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2024年12月3日(火)、一般社団法人 アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)の年次大会が東京都内で開催されました。会場の様子を一部お伝えします。
【イベント概要】
日時:2024年12月3日(火)10:00〜17:10
場所:東京都港区 AP虎ノ門(オンライン配信あり)
会場参加:97名
オンライン参加:75名
2024年度のテーマは「機械翻訳の進歩と調和」
一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)は、機械翻訳発展のために活動する、研究者、提供者、利用者からなる組織。機械翻訳の課題や、未来に向けた取り組みについて発信するため、毎年11~12月の時期に年次大会を開催している。
2024年度も、自然言語処理、機械学習、産業翻訳など、さまざまな分野で活躍中の登壇者を迎え、「AAMT 2024, Tokyo」が開催された。会場となったAP虎ノ門は参加者で賑わい、オンラインの同時配信も実施された。参加者は会場参加が97名、オンライン参加が75名となった。
プログラム
招待講演①「機械翻訳はどこまでも可能か?」
隅田英一郎 氏(国立研究開発法人情報通信研究機構 フェロー)
招待講演②「日本語大規模言語モデルの進展とオープンモデルの開発取組」
小田悠介 氏(国立情報学研究所 特任准教授)
ダイヤモンドスポンサー ランチョンセミナー
「2024年 通訳翻訳業界AI革新の潮流と感情豊かな次世代ゲームローカライゼーション」
スピーカー 河野弘毅 氏(株式会社ロゼッタ エバンジェリスト)、渡邊麻呂 氏(株式会社ロゼッタ 代表取締役社長)
公募ポスターセッション
・「機械翻訳の品質を迅速かつ包括的に評価する新手法 CATER (Comprehensive AI-assisted Translation Error Rating) の提案」
飯田蔵土 氏(株式会社ErudAite CEO)
・「医薬分野個人翻訳者による、医薬分野AI翻訳サイトの開発」
山本隆之 氏(合同会社クリニカルランゲージ 代表)
・「生成AIを活用した用語抽出」
伊澤 力 氏(株式会社川村インターナショナル 執行役員)
招待講演③「自治体情報の多言語化を支える翻訳資源とテクノロジー」
宮田 玲 氏(東京大学 講師)
プレゼンテーション
「生成AI時代における、エンタメ翻訳領域での活用事例と課題」
関野遼平 氏(Mantra株式会社 ToB事業責任者、米国公認会計士)
「メーカーにおける機械翻訳と翻訳支援ツールの活用事例とAI活用の可能性」
染谷隆一 氏(オリエンタルモーター株式会社 オリム・エンジニアリング・カンパニー 販促支援部 プランナー)
パネルディスカッション
「企業におけるMT活用と生成AIの可能性」
パネリスト:Mantra株式会社 関野遼平 氏、オリエンタルモーター株式会社 染谷隆一 氏
モデレーター:森口功造 氏(AAMT理事・株式会社川村インターナショナル代表取締役)
公募によるポスター展示セッションも実施
今回の年次大会で初めての試みとして、ランチタイム後の時間帯にはポスター展示を利用したセッションが行われた。
公募により参加した3名の発表者が、研究成果や翻訳事業に関するテーマをまとめたポスターを展示し、集まった参加者に向けてプレゼンテーションを行った。
発表者と参加者の距離が近いこともあり、展示内容についての質問が飛び交い、活発な議論が交わされる場となっていた。
一部のセッションの内容を紹介!
招待講演③「自治体情報の多言語化を支える翻訳資源とテクノロジー」
登壇者:東京大学講師 宮田 玲 氏
機械翻訳を活用した多言語文書展開を支援する枠組み・システムについて研究する宮田氏が、自らがメンバーとして関わっている、「自治体」の多言語情報発信支援のための翻訳資源を構築する研究プロジェクトについて伝えた(「円滑な多言語情報発信を可能にする自治体横断型翻訳資源の構築」科研費・基盤研究(B)・23K28378・2023~2026年度)。
同プロジェクトでは、自治体による多言語情報発信を円滑に行うため、個別の自治体の垣根を超えて訳語などの「翻訳資源」を蓄積し、活用することをめざしている。また構築した翻訳資源を機械翻訳や生成AIと組み合わせて活用する方法や、現在までに実施された名古屋市等での翻訳資源の構築・活用の成果が紹介された。
パネルディスカッション
生成AI時代における、エンタメ翻訳領域での活用事例と課題(関野遼平 氏)
メーカーにおける機械翻訳と翻訳支援ツールの活用事例とAI活用の可能性(染谷隆一 氏)
登壇者:【左】Mantra株式会社 関野遼平 氏/【右】オリエンタルモーター株式会社 染谷隆一 氏
AIを活用した漫画の外国語訳を行うMantra株式会社の関野氏と、精密小型モーターおよび制御用電子回路などの開発・製造・販売を手がけるオリエンタルモーター株式会社の染谷氏が登壇した。関野氏による、Mantra独自のツールを使用した漫画翻訳の工程・特徴についての解説、染谷氏による自社内での機械翻訳・翻訳支援ツールの活用事例を紹介する講演ののち、AAMT理事である森口功造氏がモデレーターを務め、3者によるディスカッションが行われた。「企業内でのMT・生成AI活用」における課題や、今後の展望などが話し合われた。
一般社団法人 アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)
https://aamt.info
機械翻訳の研究開発者、製造販売者および利用者の3者で構成される団体。円滑なグローバルコミュニケーションを実現するため、機械翻訳システムの開発・改良・啓蒙・普及を通じて機械翻訳の発展に努める。