第5回 沖縄ツアー その1 沖縄本島編

現役通訳ガイド(全国通訳案内士)が実際にお客様をお連れしたツアーの様子や観光地の魅力を紹介します。
今回は3言語(スペイン語、ポルトガル語、英語)の全国通訳案内士である萩村昌代さんが担当します。

●2023年4月某日
沖縄本島~石垣島・竹富島ツアー
お客様:ブラジルからの団体客(約20名)
•10日間のツアー後、沖縄を追加
•東京から飛行機で移動

スペイン語、ポルトガル語、英語の全国通訳案内士の萩村昌代です。
ポルトガル語のガイドとして、ブラジルからの団体のお客様をお連れした沖縄本島~石垣島・竹富島ツアーの様子を数回に分けてお伝えします。
今回は沖縄本島2日間のレポートです。

下見をしていざ沖縄ツアーへ

横浜の私にとって沖縄はほぼ異国です。
本島は10年くらい前に一度だけ団体をお連れしたことがありましたが、今回は島も含まれ、旅程上の不確定要素もあったので、3月に1人で3島へ行き、大急ぎで下見をしました。その情報を旅行社へフィードバックし、旅程をアレンジいただきました。

●ツアーの行程
1日目 
都内ホテル→羽田空港→那覇空港(昼食:機内で昼食各人持込)
那覇市国際通りのホテルにチェクイン後フリー
夕食:自由だがお客様全員を国際通り周辺の散策へ

2日目 
みーばるビーチグラスボート
沖縄ワールド(玉泉洞)
昼:館内ビュッフェレストラン団体食
平和祈念公園
夕食:沖縄民謡ショー付沖縄料理店団体食

飛行機利用でまず、あたふた

桜の時期を含む約10日間の日本ツアーを終えて日本に慣れたお客様のうち、TC(=現地からの添乗員様)1名とご希望者20余名が沖縄までご旅行を延長されました。
多くが日系人で全員が沖縄とゆかりあるわけではないですが、日系移民出身の多い沖縄はブラジル人にとっては魅力的です。

都内のホテルを出発後、羽田空港へ。
通訳ガイドにとって飛行機移動のツアーは少ないかもしれませんが、少数言語(ポルトガル語)の場合は、ガイドが少ないので何でもありです。
お客様のチケットは日本国内で購入したチケットではなかったためか、無人機での手続きができず、特殊荷物を扱う有人カウンターへ行くように言われてしまい、やや想定外でした。

那覇到着後、手荷物受取所まで10分位は歩くので、迷子を出さないためトイレは手荷物受取所まで我慢していただきました。
那覇空港では到着口までバス運転手さんが迎えに来てくださいましたが、都会ではあまり無いことです。

急に「散策ご案内して!」

約15分で那覇の繁華街である国際通りにあるホテルに到着。
予定では初日は自由行動でしたが、チェクイン時にTCから急に「チェクイン後はご希望のお客様を周辺に案内してほしい」と言われました。
こういった想定外のことは良くあります。

チェックイン20分後、全員が散策を希望されロビーに集まりました。
どのような所を見たいのかも見当つきませんでしたが、お土産品や地元の飲食物がある「市場本通り」という商店街にお連れしました。
お土産を選ぶ際には釣り具、線香、民謡CDなどといったちょっと変わったリクエストもあります。

事前の下見の際にホテルの近くにある公設市場(新鮮な海産物などを扱う)を見ておいたので、そにらにお連れして、皆様はそれぞれ夕食をとられました。
自由食ツアーではホテル周辺の下見は大切です。

船は揺れるか

翌日は大型貸切バスでまず、新原ビーチにあるグラスボートへ。
船の底のガラス越しに、海底の生き物が見られる沖縄ではポピュラーな観光ですね。
事前の下見には来ていたのですが、天候の都合で船には試乗できませんでした。
そのため実際に何が見られるのか、どのくらい揺れそうかまで把握できていませんでした。

12名乗り船3隻に分かれて乗船しましたが、当日1名様が船酔いを懸念し乗船しませんでした。
TCにも「どの位揺れるか事前にお客様にアナウンスしたほうが良かったのでは?」と言われました。「ネガティブな事は先に、うれしいことは後にアナウンスする」のが、この業界の基本ですね。

しかしその後、多くの船会社で「船酔いするか否か」はお伝えしないことがわかりました(「乗りたくない!」と言われないためでしょうか)。そして実際、あまり揺れませんでした。
乗船されたお客様は、きれいなクマノミなどが見られ、楽しい20分間になりました。

新原ビーチのグラスボート

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萩村昌代
萩村昌代Masayo Hagimura

3言語(スペイン語、ポルトガル語、英語)の全国通訳案内士。横浜生まれ横浜育ち。2006年より稼動の中堅ガイド。団体、インセンティブ、FIT等、北海道から沖縄離島まで全国を回る。