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2024.01.25 UP

第3回 アメリカ大統領選挙でよく使われる英語表現

第3回 アメリカ大統領選挙でよく使われる英語表現

長年にわたり国際会議での各国首脳の通訳をはじめ、国際訴訟・裁判、オリンピックなどで活躍されてきたベテラン通訳者の右田アンドリュー・ミーハンさんが、最新の時事ニュースや、エンタメ、スポーツ、カルチャーなど旬なトピックスに関する英語表現を解説。
知っているとビジネスや国際交流で役立つ&おもしろい! そんな英語の知識をお伝えします。

通訳・翻訳会社ミーハングループの右田アンドリュー・ミーハンです。
2024年は大変な幕開けとなりました。元日に発生した能登半島地震で、犠牲となられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。またご遺族や被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

アメリカ大統領選に関連する英語を紹介!

2024年は大統領選挙イヤー


本コラム「通訳者がレクチャー! 最新ニュースで学ぶ英語表現」では、月に1度、ニュースやスポーツ、エンタメなど、その時々の旬な情報に関連した英語表現を紹介しています。

3回目の今回は、今年2024年に行われるアメリカ大統領選に関連した英語表現を幾つか紹介します。もちろん現在の選挙状況については「神のみぞ知る」なので、主に2020年に行われた大統領選や、2022年の中間選挙などでよく使われた表現などから選んでみました。

まずは、アメリカの選挙によく出てくる基本的な表現を見てみましょう。

上院:The Senate / Upper House / Legislative branch
上院議員:Senator (※複数の場合は Senators)
下院:House of Representatives / Lower house
下院議員:Member of the House of Representatives, Congressman/ Congresswoman
(※複数の場合は Congressmen or congresswomen)
国会・議会:Congress (※選出または指名された代表者による会議の事を意味する)
共和党:Republican Party / GOP = Grand Old Party
民主党:Democratic Party / Democrat
選挙人:Elector

中間選挙のことはMidterm electionといいます。2022年に行われた中間選挙は、Midterm election 2022The 2022 United States Senate elections, The 2022 midterm elections 等と表記されました。

また、大統領選のハイライトである討論会は、今年の場合 the 2024 Presidential Debate 等と表現されます。

与党=Ruling party  野党=Opposition party

上記で挙げたもの以外にも、一般的に選挙で使われる言葉としては以下があります。

選挙:Election
有権者:Voter
立候補者:Candidate
当選者:Winner
投票:vote / poll
投票所:Polling place / Polling booth / Voting booth
投票率:Voter turnout
僅差:(very) small margin (※僅差での勝利:won by a (very) small margin)
超党派:Bipartisan
無党派:Nonpartisan

このほか、与党Ruling party 野党は Opposition party と表現されます。
落選については、例えば “○○ lost the seat in ×××.” =「〇〇は、×××選挙区の議席を失った」と表現する事が多いです。

アメリカ大統領選の仕組みについては、以下動画の説明がわかりやすいかと思います。英語での表現も学べるので、おさらいがてらチェックするのも良いでしょう。

US Presidential Election explained(explainitychannel)

ビジネスでも応用できる「勝利演説」での表現

2020年のアメリカ大統領選で、ジョー・バイデン氏は当選確実となったタイミングで勝利演説を行いました。「勝利演説」は一般的に Victory Speech と英語では呼ばれています。


バイデン氏が勝利演説「分断でなく結束を目指す大統領になること誓う」(毎日新聞)

この勝利演説で、バイデン氏は “I pledge to be a president who seeks not to divide but to unify.” と言いました。この Pledgeと言う言葉は聞きなれない表現かも知れませんが、選挙に立候補して勝利した人が、今後の活動を公約するときなどに良く使われる言葉です。

【表現をCheck!】
I pledge to be a 〇〇 → 私は〇〇になると誓う
who seeks ××× → ×××をめざす

これを1文にすると「私は×××をめざす(または追及する)〇〇になると誓います」となりますが、この表現はビジネスでも応用する事が出来ます。
ビジネスではpledge ではなく、より柔らかい表現(I promiseI swear)を用いて “I promise (or swear) to be a 〇〇 who seeks ×××.” といったふうに使うのが良いでしょう。

例えばリーダーなどに選ばれた際に、“I promise to be a good leader who seeks uniqueness. “(私は独自性を追求する良きリーダーになることを約束します。) とスピーチなどで言うと効果的かと思います。

ちなみに promise は口語でよく使われる言葉で、約束や約束事を意味します。swear は、「本当に〇〇します」というニュアンスの言葉で、宣誓する、宣言する、断言するといった意味になります。
プロポーズをするときなどに “I promise to be a good partner who make you smile.” という言い方もしますが、最初の言葉を I promise とするか I swear とするかで、相手に伝わるニュアンスが異なるので、よくよく考えて選んでください(笑)

every success in office 就任のお祝いに使える表現

なお、先述の Victory Speech / 勝利演説 をしたときは、まだバイデン氏は大統領に就任していませんでした。このような場合、日本語では「次期大統領」と表現されますが、英語の場合は the next President of the United States of America または President-elect と表現されます。

Elect には「投票で選ぶ、選出する」という意味もありますが、この場合は「選挙等で選ばれた就任前の」という意味なので、President-elect = 次期大統領となります。大統領選に勝利した人に対しての肩書として使われることが多く、President-elect ○○(勝利した人の名前)等と表記します。
もちろん the next President of the United States of America と書いても間違いではありませんが、肩書として書くには少し長いので、President-electの方がよく使われます。ちなみに、この 〇〇-elect は次期副大統領にも使えます。その場合は Vice President-elect ○○ となります。

また、バイデン氏が大統領に当選した際に、各国のリーダーから届いたお祝いの言葉にも、ビジネスで使える表現がありました。

【表現をCheck!】
〇〇(国名)wishes you every success in office.

これはとある国のリーダーが送ったメッセージで使われていた表現ですが、every success in office「今後の取り組みすべてがうまくゆくように」と言った意味になります。
ビジネスの場では、新たに就任された方にお祝いを述べるときに “Congratulations to 〇〇. We wish you every success in office.” などと言うことができます。

さて、今年2024年のアメリカ大統領選では、「誰が Victory Speech=勝利演説をするのか?」が最も注目される事柄ですが、通訳/翻訳者としては、「どのような表現や言葉が使われるのか、それをどう訳すのか?」も気になるところです。

ミーハングループのブログでは、トランプ元大統領の暴走で各国の通訳者も大困惑した2020年の大統領選討論会の様子についての記事も掲載しています。ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
・アメリカ大統領選討論会の難しさ。
https://meehanjapan.com/2020/10/21/blog27/

また近年、政治や外交でよく使われる言葉も紹介しています。日本でも最近耳にする言葉ですが、英語本来の使い方なども紹介していますので、あわせてチェック頂ければ幸いです。
・Decoupling・デカップリング / De-risking・デリスキング ~報道から学ぶ英語表現~
https://meehanjapan.com/2023/07/13/blog162/
・レジリエンス・Resilience をどう訳すか ~報道から学ぶ英語表現~
https://meehanjapan.com/2023/07/18/blog163/

★「最新ニュースで学ぶ英語表現」記事一覧はこちら

右田アンドリュー・ミーハン
右田アンドリュー・ミーハンAndrew Migita-Meehan

株式会社ミーハングループ代表。米アリゾナ大学を卒業後、住友銀行ニューヨーク支店に入社。1994年より翻訳者・通訳者としての活動を開始。ニューヨーク、ワシントンDCで住商事件(1997-2001)、山一證券破綻事件(1998-1999)等、大型訴訟案件の通訳・翻訳を担当。2004年より日本を拠点とし、数多くの国際会議、国際訴訟・裁判、オリンピック等で通訳を務める。また翻訳者、スクール・大学院講師としても活躍中。
株式会社ミーハングループWebサイト:https://meehanjapan.com