• プロとして働く

2023.05.31 UP

翻訳者の営業法

翻訳者の営業法
※「新版 産業翻訳パーフェクトガイド」の記事、「通訳翻訳ジャーナル」2021年夏号の記事を再編集

翻訳者の営業活動―産業翻訳者の場合

フリーランスの産業翻訳者としてのスタートを切っても仕事&収入が増えないという悩みはつきもの。
仕事&収入を増やし、稼ぐための方法をさまざまな角度から探ろう。

一番は品質?!

翻訳会社に登録してフリーランス翻訳者として始動しても、なかなか軌道に乗らないというのはよく聞く話。継続して案件を受注し、安定した収入を得るのは並大抵のことではない。今活躍中のフリーランス翻訳者も、仕事を増やすため、収入を上げるために、日々さまざまな努力をしている。

プロの翻訳者が「収入アップに効果的だと思うこと」を聞いた(表1)。一番多いのは「品質を高めること」で、次いで「翻訳のスピード(処理量)を上げる」との意見も多く、翻訳者にとって品質の追求と効率アップは永遠のテーマだ。高品質の翻訳を速く効率よく仕上げることができれば、より多くの案件を請けることができ、おのずと収入は増えていく。
そのほか「翻訳料金の高い翻訳会社を選ぶ」「取引先を増やす」との声も多く、翻訳の成果物にこだわるだけではなく、取引先を厳選したり、数を増やすといった視点を持つことも収入アップには必要なことと言える。

グラフ1
表1/収入アップに効果的だと思うこと

※ 「新版 産業翻訳パーフェクトガイド」より、回答数・産業翻訳者75人

営業活動の実態

産業翻訳者に「営業活動」についてアンケートを実施した。回答者は「営業をしたことがある」人が中心となっている。
「どのような営業活動をしているか」については(グラフ1)、「応募条件を満たしている会社に応募」が一番多い。フリーランス翻訳者にとって「エージェントへの応募」も“新規開拓”なので、“営業活動”と位置付けられる。回答者した翻訳者の75%(56人)が積極的に応募をしている。
“営業の第一歩”は取引先を増やすための「新規への応募」のようだ。また思い切って「応募条件を満たしていない会社にアプローチ」する人も少なくない。

ほかに多いのは「翻訳関連の交流会・イベントに参加」「SNSで翻訳者や通訳・翻訳会社と交流・つながる」などで、翻訳者も同業者との関わりを持つことで、仕事獲得のきっかけを作り、営業活動につなげようと考える人が多いようだ。

また「取引先にスケジュールの空き状況を伝える」の回答が26人で、回答者の35%と多く、既存のクライアントの案件を取りこぼさないようにしていることがうかがえる。

一方で、「周囲にアピール」は14人(19%)、「履歴書・実績表を更新」は8人(11%)に留まり、翻訳者は「周囲へのアピール」はやや控えめのようだ。

営業活動の実態

グラフ1
グラフ1/産業翻訳者の営業活動

※ 「通訳翻訳ジャーナル」2021年夏号より、回答数・産業翻訳者75人