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2023.10.05 UP

第6回 「ご注意ください」の英語表現 note

第6回 「ご注意ください」の英語表現 note

今回のキーワード: note

私は紙の辞書が好きで、今でも学習者向け英和辞典(紙版)を愛用しています。note の前には***と記されていますが、これは中学で学習する基本語およそ1200語のうちのひとつであることを意味します。
「中学単語だから簡単」ではなく、すべての意味や例文をじっくりと読むのも楽しい作業です。

● noteの語源:「符号、印」

noteと聞くと「何かを書き記す物」を想像しますが、大元は「符号、印」のことで、ラテン語の nota(印)から来ています。研究社の「リーダーズ英和辞典」には語源も添えられていますので、辞書を引くたびに語源まで確認する習慣をつけることをお勧めします。
さて、note は名詞以外にも動詞としての用法があり、「注意を払う」が冒頭に来ています。複数の語義がどのような順番で並んでいるかは辞書によって微妙に異なりますので、それらを引き比べるのも楽しい作業です。

● noteの関連表現

今回のテーマは「ご注意ください」です。そこで「気をつける」という意味を持つ表現を2つ見てみましょう。

Please take care when opening the overhead compartment.
(上の荷物入れを開ける際にはお気を付け下さい。

口頭で丁寧に注意する際にはこのように please を付けますが、注意喚起を促す看板などを見てみると、Take care と命令文になっていることがよく見受けられます。
乗り物を利用の際にはぜひそこに書かれている英語表記にも注目してみましょう。私たちの周りのものすべてが「学びの対象」になってきます。

You should be cautious about what you say to your client.
(お客様に何を言うかについて気をつけないといけませんよ。

cautiouscareful は同義語ですが、どちらかというと cautious の方が堅い印象を与えます。about のほかに of を付けることも可能です。
名詞 caution は「caut(用心)」と「tion(すること)」が組み合わさっています。単語の成り立ちも調べてみると色々な発見があります。

次は英日通訳に挑んでみましょう。これまで説明してきた日英通訳のポイントを押さえながら、コンパクトで理解しやすい日本語となるよう、意識してみてください。ここでも何度かバリエーションを作り、最適な訳ができたら書き込んでみてください。

Next→英→日 通訳してみよう!

放送通訳者 柴原早苗
放送通訳者 柴原早苗Sanae Shibahara

同時通訳者。獨協大学およびISSインスティテュート講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールドを経て現在はCNNをメインに放送通訳業にも携わる。近年では近年では米大統領選、ノーベル賞、エリザベス女王国葬、テニスATPカップ、G7広島サミット記者会見、ノーベル平和賞受賞ユヌス博士、国会議員連盟の通訳などに従事。通訳や英語関連のコラムも執筆中。