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大学や大学院で通訳や翻訳を学ぶ目的やメリット、学ぶ人のキャリアパターンなどを整理しておこう。
大学・大学院で通訳・翻訳を学ぶ
大学で学ぶ
通翻の「学部・学科」はないが、科目の一つとして学べる
4年制大学の学部の科目として「通訳」や「翻訳」を取り入れている大学はある。ただ、日本の大学に通訳「学部」や翻訳「学部」はなく、「学科」もない*。つまり通訳・翻訳「学士」というものはないということになる。
*文部科学省『学科系統分類表』より
「通訳」や「翻訳」の科目を学べる学部は、外国語学部やコミュニケーション学部、文学部などに多いようだ。通訳と翻訳のスキルを修得するというよりは、語学学習の一つのバリエーションとして通訳や翻訳スキルの基本や、仕事のあり方を知ることを目的とした指導がメインとなる。
科目履修を通じて通訳や翻訳に興味をもつ学部生は多いが、4大卒業後に、即通訳者や翻訳者として働くケースはまずない。ただ、外国語だけではなく、通訳や翻訳というスキルを学んだことをアピールすることで、就職活動時に差別化できる面もある。
大学で通訳・翻訳を学ぶメリット
❶ 語学力アップが図れる
例えば通訳基礎トレーニングを取り入れた授業であれば、リスニング力や語彙力のアップなどの効果が期待でき、一般的な語学クラスよりも使える英語力が身につく。
❷ 就職活動時にアピールできる
単に語学力があるだけでなく、通訳もしくは翻訳という実務に使える技術があり、それについて深く学んだという実績をアピールすれば説得力も増す。
❸ 通訳・翻訳に必要な一般常識が身につく
プロの通訳・翻訳者には語学力だけでなく、幅広い一般教養や特定分野の専門知識が必要。大学の学びでは経済、歴史など、一般常識も学ぶことができる。
大学院で学ぶ
学問、研究としての通訳翻訳修了後、指導側に回ることも
学部よりも踏み込んだ形で研究科の専攻やコースの一つとして通訳・翻訳を掲げて、専門的な教育や研究を行っているところがいくつかある。ただ数は多くない。
大学院で学ぶ人は、学部を卒業したばかりの20代に限らず、すでに通訳者や翻訳者として働いている人というケースもある。各大学院のカリキュラムの内容によるが、理論を学んだり、通訳や翻訳を学問として研究するような内容だと、通訳・翻訳を専門的に学び直したいという理由で実務経験者が入学し、キャリアアップを図ることもある。また、大学で教鞭を取る際には、修士や博士が必要な場合が多いので、通訳者や翻訳者が大学院に入り、大学で教える立場に転じる人もいる。
大学院で通訳・翻訳を学ぶメリット
❶ 理論と実技を並行して学べる
民間の養成学校は実技中心だが、大学院は理論を重視する傾向にある。さらに実技も学べるカリキュラムがある大学院であれば、一挙両得、バランスよく学べる。
❷ 専門学習に集中できる
学部の場合も専門課程だと2年間だが、大学院も履修期間が原則2年間。まとまった期間、一つの分野の学習に専念できることは技術を習得する上でも効率的。
❸ 修士・博士がキャリア形成の武器に
大学院で修士や博士を取ることは簡単なことではない。無事修めることができればそれは立派なキャリアになる。現場でプラスになるだけでなく、指導者の道も開ける。
Check!🏫海外では大学院での教育が充実
ヨーロッパ、中国のほか、台湾や香港、韓国など、海外には通訳・翻訳を学べる大学・大学院が多数ある。日本語を対象にしているプログラムを設置している大学・大学院は限られるが、日本よりも海外のほうが大学院レベルでの通訳・翻訳教育が盛んである。
ミドルベリー国際大学院モントレー校(旧モントレー国際大学院、米)、ロンドン・メトロポリタン大(英)、クイーンズランド大、ニューサウスウェールズ大、マッコーリー大、モナッシュ大、RMIT大(豪)などで日本語⇔英語の通訳訓練を受けることができる。基本は大学院での教育だが、大学学部で通訳・翻訳教育を受けられるところもある。
通訳・翻訳を学ぶことを目的に海外の大学院に進学し、帰国後にプロとして働いている人は業界内には多数いる。日本の通訳・翻訳養成学校のように、実務に即したスキルを大学院で学べる。海外の大学・大学院で通訳・翻訳を学ぶことに興味のある人は以下の特集も参考にしてみよう。
🌎特集 海外で通訳・翻訳を学ぶ🌎
通訳・翻訳を専門的に学べる大学院のカリキュラムや、実際に海外の通訳・翻訳課程で学んだ先輩の声を紹介!