ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
「紛争」の意味以外にビジネスでも使える単語 “conflict”
第110回の“Sign off”のコラムで、“I have to sign off now due to a conflict.(別件があって抜けなければなりません。)”という例文を取り上げましたが、今回はこの例文の最後の単語“conflict”を取り上げたいと思います。
受験英語的な発想では、“conflict”と聞くとついつい「紛争」という訳語を思い出してしまいます。ですが、“conflict”のイメージは「何かと何かが衝突してしまっている状態」ですので、上述の例のように1つの予定と他の予定が衝突してしまっている状態、つまり「別件がある」状態を指す際にも用いることができます。
ちなみに、日本語では「スケジュールがバッティングしている」とも表現しますが、この「バッティング」は和製英語です。あえて英語にするとbuttingで、butt(ぶつかる; 尚、「お尻」という意味もあるので使う際には注意しましょう)から来ていますが、この意味でbuttingという単語が使われるのを私自身、耳にしたことがないので注意しましょう。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:Are you available for a quick call tomorrow?
B:Apologies, I have a schedule conflict.
A:明日、電話でちょっと話せないかな。
B:ごめんなさい、別件があって。
“conflict”、ぜひ使ってみてください!
★前回のコラム
会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。