ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
進捗を共有・管理したいときに必須の“tracker”
グローバル会議で出てきたアクション(action)や決定事項(decision)、課題(issue)は1つにまとめて管理しておきたいもの。この3つを表す英単語の頭文字を取った“ADI”を管理するリストは“ADI log”と呼ばれることが多いことは第86回でお話ししました。
ではADIに限らず、様々な事項を1つにまとめて進捗を管理するリストのことを英語でどう表現したらいいでしょうか。
そこで便利な表現が“tracker”。動詞“track”(追跡する)の名詞形の1つで、そのまま「追跡者」「捜索者」の意味もありますが、もう1つの意味が「進捗確認リスト」です。日本語に訳されて表現されることはあまりなく、片仮名でそのまま「トラッカー」として使われることが多い英単語です。覚えておきましょう。
なお、“tracker”はエクセルで管理されることが多いですが、エクセルは英語では“Excel”とそのまま表現されることは少なく、“Excel spreadsheet”または単に“spreadsheet”、あるいは“workbook”と表現されます。合わせて覚えてしまいましょう。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:How shall we manage changes?
B: I think we can manage using an Excel spreadsheet tracker.
A:変更管理はどうやってしたらいいでしょうかね?
B:エクセルのトラッカーを使って管理できると思います。
ぜひ使ってみてください!
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日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CRO・シミックのシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。立教大学(社会デザイン学 [博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳 [修士])卒。英検1級、全国通訳案内士、国連英検・特A級(外務大臣賞)。日本会議通訳者協会(JACI)のHPでコラム「製薬業界の通訳」を、『通訳翻訳ジャーナル』(2022-23年)でコラム「専門分野の通訳に挑戦【製薬編】」を連載していた。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版)、『ジェンダー研究と社会デザインの現在』(三恵社)がある。 立教大学・兼任講師/研究員、社会デザイン学会・理事。趣味は小6から続けているテニス。