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時代の変化に加え、2020年以降のコロナ禍により、通訳・翻訳業界の環境も大きく変化した。
通訳業界においては遠隔通訳が急速に普及、翻訳業界では機械翻訳(MT)への注目度が一層高まっている。翻訳会社は機械翻訳と、どう関わっているのか、どの程度導入しているのかを、アンケート結果をもとに紹介する。
MT対応の翻訳会社は半数を超える
編集部では2022年11〜12月、全国の翻訳会社43社にご協力いただき、アンケート調査を行った。その結果をもとに、機械翻訳(MT)への対応について聞いた。
MTを使用する案件への対応については、「クライアントから要望があれば対応」が23社、「要望もなく対応もしていない」が8社であった(グラフ1)。
対応している23社というのは、回答のあった43社の53%にあたる。2019年の同様の調査ではMT対応の翻訳会社が40%程度で、22年は49%だったので、確実に増えている。また、MTを使用する案件の数や売上については、案件数・売上はまだ少なく、「ゼロ」の会社も13社あるが、一方で「案件数・売上高ともに少しずつ増加」という回答も8社ある(表2)。
PEの受注も増加の傾向に
MTに欠かせないポストエディット(PE)については、「受注実績なし」が11社だが、これは回答のあった43社の26%にあたる。
21年度の調査では「PE実績なし」が40%だったので、PEを受注する翻訳会社は少しずつ増えているといえる。また、受注実績がある会社の場合、PEの作業は「登録翻訳者」に依頼するケースが多いことがわかった(表3)。
さらに、PEの実績のある会社にPEの報酬について聞いたところ、「通常の翻訳の7割」との回答が9社で一番多い。「通常の翻訳と同等」もあるが、7〜8割が平均的なようだ。
今後の人間の翻訳需要については、現時点でMTの売上がゼロ、あるいは少ない会社であっても、MTの影響で人間による翻訳の需要は減少するとの見方が強いことがわかる(表4)。
特にIT、機械などの分野でMTが増加すると見られているようだが(表5)、「分野を問わずMTの活用が進む」「どの分野も内容がわかればいい程度の翻訳はMTに取って代わる」との意見も出てきている。
MTが普及しても人間による翻訳が求められるのは、意訳をしたり訴求力の高い訳文にする必要があるものだと考えられているようで、今回のアンケートでも回答が「広告・マーケティング」「映像」「出版」に集中している。訳文にクリエイティブな要素を加える必要がある分野は、人間の翻訳が不可欠であると考えられているようだ。
※ 表、グラフはすべて『通訳翻訳ジャーナル』2023年春号より
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