッティングも細かく指導しますが、玉島さんは早い段階で安定して打てるようになっていた印象でした。

玉島:スポッティングや表記などは高山先生に毎回細かくチェックしていただいたので、本当に学ぶことが多かったです。でもエンタメ作品の翻訳では、どれだけルールをしっかり覚えても、例外が山ほど出てくるんですよね。ただ、高山先生の指摘箇所や解説には、毎回明確な理由があったので、答えにたどり着くまでの考え方自体を学べましたし、「こういう理由でこう訳しました」と説明できる根拠を持つことの大切さを学びました。

高山:理由を説明できるのはプロとして大切です。そのためGraduate Classでは2~3名の生徒さんのグループで課題について意見交換する機会を設けています。他の生徒の翻訳とその根拠を聞くことでも、新たな気づきがあるはずです。また「自分の翻訳を人に見られる・批評される」という経験も、プロをめざす上では非常に大事なことだと思うので、授業では1人の翻訳を訳例として取り上げて講評することもあります。

字幕翻訳Web講座
映像テクノアカデミアでは、自分のペースで学習ができる映像翻訳科「字幕翻訳Web講座」も開講している。

東北新社のトライアル合格で在学中に映像翻訳者デビューも

山名:Graduate Classには「東北新社のトライアル合格」という短期的な目標もありますが、玉島さんは無事トライアルに合格しましたね。

玉島:はい。昨年にはドキュメンタリー作品の字幕翻訳で、初めての映像翻訳のお仕事をすることができました。

高山:玉島さんが担当したのは、ドキュメンタリーシリーズの1エピソード分でしたよね。テレビで放映されるシリーズ物は毎週1エピソードずつ放送されるので、翻訳もそのペースで行うのが通例でしたが、配信作品では配信日に全エピソードを一気に公開することも多いので、翻訳のスケジュールも不規則になることが増えてきました。また一つのシリーズを複数の翻訳者で担当することも増え、その場合は表記、口調、一人称など、翻訳者間で設定の統一をはかる必要があります。そのため他の人とうまく連携することも大切なスキルになると思います。そうした今の時代に求められるスキルを高めながら、玉島さんには新しい仕事に積極的にチャレンジしていってほしいです。

木村:先生は折にふれて「誰に向けて書かれた文章なのかを想像して訳してください」とおっしゃいます。そのご指導のおかげで、翻訳課題に取り組む時も、仕事で翻訳を行う時も、読者を意識するようになりました。仕事で発生するのは、社員対象の比較的簡単な文書の翻訳ですが、誰に向けて書かれているのかということを意識して訳すようにしています。

玉島:ありがとうございます。元々コメディや海外アニメ、ラブストーリーなどが好きで、「笑いを伝えられる翻訳者になりたい」という目標を持って映像翻訳者をめざしたので、そうした感情をしっかり伝えられる翻訳者になっていきたいです。今はまだおこがましい目標ですが、映画が好きな気持ちを忘れずに翻訳を楽しみながら、目の前のお仕事を頑張っていきたいと思っています。

ここもチェック
2020年から字幕翻訳Web講座を開講 地方在住者もプロになれるチャンス

 2020年に開講した「字幕翻訳Web講座」は、自宅にいながらにして字幕翻訳を本格的に学べる講座。講師を務めるのは、東京校や大阪校の通学クラスと同じく第一線で活躍する映像翻訳者や東北新社のスタッフだ。動画を視聴するスタイルで、毎月開講されているためいつでも始められ、自分のペースで学習できる。ほぼ毎回添削があり、戻ってから解説の映像を見るというスタイルだ。また質問があれば、講師に直接メールして尋ねることも可能。字幕翻訳Web講座はBasic Class、Intermediate ClassⅠ・Ⅱ、Advanced ClassⅠ~Ⅳの7クラスに分かれており、Advanced ClassⅣを修了すると東北新社のトライアル(翻訳者登録試験)を受験できる。成績優秀者には東北新社から仕事が発注され、翻訳納品後も、チェックバックを通じてOJTのように翻訳者を育てる体制が整っている。

コース紹介

東京校
Basic Class/6ヵ月(週1回)(全20コマ)
Intermediate Class/6ヵ月(週1回)(全20コマ)
Advanced Class/1年(週1回)(全42コマ)
※ 映像翻訳の学習経験のある方は編入試験を受け、合格するとIntermediate ClassまたはAdvanced Class(字幕翻訳Web講座も同様)へ編入することが可能です。
Graduate Class/1年(週1回)(全36コマ)

大阪校
大阪校字幕翻訳クラス/1年(月2回)(全40コマ)

字幕翻訳Web講座
Basic Class/3ヵ月※(6コマ)
Intermediate Class Ⅰ・Ⅱ/各3ヵ月※(各6コマ)
Advanced Class Ⅰ〜Ⅳ/各3ヵ月※(各6コマ)
※ いずれも標準受講期間。講義映像はいずれも受講開始から8ヵ月間視聴が可能。

問い合わせ先
映像テクノアカデミア
TEL:03-3352-7084
E-mail:academia@tfc.co.jp
〒160-0022 
東京都新宿区新宿1-18-14 東北新社新宿ビル

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