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2023.05.06 UP

1.フリーランスと会社員のお金の違い

1.フリーランスと会社員のお金の違い

フリーランスにまつわるお金の話、知っておきたい基本知識をプロが解説します。

通訳者・翻訳者のフリーランスと会社員では、収入的に何が違うのか?

通訳者や翻訳者をめざす方は、まずは企業内で社内通訳者・翻訳者(会社員)として働きながら技能を磨き、その後フリーランスに転じるケースが多いと思います。

会社員からフリーランスになる際には、会社からの束縛が解け、働いた分は収入増につながるのでは……と、ポジティブな側面に注目が集まりがちです。
ただ実際には、会社員からフリーランスになると、お金にまつわるあれこれが大きく変わり、負担が増す一面もあります。

会社員からフリーランスになったあと、会社員時代を振り返って、給料という安定的な収入を得ながらスキルを磨けるという、ある意味、恵まれた環境にいたことを実感する人もいるでしょう。

今後、社内翻訳者や通訳者からフリーランスに転向を考えている方に向けて、「お金」の側面から、会社員でいることとフリーランスの違いを比べてみます。
大まかにいうと、お金の面での大きな変化は税金社会保険と福利厚生面です。

税金の違いについて

会社員の場合は、納税は給与から所得税と住民税が源泉徴収(天引き)されて、差額を「年末調整」というかたちで会社が手続きを主導してくれます。
フリーランスになると、原則として「確定申告」という、いわば税金の精算手続きを自分自身で行うことになります。

また給与を得ている会社員の場合は、給与所得者としてのみなしコストとして認められる「給与所得控除」という、課税対象となる金額(課税所得)を圧縮する制度がありますが、フリーランスになると、その事業を遂行する上で必要とされる経費を控除することとなります。
その控除をするための手続きが確定申告です(別の回に紹介します)。

Next→社会保険および福利厚生の違いを解説!

戸田博之
戸田博之Hiroyuki Toda

オフィスエイ・エイチ代表。ファイナンシャルプランナー、DCプランナー。1980年東北大学卒 業後住友銀行(現三井住友銀行)入行。国内では商品開発業務、欧米2拠点に7年間勤務後ニューヨークで独立。2001年に帰国後外資運用会社、外資保険会社で金融トレーニングのプロとして活躍。2011年に独立。58歳で大学院に入り言語学を専攻、東京大学博士(学術)を取得。2018年以降は、国際金融業界と言語学の知識を活かし早稲田、明治、法政など大学での英語講師活動を本格的に行う一方、金融関係では確定拠出年金説明会や企業従業員向けライフプランニングセミナーなどを日英両語でつとめるかたわら、金融専門誌への執筆を続ける。