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2024.08.20 UP

多数の大学が参加!
名古屋外国語大学主催「学生通訳コンテスト」

多数の大学が参加!<br>名古屋外国語大学主催「学生通訳コンテスト」
※『通訳翻訳ジャーナル』AUTUMN 2023より転載。

2007年より大学生を対象とした「学生通訳コンテスト」が開催されている。コンテストを主催している名古屋外国語大学の浅野輝子先生にお話を聞いた。

通訳を学ぶ大学生が全国から集い通訳スキルを競う

お話 浅野輝子先生
お話 浅野輝子先生名古屋外国語大学名誉教授

あさの・てるこ/名古屋外国語大学名誉教授。学生通訳コンテストコーディネーター。大学卒業後、ISS同時通訳養成所に通う。その後通訳者として活躍した経験を持つ。現在、名古屋地方裁判所、高等裁判所法廷通訳人。愛知県弁護士会登録通訳者。「あいち医療通訳システム」推進協議会副会長。医療通訳養成講座専門家委員を務める。

参加した学生がお互いに刺激を与え、通訳を学ぶモチベーションを高める機会に

名古屋外国語大学が主催している「学生通訳コンテスト」は、全国外大連合連携事業の一環として開催されているもので、通訳を学んでいる大学生が全国から集い、パフォーマンスを披露して通訳スキルを競うコンテストだ。2007年のスタート以来、毎年開催され、昨年で16回を迎えた。(2023年当時)

「2004年に名古屋外大に現代国際学部が開設され、通訳クラスが設置されました。それを機に、学外に開かれた通訳コンテストを開催できないかと考え、全国の外国語系・国際系の大学にお声がけしたのが本コンテストの始まりです。大学での通訳教育を通して身につけた知識やスキルを他大学の学生の前で披露することで、参加者がお互いに刺激を与え、通訳を学ぶモチベーションを高めてほしいという思いがありました」

本コンテストは、各大学で通訳教育を行っている教員が推薦する形で出場者が決定する。第1回のコンテストには8大学が参加し、会場の名古屋外国語大学で10人の参加者がパフォーマンスを披露した。第3回以降は原則1大学につき1人が本選に出場することになり、毎年12人程度の参加者が通訳スキルを競っているという。コロナ禍前は対面での開催だったが、2020年以降はオンライン形式を採用している。

各大学内での出場者選定方法は、担当教員に一任されている。予選を行う大学もあれば、担当教員がモチベーションの高い学生に声をかけて推薦するケースもあるということだ。名古屋外国語大学の場合は、コンテストの2カ月ほど前に予選を行い、本選に出場する学生を選出している。毎年、12~13人の学生が応募し、予選を通過した1人が本選に進んでいる。

浅野輝子先生
通訳コンテストの会場であいさつをする浅野先生。

正確性・表現の適切さ・プレゼンテーションの3点で審査

第16回コンテストは2022年11月26日に開催され、愛知淑徳、神田外語、京都外国語、神戸市外国語、国際基督教、椙山女学園、高崎経済、東京女子、同志社、長崎外国語、名古屋外国語、明海の各大学から12人の学生がエントリーした(当日は11人が出場した)。

本コンテストのトピックは、”Towards Mutual Understanding through Dialogue:Building a society that protects people”「対話による相互理解に向けて ―人間が守られる社会のために― 」で、参加者にはコンテストの2カ月ほど前に12のサブトピックとそれに関連する英語と日本語のキーワードが提示されている。参加者はその情報を頼りにサブトピックの内容を推測して事前準備を行い、当日に臨む。当日は、開会式前にくじ引きを行い、コンテストの出場順と担当するサブトピックが決定する。

「過去には裁判制度や医療制度、コロナなどをトピックに選んできましたが、その時々で注目されている社会問題をメインテーマに取り上げるようにしています。2022年は社会情勢が混沌としていましたので、そのような時代だからこそ対話を重視したいという思いがあり、このトピックに決定しました」

コンテストの内容は、1人が一つのサブトピックにつき、日英/英日の逐次通訳を3回ずつ行うというもの。日本語または英語のネイティブスピーカーが話した内容を、発言の所要時間の2倍の時間内(30秒の発言であれば60秒以内)で訳出することが求められる。3人の審査員による審査は、「情報の正確性」(日英/英日各20点)、「表現の適切さ」(日英/英日各15点)、「プレゼンテーション」(同)の三つの観点で行われる。閉会式では、優勝した神戸市外国語大学4年の上山紀子さんをはじめ、準優勝、第3位、審査員奨励賞の4人が表彰された。

第17回「学生通訳コンテスト」は2023年11月25日に開催される予定で、トピックは”The power of sports”「スポーツの力」に決まった。(2023年当時)

「スポーツと政治、社会、経済など、さまざまなアングルからサブトピックを考えています。コンテスト出場者はオンラインによる参加になりますが、審査員、同時通訳デモンストレーションの先生、講演者は名古屋外国語大学からご参加いただく予定です。ぜひ全国の大学で通訳を学んでいる学生に応募していただきたいと思います」

※『通訳翻訳ジャーナル』AUTUMN 2023より転載。 取材/岡崎智子

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