2025.02.21 UP
アイ・エス・エス・インスティテュート 講師×受講生の対談 知識ゼロから始めた金融・IR翻訳 講師がリサーチ方法から翻訳のコツまで伝授

丁寧かつ実践的な授業で専門知識と翻訳スキルを学ぶ
㈱翻訳センターと連携したキャリアサポートも魅力
成績優秀者は経験不問でトライアル受験が可能
アイ・エス・エス・インスティテュートは、1966年に同時通訳者の養成スクールとして創設して以来、50年以上にわたり第一線で活躍するプロフェッショナル翻訳者・通訳者を多数輩出してきた。その特徴は、グループ会社の㈱翻訳センターとタッグを組み、受講生や修了生のキャリアを強力にサポートしていること。実務翻訳のトライアルは経験者のみを対象にしていることが多いが、同校で学んだ受講生のうち成績優秀者は、経験不問で㈱翻訳センターのトライアルを受験できる。また人材派遣や人材紹介により、各企業の社内通訳者・翻訳者として働く機会も提供している。
現場の「今」を知るプロが実践的な指導を行う
英語翻訳者養成コースは、プロの現役翻訳者を講師陣に迎え、現場を意識した実践的で専門性の高い授業を行う。プロに求められるスキルを習得する「総合翻訳科」「ビジネス英訳科」、実務翻訳者に必要な能力とスキルを実践的に訓練する「専門別翻訳科」の3コースがあり、学習者の実力とニーズに応じてプロデビューまで体系的に学べる。授業は双方向型オンラインで実施されるので、全国どこからでも受講可能だ。
今回は、企業が投資家に向けて発信する経営戦略・方針や業績等の情報についての翻訳を学ぶ「専門別翻訳科 金融・IR翻訳」で教鞭をとる小林久美子先生と、総合翻訳科の本科および実践実務科を修了後、金融・IR翻訳の実践に進んだ平野富士子さんにお話を聞いた。
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外資系金融機関にて、シニアマネージャーとして人事、財務、オペレーション、およびM&A等の仕事に携わった後、翻訳者として独立。㈱翻訳センターで金融・IR分野の翻訳案件を担当している。
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早稲田大学第一文学部卒業後、総合商社で貿易事務に従事。2021年4月からアイ・エス・エス・インスティテュートで翻訳を学び、英語翻訳者養成コースの本科と実践実務科を修了。現在、「専門別翻訳科 金融・IR翻訳」を受講中。
知識ゼロから始めた金融・IR翻訳
講師がリサーチ方法から翻訳のコツまで伝授
全15回の講座と課題で金融・IR翻訳を学ぶ
小林久美子先生(以下、小林):平野さんは高い語学力と実務翻訳の下地があり、言葉の選び方に細やかな配慮をされる受講生だと評価しています。最初から金融・IR翻訳者になることをめざしていたのですか?
平野富士子さん(以下、平野):ありがとうございます。実は、最初は金融・IRを専門にしようとは思っていませんでした。株を買ったことさえありませんでしたので、あまり関心を持っていなかったんです。興味があるのは環境問題だったのですが、アイ・エス・エス・インスティテュートには環境を専門にした講座はないので医薬に進もうかと考えていました。ところが事務局に相談したところ、「環境問題に興味があるなら、小林先生の『専門別翻訳科 金融・IR翻訳』はいかがですか。よく環境問題が取り上げられていますし、今後の需要を鑑みても金融・IRはおすすめです」とアドバイスをいただいたんです。金融・IRの知識はまったくないけれど、一から挑戦してみようと思いました。
小林:そうだったのですね。私が担当している講座では、まったく知識がない方でも、全15回の講座と課題を通して金融・IRの知識やリサーチ方法を学べるようにカリキュラムを組んでいます。実際に勉強しはじめて、どう思われましたか?
平野:リサーチがいかに大切かということが身に染みてわかりました。先日の授業でも、ある企業の環境問題に関する文章で「認定」という言葉が出てきたのですが、辞書には「certification」などがあり、企業のウェブサイトでも「certification」が使われていました。私も「certification」と英訳したのですが、先生が「ここは、certificationを使って本当にいいのでしょうか」と疑問を投げかけてくださったんです。
小林:そのことをよく覚えています。ほとんどの受講生が「certification」と訳出していたのですが、企業の訳文や辞書からの引用ではなく、元々の環境認証を出している組織の資料をリサーチして訳出すべきだと、判断しました。それで、当該組織が用いている「Validation」に倣うのが良い、とお話しました。
平野:先生のおかげで、ただ訳出するだけではなく、きちんとリサーチすることの大切さがわかりました。
小林:金融・IR分野では、リサーチがとても重要で、翻訳作業のうち6~7割をリサーチが占めると言っても過言ではありません。また原文の背景がわかっていないと訳せませんから、金融市場の動向を常に追う必要があります。そこで講座では課題のテーマにあわせて、政府や企業、組織などのウェブサイトや資料をリサーチのツールとして紹介するようにしています。
平野:もう一つ、「実務翻訳は文芸翻訳と違い、凝った文章である必要はない。正確、簡潔、明確でわかりやすいことが大事であり、忙しい投資家が途中で読むのをやめてしまうような文章は書かないこと」という助言も心に残っています。
小林:わかりやすい文章を書く練習のため、受講生がちょっと悩むような文章をあえて課題にしています。典型的なのは、主語がなくかつ専門用語や熟語、略語も入っており、4行ぐらいが一文で構成されている文章です。日本の経済誌に、しばしば見受けられますが、そういう文章をそのまま英訳しても、読み手は理解できません。日本語を読んだ段階で主語と述語とをはっきりさせ、冗長な1文章を2文、3文に分けるなど訳文構成を決めてから訳すことが非常に大事です。
平野:実務翻訳は原文に忠実に訳すと思い込んでいたのですが、それは原文の語順に忠実ということではなく、内容にということであると先生から学びました。また質問にもとても丁寧に答えてくださいますし、参考資料もたくさん紹介してくださるので、本当にこの講座を選んで良かったです。
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金融・IR分野では翻訳者の需要が高まっている
小林:平野さんは金融・IRの翻訳力を着実に習得されています。今後はどのような道に進みたいと考えていますか?
平野:翻訳スキルをもっと向上させて、どんな文章にも対応できるような力をつけたいと思っています。このコースで学んだことを繰り返し復習し、また先生のご助言に従って、財務関連資料や統合報告書などを読み、実践演習をしたいです。
小林:アイ・エス・エスの人材サービスに登録して、社内翻訳者としての勤務もはじめられたそうですね。
平野:はい。本科を終えたときに登録するようにすすめられました。自信はなかったのですが、ありがたいことに繁忙期対応の社内翻訳の仕事を継続的にご紹介いただいています。
小林:順調にキャリアを積んでいますね。ここ数年、企業が開示する金融・IR文書には金融庁や投資家の視点が非常に大きく反映されるようになりました。以前は、業績等に関する財務情報が中心でしたが、最近では環境問題や脱炭素化、AIの生成技術利用などへの事業戦略を含む非財務情報も開示されるようになりました。それに従い、幅広い知識と高度な技術を持つ翻訳者の需要が高まっています。今後も経済新聞や経済雑誌だけでなく、環境専門誌や専門書を読んだり、今までとは違った訳出に挑戦したりして腕を磨いてくださいね。
平野:ありがとうございます。先生の教えを胸に、努力を続けていきます。
ここもチェック
㈱アイ・エス・エスと㈱翻訳センターとの連携で
実現するトータルキャリアサポート
グループ会社で国内最大級の翻訳会社である㈱翻訳センターと連携し、最新の市場動向やニーズを反映した「仕事につながる」授業内容や教材を提供。在校生向けにスキルに応じた翻訳OJTの機会や、翻訳を含む人材派遣のお仕事を紹介しており、在学中から経験を積むチャンスがある。また、成績優秀者は翻訳の実務経験の有無を問わず、㈱翻訳センターの翻訳トライアル受験の権利が付与される。求人情報や業界トレンド情報を定期的に紹介するなど、さまざまな方法で、プロになるためのキャリアをサポートしている。
現在、授業は全コース双方向型オンラインで実施。これまで通学できなかった地域に住んでいる国内外の人の受講が増えている。加えて、翻訳コースではすべての授業を録画し受講生向けに配信。授業動画の視聴だけでも受講が可能なため、個々のライフスタイルに合わせて学習できると受講生に好評だ。また、通訳・翻訳のeラーニングのラインナップも充実している。
コース紹介
オンライン講座
英語翻訳者養成コース
総合翻訳科[基礎科/本科/実践実務科]
ビジネス英訳科[本科]
専門別翻訳科[特許/金融・IR/医薬]
英語通訳者養成コース
通訳準備科/本科1・2・3/プロ通訳養成科1・2・3/同時通訳科
短期集中コース(夏期/冬期)、eラーニングコース(随時) ほか
問い合わせ先
アイ・エス・エス・インスティテュート
TEL:03-6369-9980
E-mail:office@issnet.co.jp
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