• 通訳

2025.04.16 UP

第191回 JD/DJではありません

第191回 JD/DJではありません

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

転職や採用の話題でよく使う表現!

日本企業の雇用制度は「メンバーシップ型雇用」と呼ばれており、新卒一括採用で、社内異動を繰り返しながらスキルを磨いていくものです。そのベースにあるのが年功序列(seniority)、終身雇用(lifetime employment)です。

しかし現在の日本社会では、メンバーシップ雇用から、欧米型のジョブ型雇用に移行しつつあります。このジョブ型雇用に欠かせないのが今回ご紹介する“JD”という語。
“Job Description”の頭文字を取った略語で、日本語では「職務記述書」、片仮名でそのまま「ジョブ・ディスクリプション」と言われるようにもなっています。職務内容が詳細に記載された文書で、企業はそれに基づいて人を採用することになります。グローバル会議でも略語の“JD”という言葉がよく出てきますので、覚えておきましょう。

“JD”の話題の際に登場するもう1つの略語が“CV”“curriculum vitae”の頭文字を取ったもので、「履歴書」を意味します。「履歴書」の意味ではフランス語の“resumé (resume)”という英単語も良く使われますので合わせて覚えておきましょう。

ちなみに“resumé”の発音は片仮名では「レズメイ」「レジュメイ」に近く、「レ」の部分にアクセントがあります。最後の“e”の上に付いているアクサンテギュは付いていない場合もあるのですが、アクサンテギュのない“resume”を英語で動詞として使うと「再開する」という意味になります。この際の発音は「リズーム」(「ズ」にアクセント)に近くなります。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:How important is a JD?
B:A good JD is critical for finding the right candidates.

A:JDってどの程度重要なものなのでしょうか。
B:しっかりとしたJDは適切な採用候補を見つけるのに欠かせないよ。

ぜひ使ってみてください!

★連載一覧はこちら

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CRO・シミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。日本会議通訳者協会(JACI)認定通訳者、JACI同時通訳グランプリ(学生部門)審査員(2023年~)、コミュニケーターズ土曜学校・通訳講師。モントレー国際大学院(会議通訳 [修士])、立教大学(社会デザイン学 [博士])卒。国連英検・特A級(外務大臣賞)。JACIのHPでコラム「製薬業界の通訳」を、『通訳翻訳ジャーナル』(2022-23年)でコラム「専門分野の通訳に挑戦【製薬編】」を連載。 編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版)、『ジェンダー研究と社会デザインの現在』(三恵社)がある。 立教大学・兼任講師/研究員、社会デザイン学会・理事、文学・環境学会・広報担当役員。趣味は小6から続けているテニス。