ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、世界中でゲームの開発を行い、人気作を生み出しているゲーム会社。同社の海外スタジオで制作されたゲームの日本でのヒットを支えているのが、社内の専門チームによって行われる高品質な日本語ローカライズだ。2020 年に発売された2つのゲームのローカライズ作業について、SIE ローカライズチームの方々に話を聞いた。
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【お話】(前編)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
『Ghost of Tsushima』ローカライズプロデューサー
『Ghost of Tsushima』ローカライズスペシャリスト
ゲームの人気を支える
ハイクオリティな日本語ローカライズ
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、家庭用ゲーム機「プレイステーション」の開発・発売元であり、数多くのゲームソフトを手がけている、世界で最も大きなゲームメーカーの1つだ。
SIEは、94年に初代プレイステーションが発売された当初から、「グローバルタイトル」として多くのゲームソフトを開発してきた。日本から海外への展開だけではなく、人気のアクションゲームシリーズ「クラッシュ・バンディクー」をはじめ、海外にある傘下の開発スタジオが開発したゲームの日本向けローカライズも90年代から行っている。
現在、SIEは世界各国に多くの子会社・提携会社をもち、世界中でゲームを開発し、また発売元となっている。特に近年は、全世界累計実売本数4170万本以上(※2017年11月25日時点)を誇る「アンチャーテッド」シリーズ、最新作『The Last of US PartⅡ』が全世界累計実売本数400万本以上(※2020年6月21日時点)となった「The Last of Us」シリーズなど、大規模なリソースを投入してグラフィックやシナリオに非常にこだわって作られた海外スタジオ開発のゲームが、日本でもヒットするという現象が顕著になっている。同時に、それらのゲームの自然でクオリティの高い日本語ローカライズもゲームファンからの注目を集めている。
SIEの海外スタジオ制作タイトルの日本語ローカライズはどのように行われているのだろうか。2020年に発売された話題作『Ghost of Tsushima』と『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』を担当したSIEローカライズチームの方々に話を伺った。
時代・文化的な考証にも協力
通常の「ローカライズ」を超えた仕事に
『Ghost of Tsushima』
ジャンル:オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー
対応機種:PlayStationⓇ4、PlayStationⓇ4 Pro ※PlayStationⓇ5でもプレイ可能
発売日:2020年7月17日
公式Webサイト
*2021年8月20日には、新たに追加要素を加えた『Ghost of Tsushima Director’s Cut』が発売された
アメリカの制作者が描く
鎌倉時代の「武士」の世界
『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』は、鎌倉時代の文永11年に起きた、元(モンゴル帝国)による対馬への侵攻を題材にしたゲームだ。対馬国の武士である主人公は、故郷とそこで暮らす人々を守るため、侍の道に反した邪道な戦い方に手を染めることを決意し、元の大軍勢に立ち向かう。
ゲーム内には日本の四季を反映した美しい風景が広がり、時代劇映画からそのまま抜け出てきたようなキャラクター達が、壮大なドラマを展開する。
この、非常に「日本的」なゲームは、SIE傘下のアメリカのゲーム開発会社、サッカーパンチ・プロダクションズによって開発された。開発者は日本の時代劇の大ファンで、特に黒澤明監督の映画を強く意識したという。リアルな日本の風景をゲーム内に再現するため、2回にわたり対馬をはじめ日本各地に取材に訪れ、時代考証にもこだわり、日本人がプレイしても全く違和感を覚えないほど、細部まで「日本らしさ」にこだわって作られている。全世界累計650万本(※2021年3月22日時点)を売り上げ、21年3月には実写映画化も発表された大ヒットタイトルだ。
※ 通訳翻訳ジャーナル2021年夏号巻頭記事より転載
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