ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
だいぶ前になりますが、第2回で“the ask”を取り上げました。動詞“ask”に“the”を付けて名詞化した表現で、「依頼物」「頼んでいるもの」という意味になります。
今回は同じように動詞が名詞化された表現をご紹介したいと思います。それがこの“pre-read”。動詞として考えれば“read(読む)”に“pre(事前の)”が付いていますから「事前に読む」という意味になります。しかし最近のグローバルビジネスの現場では、これが名詞化されて「事前に読んでおく資料」「事前配布資料」という意味でよく使われますので覚えておきましょう。
ちなみに私の生業(なりわい)は通訳者ですが、通訳者にとってこの“pre-reads(事前資料)”は命綱です。日頃からプロジェクトメンバーとしてそのプロジェクト・会議に関わっている訳ではありませんので、通訳するに当たっては事前資料に基づいた入念な事前準備が欠かせません。「英語が出来るのだから、準備しなくともその場に来て通訳していただければ結構です」という方が偶にいらっしゃるのですが、通訳をご依頼される機会があればぜひ事前資料の提供も合わせてお願いします。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:Are you planning to provide us with a pre-read prior to the call?
B:Yes, I am.
A:電話会議の前に我々参加者に事前資料を配布してくださる予定ですか?
B:はい、その予定です
ぜひ使ってみてください!
会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。