
新刊翻訳書を、訳を手がけた翻訳者の方、または担当編集者の方が紹介。書籍の読みどころを語っていただきます。

『バイオリン狂騒曲』
ブレンダン・スロウカム 著
東野さやか 訳 集英社
出版社HP
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国際コンクール目前。ある黒人バイオリニストの楽器が突然盗まれた。残されたのは身代金を要救する1 枚の脅迫状。
一体誰が? 何のために?
本書は、そんなバイオリン盗難事件から幕を開ける音楽ミステリです。
主人公のレイは、バイオリンの才能あふれる好青年。高校時代に部活でバイオリンをはじめ、いつかその腕で生計を立てたいと思っていましたが、貧しい家庭で育ち、夢を実現するのは困難な環境にいました。加えて彼は黒人だったことで、さまざまな差別や偏見を経験することになります。物語は、そんなレイが才能を開花させ、念願のコンクール出場の切符を掴んだ矢先の場面から始まります。
著者は、本書を執筆した理由のひとつとして、クラシック業界における有色人種の少なさを挙げています。作品に登場する差別の体験の多くが、バイオリニストでもある著者が実際に経験したことだそうです。リアルなその描写にも注目ですが、ひとりのバイオリニストの成長小説として、また盗まれたバイオリンの行方と、その隠された歴史を含むミステリとしても楽しく読んでいただければと思います。
(集英社クリエイティブ・内田彩香)
※ 通訳翻訳ジャーナル2023年秋号より転載
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