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2024.10.11 UP

第12回 (最終回)「前向き」を表す英語表現
positive

第12回 (最終回)「前向き」を表す英語表現<br>positive

今回のキーワード1:positive 前向きの、プラス思考の

最近は「ポジティブ思考、プラス思考」という言葉をよく耳にしますよね。反対語は negative です。なお、 positive の発音は「ポズィティヴ」と思われがちですが、辞書の発音記号を見ると、「ズィ」よりも「ザ」のような音に近くなります。

●positiveの語源

positive は元々「場所の確定した」という意味から「疑いを入れない」となり、「明白な、肯定的な」という意味へ変遷していきました。同義語では sure や certain などがあります。今回例文でご紹介したのは「前向きな、楽観的な、プラス思考の」という用法です。
ちなみに磁石のN極は英語で positive pole、S極は negative pole です。数学の世界であれば positive number は「正の数」、医学用語の場合 positive は「(反応が)陽性の」という意味になります。

●positiveの用法

positive は形容詞です。辞書で形容詞に遭遇した際には、ぜひ活用形も押さえておきましょう。positive の場合は more, most を前につけます。また、学習者向け英和辞典には positive の後にどのような前置詞がつくかも書かれています。
抵は positive about ですがほかにも of や that 節もありますよね。
下記の最初の例文は positive way of thinking で「プラス思考」という意味です。「マイナス思考」であれば negative way of thinking です。動詞は have を使います。
一方、2つめの例文は be positive で「積極的な」という意味になります。人や行動などが積極的な様子を表します。

●positiveの例文

①He has a positive way of thinking. 
(彼はプラス思考の持ち主だ。)

②Whenever you do your work, always be positive and energetic! 
(仕事の際には常に積極的でエネルギッシュでいよう!)

今回のキーワード2:challenging 意欲を掻き立てる、やりがいのある

本稿冒頭の訳例2 では「大変そう」をあえて challengingという訳にしています。辞書で challenging を引くと「仕事や問題などに関して骨が折れるがやりがいのある」というニュアンスを表していることがわかります。労力を要するものの、決してイヤというわけではなく、むしろやる気が出てくるようなニュアンスです。

●challengeの語源

challenge の語源はラテン語です。「偽りの告訴」という意味から「論争」という語義へ展開していきました。日本語でも「チャレンジ」というカタカナ語がありますよね。ただ、こうしたカタカナ語と元の英語についてはどこにアクセントがあるのか注意することが必要です。日本語では「レ」を強く読みますが、英語では cha にアクセントが来ます。

●challengeの用法

「大変な」という状況を表す単語は他にも demanding という言葉があります。かつてイギリスの大学院時代にクラスメートが “This subject is really demanding! (この科目は本当に大変!)”とよく口にしていました。demand は「要求する」という意味ですので、教授から学生への要求が厳しいというニュアンスがあるのですね。一方、challenging の場合は、「大変でも自主的に立ち向かおう」という雰囲気が出ています。
下記の最初の例文は「やりがいのある仕事」として a challenging job というフレーズを使っています。2つめの方は「長い記事だったので読みでがある」という意味です。

●challengeの例文

①Simultaneous interpreting is a challenging job.
(同時通訳はやりがいのある仕事です。)

②The article was five pages long. It was indeed challenging!
(その記事は5 ページもありました。確かに読みでがありましたね。)

では英日通訳に取り掛かってみましょう。Challenging な練習問題? いえいえ、ぜひとも positive な気持ちで臨み、訳文を下欄に書いてみてくださいね。 

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放送通訳者 柴原早苗
放送通訳者 柴原早苗Sanae Shibahara

同時通訳者。獨協大学およびISSインスティテュート講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールドを経て現在はCNNおよび民放局で放送通訳業に携わる。近年では米大統領選、ノーベル賞、エリザベス女王国葬、テニスATPカップ、G7広島サミット記者会見、ノーベル平和賞受賞ユヌス博士、国会議員連盟の通訳などに従事。