
新刊翻訳書を、訳を手がけた翻訳者、もしくは担当編集者の方が紹介! 書籍の読みどころを語っていただきます。
恐れられつつも愛される クマと人との関係とは

『世界を旅して見つめた クマと人の長いかかわり』
グロリア・ディッキー 著
水野裕紀子 訳 科学同人
(2025年1月30日発売)
出版社HP
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【編集者が語る】
世代を超えて愛されるキャラクターがある一方、凶暴さを恐れられもするクマ。手厚い保護の対象にもなれば、駆除の対象になるクマもいる。同じクマでも、種によって扱い方は大きく異なる。
日本にはツキノワグマ、ヒグマの2種が生息。「熊出没!」がニュースになるのは人との軋轢ゆえか。世界ではほかに6種(メガネグマ、ナマケグマ、マレーグマ、アメリカクロクマ、ホッキョクグマ、パンダ)が生息するが、パンダと同じようにナマケグマを気にかけることはあるだろうか。
著者ディッキーは、8種のクマの現状を知るため世界各地を訪れ、生息地に足を運び、ステークホルダーとの対話を通して、恐れられつつも愛されるクマと人の関係を掘り下げる。クマと人の軋轢は容易に解消できるものではないが、やりすごせる問題でもない。「人類の歴史とともにあった、美しくも複雑な関係性」を失わないために、多様な意見に耳を傾けねばと思う。
(化学同人 津留貴彰)
※ 通訳翻訳ジャーナル2025年SPRINGより転載
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