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トレンドを知るプロが指導 次代を担う産業翻訳者を育成
こんな学校です!
1966年創設のインタースクールは、通訳・翻訳の大手エージェントである㈱インターグループを母体に持つ翻訳スクールだ。通訳・翻訳業界で長年培ってきたノウハウを生かし、「人材育成」と「現場経験」の双方向サイクル「インターメソッド」で、多数の優秀な翻訳者を輩出している。英語翻訳には「翻訳準備科」と「産業翻訳コース」があり、段階的に実力アップするためのきめ細かな指導体制が整う。現役翻訳者・淺野みつ子先生の指導の下、英語運用力と基礎的な翻訳技術の習得をめざす「翻訳準備科」の授業をレポートしよう。
訪問クラス 翻訳準備科
日英は論理展開に注意 「フィードバック」をどう訳す?
「翻訳準備科」では、1回の授業で日英と英日両方の課題に取り組む。コースの位置づけとしては翻訳学習の入門にあたるが、受講生の大半が英検1級資格保持者。翻訳課題は、スクールの母体であるインターグループ翻訳部の受注トレンドを分析して作成されており、リアルな市場動向が反映されている。今回の日英の課題は「ステークホルダーとのつながり」だ。
淺野先生はまず、「お客様からいただいた貴重なご意見、ご要望、ご指摘などは必ず関連部署にフィードバックし、商品品質やアフターサービスの改善に役立てています」という課題文について、受講生の訳文を画面共有し、「この訳文について、何かご意見はありますか」と問いかける。受講生は、自分の訳文と比較して気づいたことや疑問に思ったことなどを挙げていく。
その中、淺野先生が取り上げたのは、「〈We always give feedback about valuable opinions, requests and advice from our customers…〉とありますが、feedbackという言葉はそのまま使わないほうがいいなと思いました」という受講生の意見だ。「フィードバック」とは、商品やサービスなどに対する反応のことであり、課題文では「ご意見、ご要望、ご指摘など」が、訳文では〈opinions, requests and advice〉がそれにあたる。淺野先生は、「日本語ではありがちな表現なのですが、フィードバックに対してさらにフィードバックするというのは、論理が成立していません。その点をよく踏まえて英文を作る必要があります」と注意を促し、別の受講生の訳文を画面共有する。この訳文では、〈We always send valuable customer opinions,requests and suggestions…〉などのように処理されており、淺野先生は「feedbackという本来の英単語の意味をわかった上で文章を構成できていますね」と評価した。
また、「当社は、オフィスや工場を置く地域の方々とコミュニケーションを図り、各地域の発展や信頼関係づくりに努めています」の1文について〈We strive to communicate with local people…〉などの訳文が見られると、淺野先生は「動作主体が企業の場合、contributeやhelpなどの動詞を加えると、よりビジネス文書にふさわしい表現になります」とアドバイスし、動作主体と動詞の関係を理解した上で文脈に沿って日英翻訳することの重要性を説いた。
品詞を変換するテクニックは英日にも日英にも有効
英日の課題は、Inter Automationという架空の企業のsustainability reportに掲載するトップメッセージだ。この課題でまず話題になったのは、〈…make it possible to produce vaccines at the speed, scale and quality the world needs to recover〉の傍線部がどこに係るかということだ。受講生の訳例の中には、「世界中が立ち直るために必要なスピードと生産量と品質で、ワクチンの製造を可能にしています」というものがあったが、これでは傍線部がpossibleに係っていることになり、本来の係り受けの関係にあるproduceを修飾していない。淺野先生は、「世界の回復に必要なスピード、規模、品質でのワクチン生産を可能にするものです」というモデル訳を示しながら、「係り受けを意識して訳しましょう」と注意を促した。
〈…by helping our customers use less electricity, fuel, and water…〉の1文では、形容詞lessを動詞に変換して「お客様が使用する電力や燃料、水の量を減らす助けとなることで」と訳した受講生の訳例に着目。淺野先生は、「lessの意味を『減らす』という動詞の形にして訳したことで、簡潔な文章になっていますね」と評価し、「このuse less表現はdecrease, reduceの代わりにも使えますから、覚えておくと日英和訳の時に表現が広がります」と、原文の意味を捉えた上で適切な品詞に変換して訳出するテクニックを披露した。
また淺野先生は、読点の位置が適切かどうかを判断する一つの基準として、音読を推奨する。授業中も「音読してみて息が持たない場合、それは読点が足りないサイン。訳文に再考が求められる」と実践的なアドバイスを送っていた。
こうして英日課題の検討が進み、2時間の授業が終了した。最後は淺野先生から一人ひとりに訳文の良かった点や改善点を伝えた。受講生は自分の長所や強化すべき点を認識し、次の課題に取り組む意欲を高めたようだった。
講師からのメッセージ
翻訳準備科の講師。大学在学中は英文科を専攻。大手電機メーカーで、役員秘書を務めた後、インタースクールで翻訳を学ぶ。翻訳者養成課程修了後の現在は、大学で教鞭を執るかたわら、インターグループ翻訳者としてビジネス・産業分野を中心に活躍している。
読みやすさと正確さのバランス、原文のロジックを意識して訳しましょう
「翻訳準備科」では、産業翻訳の需要が高い分野から教材を選び、英日翻訳と日英翻訳の両方を学びます。
英日翻訳で特に意識していただきたいのは、読みやすさと正確さのバランスです。読みやすさを追求するあまり原文から離れてしまってはいけませんし、一語一語逐語的に訳して機械翻訳のようになってもいけません。さまざまな課題に取り組むなかで、読みやすさと正確さのバランスが取れてくると思いますので、「翻訳準備科」の授業を通して試行錯誤を重ねてください。一方、日英翻訳では、原文のロジックに気を配る必要があります。論理的に誤りがある日本文を直訳すると、意味の通らない英文になってしまいますので、原文の意図を把握するまでしっかり読み込む姿勢を身につけてください。
インタースクールは、母体であるインターグループと連携を取り、産業翻訳界で活躍するプロを育てます。皆さんの未来を切り拓くお手伝いをさせていただけたらと思っています。
受講生に聞く!
翻訳準備科 受講生
A.C.さん
自分の訳文を添削していただけるだけでなく、クラスメートの訳文と比較しながら良い点や改善点を具体的に知ることができるので、独学やe-learningでは学べない、翻訳スクールならではの収穫があります。英日翻訳で英文を読む際、これまではなんとなく理解していたつもりになっていましたが、最近は文の構造や修飾関係等の細部にも注意を払って読むようになりました。日英翻訳では、過不足なく簡潔に、自然な英語で書くことの重要性を学んでいます。
ここもチェック
キャリアアップを㈱インターグループが全面サポート
母体であるインターグループと密に連携し、在校生・修了生のキャリアアップをサポートしている。修了生は、翻訳者採用試験を経て、登録翻訳者として仕事をする機会が得られる。
在学中にプロデビューできる「プレ登録制度」
成績優秀な受講生を講師が推薦し、プレトライアルに合格すれば在学中でも翻訳者としてデビューできる「プレ登録制度」がある。この制度を使えば在学中に実務経験が積めるため、スムーズなプロデビューにつながる。
講座紹介
翻訳準備科
未経験からプロをめざす人におすすめの翻訳者養成課程の入門コース。現役翻訳者による指導の下、産業翻訳コース本科より始まる本格的な翻訳訓練に違和感なく、スムーズに臨むための英語運用力と翻訳技能の習得をめざす。
産業翻訳コース(本科)
粗削りでも正確に伝わる、プロの技能の基本を習得。授業内で毎週の提出課題について議論し、訳文の手直しを重ね読解力・訳出力を高める。また文書で伝えたい意図(メッセージ)を正確に伝える技能を磨く。
産業翻訳コース(プロ実践科)
「商品」として通用する、高品質な翻訳を極める。用途、スタイル、顧客の要望に柔軟に対応できる豊富な表現力を磨くほか、翻訳支援ツールの使用方法(原稿受領から翻訳納品まで)も学習。
インターeスクール
金融・IR翻訳講座(英日・日英)
英日翻訳では投資レポートや経済記事を教材として使用し、金融経済の英語表現や基本知識の習得をめざすeラーニング講座。日英側では、決算短信や決算説明会資料、IRプレスリリースなども取り扱う。財務・会計翻訳者をめざす人はもちろん、社内で翻訳やチェック業務に関わる人も基礎から学べる。
英文契約書翻訳講座
契約書における実践的な文書を使用しながら、あらゆるビジネスの現場に役立つ日英・英日の翻訳スキル・表現方法を習得できるeラーニング講座。
修了生・プロ向け
お仕事Workshop・ポストエディット
機械翻訳の技術革新により次第に需要が高まっているポストエディット業務に対応できるスキルを養成。
お仕事Workshop・医薬専門ポストエディット
医薬翻訳分野で特にニーズの高いCIOMS、CTD、GMP文書に絞り、ポストエディット業務への対応スキルを養成。
お問い合わせ先
インタースクール
<オンライン事務局>
TEL:0570-067-551
school-online@intergroup.co.jp
<東京校>
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-2-5 共同通信会館4F
TEL:03-5549-6910
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