2024.01.29 UP
翻訳スクール体験レポート
サイマルアカデミー 産業翻訳 日英プロ科
Contents
ネイティブ講師による英語の授業で違和感のない自然な英語表現を学ぶ
こんな学校です!
サイマル・アカデミーは、通訳・翻訳会社であるサイマル・インターナショナルが母体の通訳者・翻訳者養成スクール。現役翻訳者による指導は実践に即した知識の醸成だけでなく、翻訳者として必要なスキルも習得できる。「産業翻訳 日英プロ科」は、ビジネス文書などの教材を柱に、翻訳スキルや専門知識、リサーチ力を養成する。授業はネイティブ講師が英語で行う。英語のニュアンスを英語で正しく伝えることで、受講生はアウトプットの際に違和感なく使える表現を学べる。
訪問クラス 産業翻訳 日英プロ科
受講生の活発な質疑で 訳語をブラッシュアップ
ショウジ・マロイ先生が担当する「産業翻訳 日英プロ科」は、3つのパートからなる。まずは先生があらかじめ返却した課題についての質疑応答、次に授業当日に提出された課題についての質疑応答、最後に授業内で受講生に課題文を訳してもらうIn-class Translation を実施、という流れだ。授業はすべて英語で行われ、受講生からの質問なども基本的には英語である。
教材の種類は、有価証券報告書からニュースや新聞記事まで幅広い。できるだけ生活に即した面白い内容のものを使って、受講生の学習意欲に刺激を与えたいという意図から、マロイ先生自身が教材を選んでいる。また授業でもっとも大切にしていることは、受講生から質問や意見を引き出すことだという。授業はオンラインで、マロイ先生のPC画面が共有されるため、課題がどのようにブラッシュアップされていくかをリアルタイムで見ることができ、非常にわかりやすい。
各回とも、最初の1時間は課題について全員で議論する。この日の課題は、とある企業の有価証券報告書と経済誌の記事だった。課題について、英訳する際には名詞が単数形なのか複数形なのかを明らかにする必要があること、「運賃」をfreight chargeと訳出する場合とそうでない場合などを解説した後、質疑応答に移った。受講生が「『立方メートルあたり100円と価格が高く』を、『it is still expensive at 100 yen per cubic meter』と訳したのですが、『と』は『at』としただけで意味として充分でしょうか?」と質問。先生が「私はそれで良いと思いますが、他に意見がある人はいますか?」と他の受講生に意見をうながした。
すると「私はheftyを使ったのですが、どうでしょうか?」という発言があり、「文脈によりますが、ここでheftyを使うのは議論の余地がありますね。もう少しトーンを抑えて、at a costlyを使うのが良いでしょう」と先生が解説。その後も受講生からは活発に質問が出ていた。課題は返却された後もきちんと復習・改善することが大切。リライトして再提出することも可能だ。
後半は、In-class Translation。新聞に掲載された記事「『おじさん企業』投資家はNO」を分析し、英訳していくという授業だ。
最初に「『おじさん企業』投資家はNO」という見出しを英訳するよう指名された受講生が、「Investors saying NO to middle aged companies.」と訳出。すると「おじさん企業」をどう訳すかについて、マロイ先生から受講生全員に質問があった。
「日本語では『おじさん企業』と言っても違和感はありませんが、これをそのままmiddle aged companies と英訳するのは適切ではないでしょう。言葉を訳すのではなく、意味を訳すことが重要です。『おじさん企業』とは、どういう意味でしょうか?」
そう問いかけるマロイ先生に、「Corporations dominated by men. Probably older men.」「Middle aged men who cannot change theirtraditional way of thinking.」など複数の受講生が回答。先生は「その通り。ではその文章を見出しらしく凝縮するにはどうすればいいか、意見はありませんか?」と再び質問を投げかける。
「traditional はどうでしょうか?」という受講生の提案に、「traditional は良い意味で使うこともあります。この見出しにあるネガティブなニュアンスを反映するには、old schoolが良いでしょう。その他にはoutdatedも使えますね」と、それぞれの単語が持つニュアンスまで先生が丁寧に解説。結果、見出しの英訳は「Investors Turn Away From“ Old-School” / Outdated Businesses」と、すっきりとわかりやすいものになった。
言葉だけではなく文脈や文意を汲み取って翻訳する
前半・後半を通してマロイ先生が繰り返し受講生に伝えていたのが、「言葉をそのまま訳すのではなく、元の文章が何を言いたいのかを汲み取って意味を訳すようにしましょう」ということ。日本と外国とでは文化的背景が異なり、言葉をそのまま訳したのでは真意が伝わらないことも多々ある。言葉だけでなく、文化的背景も含めた意味を訳すのが「翻訳」だということがよくわかる授業だった。
講師からのメッセージ
イギリス出身。英国と日本の銀行・証券会社に20年以上勤務し、日英翻訳やIR業務に従事。2004年に独立、日本政府や金融機関から日英翻訳を中心に英文編集・作成、校閲などを受託している。
日本語で金融の知識をつけることと 英語で読書することが非常に重要
この講座では、出来合いの教科書は使いません。その代わりに短い小説のようなストーリーがある課題を私が選んでいます。読んでいて面白い教材でビジネス文書に関する英語・日本語での表現や語彙を覚えて、確実に身につけることが目的です。
翻訳は、演習を繰り返せば必ず改善します。もちろん間違えたり誤解したりということもあるでしょうが、それが学習の動機につながるでしょう。試行錯誤しながら、自分でどこを間違ったのか、改善点は何かを考えてほしいと思います。
日英翻訳は、直訳するのではなく、文章の持つ意味を自然な英語として訳出する必要があります。まずはオリジナルの言語である日本語で、新聞の経済・金融面を読むなどして知識の向上をめざしましょう。また英語で読書をすることもとても重要です。英語を読まない限り、英語の表現力は上達しません。自分が知らないこと、新しい分野への好奇心や関心を持つことが大切です。
受講生に聞く!
産業翻訳 日英プロ科 受講生
西野寿律さん Nishino Hisanori
原文の意味を重視しつつ、意味をゆがめない限り英語表現に一定の自由度を認めるというマロイ先生のポリシーがとても役に立っています。一定の自由度があるからこそ、先生や他の受講生からの提案などを通して、さまざまな表現に触れることができるからです。これが、状況に応じて表現を使い分けられる能力の習得につながっていると感じます。また教材の分野が幅広く内容がタイムリーなので、新たな分野への関心を高めることもできています。
ここもチェック
OJT制度や翻訳支援ツール研修の実施で実案件に対応できる即戦力が身につく
実際の翻訳業務を体験できるOJT制度や、業務において必要なツールとされてきている翻訳支援(CAT)ツール研修の機会を提供。仕事の流れを体験し、ツールの使用経験を積むことで、プロ翻訳者として活躍できる即戦力を受講中から身につけることができる。
エージェントが母体のスクールならではの充実したキャリアサポート
成績優秀な産業翻訳コースプロ科修了生は、翻訳者登録推薦制度により、試訳免除でサイマル・インターナショナルへ登録が可能。また、人材派遣・紹介会社のサイマル・ビジネスコミュニケーションズへの登録により、レベルに応じて企業内での翻訳業務も担当できる。
講座紹介
翻訳者養成コース
仕事の現場に即した実践的な文書を教材にして、現場で役立つ翻訳のノウハウを指導。第一線で活躍する経験豊富な翻訳者が、高い翻訳力とビジネスマインドを備えた信頼される翻訳者を育成する。日英クラスの講師陣はすべて英語ネイティブ翻訳者で、授業は英語で行われる。
● 基礎科(日⇔英)
● 産業翻訳コース
日英 本科
日英 プロ科
英日 本科
英日 プロ科
● 出版翻訳ワークショップ
● 中国語翻訳者養成コース
本科・ワークショップ
※レベルチェックや体験レッスン、授業はオンラインにて実施している。
インターネット講座
・ 英日実務翻訳講座
・ 日英翻訳基礎講座
・ 日英ディスクロージャー
翻訳講座
・ 日英医薬翻訳 上級
・ 英文契約書の読み方・訳し方 ほか
お問い合わせ先
サイマル・アカデミー
東京校
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