• 通訳

2023.05.18 UP

第124回 muffle/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(7)

第124回 muffle/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(7)

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

第123回では声が割れてしまっていることを指摘する表現“break up”を取り上げました。今回はグローバルのウェブ会議で声がこもってしまって聞きにくいことを指摘する動詞を取り上げたいと思います。

その動詞が“muffle”。「包む」「くるむ」という意味もありますが、そこから派生したのでしょう、声が包まれたようにこもってしまっている様子を描写する際に使われます。実際には受動態にして“Your voice is muffled.(声がこもっています)“のように使います。

なお、車の排ガスの排出音を低減する装置をマフラー(muffler)と言いますが、この名詞も“muffle”から来ています。冬に首に巻くマフラーも“muffler”と綴りますが、米国滞在時にその意味で“muffler”という単語が使われるのを一度も耳にしたことはありませんでした。代わりに使われていた単語が“scarf”。日本語で「スカーフ」と言うと、女性が首に巻く薄手の生地のものを思い浮かべてしまう方もいるかも知れませんが、英語では「マフラー」「襟巻き」という意味がありますので気を付けましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

【ウェブ会議中に】
司会:I can’t hear you well. Your voice is muffled.
発表者:Oh, apologies. I’m gonna disconnect and connect again.

司会:お声がよく聞こえません。声がこもってしまっています。
発表者:あ、すみません。一度接続を切って入り直しますね。

ぜひ使ってみてください!

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。