新刊翻訳書を、訳を手がけた翻訳者の方がみずから紹介。書籍の読みどころを、訳者ならではの視点で語ります。
『世界を変えた50の植物化石』
ポール・ケンリック 著/矢部淳 監修/松倉真理 訳
エクスナレッジ
出版社HP
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NHKの連続テレビ小説『らんまん』の人気もあってか、草花への関心が高まっているこの頃。さらにタイムスリップして、古代植物の世界を覗いてみるのはいかがでしょう?
10億年以上前、動物より早く陸地へ進出した植物。しなやかに、したたかに生き抜きながら、地球環境に大きな影響を与え続けてきた草木や花々の物語を、本作では数々の植物化石の写真とともに紹介します。
太古の海を漂っていた藻のような植物の祖先は、光合成を獲得して陸地に上がり、やがて茎や葉を伸ばし、あるものは堅い幹を得て大木となり、あるものは虫や動物を誘う花や果実を備え……。その変化自在な進化の過程を追うにつれ、植物には自らの意思があるのでは?と思わずにいられません。
専門用語も多く、調べものには大変苦労しましたが、自分の頭上や足元に茂る緑を今までとは違う視点で見られるようになりました。美しいビジュアルとともに綴られる50のエピソードを、ぜひお楽しみください。
松倉真理Mari Matsukura
1978年千葉県生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒。広告制作会社、Webメディア運営会社に勤務したのち、英語とスペイン語の翻訳に携わる。実務と出版の翻訳を中心に活動中。