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メール返信が素早い人ほど仕事の依頼が増える?!
ガジェット好きの現役の産業翻訳者が
メールに「即レス」するコツを伝授します。
メールにすばやく返信できるようになるための2大要素
さて、この「メールの返信」だけに焦点をあてた本コラムも6回目となりました。
今まで、第1回~第5回までは「受信した重要メールに早く気がつく」ためのコツをいろいろとお伝えしてきました。
メールにすばやく返信するためには、この「メールに早く気がつく」のも大切な要素なのですが、もう一つ、とても大切な要素があると思います。それは「返信メールを早く書く」ということです。当たり前といえばそうなのですが、いくら受信メールにすぐに気がつけても、何らかの理由で返信メールがすぐに書けなければ、すばやく返信することはできなくなってしまいます。メール返信をすばやくするために、どちらも欠けてはならないものだと思います。
そこで、第6回~第10回では「返信メールを早く書く」ためのコツをお伝えしていきます!
[メールに素早く返信できるようになるための2大要素]
1.メール受信に素早く気がつく(このコツを第1回~第5回でお伝えしました)
2.受信メールをすばやく書く(このコツを第6回~第10回でお伝えします)
返信メールをすばやく書くには?
では、返信メールをすばやく書くには、何ができる必要があるのでしょうか?
「重要メール」を「案件打診メール」と考えた場合(実際、できる限り早く返信する必要のある重要メール、というと案件打診メールが大半ではないでしょうか)、返信メールをすばやく書くためには、次の3つの要素が必要だと私は考えています。
それは、まずは
①打診されている案件にかかる作業時間をすぐに見積もれる
②自分の予定を把握している(そうすれば、①の作業時間が確保できるかすぐにわかりますよね)
③メールの文章を早く書ける
ということです。
[返信メールをすばやく書けるようになるための3大要素]
1.メールで打診された案件にかかる作業時間をすぐ見積もれる
2.自分の予定を把握している(そうすれば①の作業時間が確保できるかすぐわかります)
3.メールの本文が早く書ける
普段メールの返信が早い方はこれらを何気なくこなしていると思います。でも、このコラムのモットー!?と言えば、努力や才能ではなく、コツや仕組みを使ってメールに早く返信できるようにすることなので、これら①~③ができるようになるためのコツを、残り4回でお伝えしていきます。
今回は、「①メールで打診された案件にかかる作業時間をすぐ見積もれる」ようになるためのコツです。
自分の作業時間を把握するには
打診を受けた案件に対して、作業時間を正確に見積もれるようになるにはどうすればいいでしょうか?
それは翻訳や、それに付随する作業を行ったら毎回、記録をつけることだと思います。これがまず必要なことだと思っています。
私はフリーランス翻訳者になった9年前から作業時間を記録しているのですが、おかげさまで最近では随分正確に作業時間を見積もれるようになったと感じています。最初は「思ったより時間がかかってしまった」ということはよくあり、そのせいで徹夜……とか、半べそかきながら仕事、ということがよくありました。
記憶に頼ると「スイスイ作業が進められたとき」を基準に作業時間を見積もってしまいがちになると思います。
さらには、たとえば翻訳案件を受注した場合、実際に訳出する時間だけでなく、メールでやり取りする時間、送られてきたファイルを翻訳できるように準備する時間、指示書やスタイルガイドを読み込む時間、リサーチする時間、見直しする時間も加味して総作業時間を見積もる必要がありますが、記憶に頼ると、「訳出に必要な時間」≒総作業時間として見積もりがちです(私はそうです)。
だから、記録をつけるときは、翻訳しているときの作業時間だけでなく、その周辺業務にかかった時間も記録するようにしていますし、そうするのがオススメです。
「レコーディングダイエット」みたいなもので、作業時間の記録を毎回つけるようにしていると、打診された案件に対してどのくらいの時間がかかるか、なんとなくカンがはたらくようになるなぁ、と感じています。
もしも今現在、作業時間を記録していなくて、さらに作業時間の見積もりが甘くて時間が足りなくなった経験があるようでしたら、ぜひ何らかの手段を使って、作業時間を記録するようにしてみてください。何らかの手段、と書きましたが、私のオススメのツールを後から紹介するので、よければそちらを使ってみてください。
さらにその記録を、さまざまな条件(発注元だとか、エンドクライアントだとか、案件だとか)でフィルターをかけられるようにすると、なお良いと思います。そうすれば、たとえば1カ月の間に、発注元のA翻訳会社から受注した全案件に対して、全体でどのくらいの時間がかかったかがわかります。この総作業時間がわかれば、1時間あたりに何ワード進められているかを算出できます。
たとえば、今年6月に、A翻訳会社から受注した案件に対する総作業時間が50時間だったとします。で、受注した総ワード数が10000ワードだった場合、10000÷50=200で、1時間あたり200ワード進められていることがわかります。
これと同じようにたとえばB翻訳会社についても計算したところ、1時間の処理量が250ワードとわかったとしたら、B翻訳会社からの案件は、A翻訳会社のものよりも短い納期で対応できると判断できます。
こうした計算を頻繁に行う必要はないと思いますが、条件ごとで記録にフィルターを掛けられるようにしておくと、自分の作業時間の見積もりに使えるので、便利です。
[打診された案件にかかる作業時間をすぐ見積もれるようになるには?]
・まずは普段から作業時間を記録する
・訳出にかかる時間だけでなく、周辺作業にかかる時間も記録する
・できれば発注元などの条件別で、総作業時間が表示できるようなツールを使う
Next→オススメのツール
英日の翻訳者/校閲者/QA担当者。現在は、社内とフリーランスの2形態で働いている。ITマーケティング分野が専門。翻訳には品質を、事務作業には効率化を追求し続けている翻訳者。 文学部英文学科を卒業後、予備校講師(英語・社会)、カナダ留学(通訳翻訳専門学校に通学)を経て、20代で翻訳者に。 2022年にはフェローアカデミーの翻訳通信講座「マスターコース『IT・マーケティング』」で講師を担当。2022年JTF翻訳祭「翻訳者のリアルとライフステージ 翻訳者のリアル」、2021年JAT TACセミナー「実務翻訳者の業務効率化と営業舞台裏」でスピーカーを担当。 アメリアクラウン会員(金融・ノンフィクション)、翻訳実務士(IT)。 プライベートではガジェットと洋裁をこよなく愛する、2児の母。