
新刊翻訳書を、訳を手がけた翻訳者、もしくは担当編集者の方が紹介! 書籍の読みどころを語っていただきます。
スリランカの作家による圧巻のブッカー賞受賞作

『マーリ・アルメイダの七つの月』(上・下)
シェハン・カルナティラカ 著
山北めぐみ 訳
河出書房新社(2023年12月26日発売)
出版社HP
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【編集者が語る】
1990年、内戦が激化するスリランカ。戦場カメラマンのマーリ・アルメイダは、冥界の受付で目を覚ました。なぜ死んだかの記憶はないが、内戦を終結に導く写真を撮ったことを思い出した彼は、それを公表したいと願う。現世に戻り恋人と親友に写真のありかを教えるようと奮闘するマーリ。しかし、彼に残された猶予はたった七夜だった……。
ブッカー賞を受賞した本作は、スリランカの混乱を背景に描かれる、一風変わったミステリであり、生者と死者に引き裂かれたラブ・ストーリーであり、皮肉な笑いに満ちたゴースト・ストーリーです。
本書のエピグラフはこういうものです。「父よ、彼らを許したまえ。私はけっして許さないから」。これは内戦中に殺されたスリランカのジャーナリスト、リチャード・デ・ゾイサの言葉で、作品を貫く重い問いを予感させます。血で血を洗う争いのなかにあって、忘却と赦しは果たしてあり得るのか。過去と記憶が悪魔や亡霊としてあらわれたとき、彼らはなにを囁くのか。マーリの選択をぜひ確かめてみてください。
(河出書房新社・町田真穂)
※ 通訳翻訳ジャーナル2024年SPRINGより転載
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