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2023.05.16 UP

第99回 e-sig/ デジタル時代ならではのもの

第99回 e-sig/ デジタル時代ならではのもの

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

前回の第98回では手書きの署名を意味するwet-ink signatureを取り上げました。今回はそれとは対照的な表現、 “e-sig”を取り上げたいと思います。

勘のよい方であればすでにお気づきのように、“e-sig”electronic signatureを短くして繋げた単語。意味は「電子署名」です。従来は紙上での署名が必須でしたが、デジタルの時代に入り、電子署名も大分広がってきました。e-signaturee-signも同じ意味です。
日本人の中には、“e-sig”をそのまま日本語で「イーシグ」と言う人もいます。

類似表現として“digital signature”や、同じく第98回で言及したwet signatureの対語としての“dry signature”という表現もあるので合わせて覚えておきましょう(ちなみに、あるウェブサイト によると、厳密には上記3つの表現は微妙に意味が異なるようです)。

この「電子」を意味する接頭辞“e-“は、もちろん“e-mail”でも使われていますし、
“e-dictionary”(電子辞書)や、第76回で取り上げたように“Nice to e-meet you”というような形でも使われています。

私事ですが、アメリカで就職した際に、すべてがドキュサイン等を使った電子署名で物事が進んでおり、驚いたものです。日本なら今でも自署と印鑑で押印のところでしょう。進取の気性に富んだアメリカならでは、といったところでしょうか。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:What shall I do next?
B:Just click on the Submit button and apply your e-sig to the document.

A:次に何をすればいいでしょうか?
B:送信ボタンをクリックして、文書に電子署名してください。

ぜひ使ってみてください!

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。