どうすれば、プロとしてデビューすることができるのか?
実際に、産業翻訳者としてデビューをした若手翻訳者にお話を聞いた。
専門性を高めるためにIT系の資格を取得
故郷にUターンして翻訳者デビュー
1981年生まれ。三重県出身。上智大学文学部英文学科卒業後、フェロー・アカデミーカレッジコース修了。2005年より都内の翻訳会社にて翻訳のコーディネーション、チェックなどの業務に従事し、2011年にフリーランスのIT系翻訳者として仕事を開始。
Twitter : @zaitakjin
ブログ:https://zaitakjin.net
大学在学中に翻訳に目覚める
上智大学に在学中、『翻訳英文法』の著者として知られる故安西徹雄教授の翻訳ゼミで翻訳のおもしろさに目覚めた中井さん。翻訳者をめざしていたため新卒時には就職をせず、翻訳スクール、フェロー・アカデミーのカレッジコースに進み、1年間かけて翻訳を学んだ。
「スクールに通っていちばんよかったのは、他の人の訳例を見られることです。翻訳作業は一人で行うので、どうしても訳文が独りよがりになりがちなのですが、人と比べると自分の訳文がどの程度の品質なのかがよくわかりました」
スクール修了後は、翻訳者ネットワークの「アメリア」で求人を見つけた翻訳会社に就職。翻訳案件の管理を行うプロジェクトマネジャーや、訳文の品質管理を担うレビュアーなどの職種を経験した。
「就職した会社がIT案件をメインに扱う会社でした。もともとPCが好きで、私もいつかはIT翻訳者として独り立ちすることをめざしていましたので、在職中にスクールに通ってMCP(Microsoft 認定資格プログラム)と、CCNA(Cisco Certified Network Associate)の資格を取得しました」
この2つは、IT業界では世界に通用する資格として知られている。IT関連の翻訳案件で「翻訳者はMCP/CCNA取得者に限る」と指定されることもあるという。
「その後2011年に実家のある三重県にUターンしフリーになったのですが、もともと勤務していた翻訳会社から仕事をいただけることになりました。またMCPとCCNAを取得していたことで専門性をアピールすることができ、複数の会社のトライアルに合格した後はすぐに仕事の依頼がありました」
すべり出しは快調。海外の翻訳者ネットワーク「ProZ.com」に登録しているレジュメを見て声をかけてきた海外の会社などからも仕事の依頼があり、継続的に案件を受注している。
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