• 通訳

2023.05.19 UP

第156回 bear with me/熊と一緒にいる訳ではありません(笑)

第156回 bear with me/熊と一緒にいる訳ではありません(笑)

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

第151回で、“I’m going to go off on a tangent a little here, so bear with me.(ここで少し脇道に逸れますが、お付き合いください。)”という例文を取り上げました。今回はこの例文の最後に出てきたフレーズ“Bear with me.”を取り上げたいと思います。

“bear”は名詞としては「熊」の意味で知られますが、動詞としてwithと組み合わせて句動詞“bear with~”にすると「~に我慢して付き合う」という意味になります。ですので“Bear with me.”とすれば「私に我慢してお付き合いください」という意味になります。色々な場面で使える便利なイディオムですので、ぜひ皆さんのボキャブラリーに加えてみてください。

例えば、オンラインのグローバル会議中に突如、資料を画面に投影するように言われて慌てた経験はないでしょうか。そんなときに「少々お待ちください」という意味を込めて“Bear with me”を使うと、参加者は辛抱強く待ってくれるでしょう。なお、その「辛抱強さ」は英語で“patience”と表現できます。ですので、やっと文書が見つかって投影できたあかつきには“Thank you for your patience.”(辛抱強さをありがとうございました=お待たせいたしました)と言うのが通例となっています。

同じ“bear”を動詞で使った表現で覚えておくといいイディオムに“Bear~in mind.”があります。「~を心に留めておく」「~を覚えておく」という意味になります。“Keep~in mind.”も同じ意味になります。合わせて覚えてしまいましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

(オンライン会議中に)
A: Can you share your screen on zoom?
B: One moment, bear with me.……Here we go. Thank you for your patience.

A: Zoom上でスクリーンをシェアして頂けますか?
B: 少々、お待ちください。……あ、映りましたね。お待たせしました。

ぜひ使ってみてください!

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。