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2024.09.20 UP

第183回 loved ones/多様性の時代を象徴する言葉

第183回 loved ones/多様性の時代を象徴する言葉

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

性別などを問わず「親密な人」を指す表現

グローバルビジネスでは多様な背景を持った人たちが集って物事を進めます。その際に欠かせないのが多様性(diversity)の尊重です。欧米ではホリデーシーズンにカードを送り合うのが慣習ですが、その際にも多様性に配慮することが求められます。
ホリデーシーズンで思い出しましたが、第77回では、宗教の多様性に配慮した表現として“Happy holidays!”をご紹介しました。

閑話休題。ホリデーシーズンのカードは同僚にも顧客にも送ることは当然ありますが、同僚だからと言ってどのような私生活を送っているのか、すべてを把握している訳ではありません。顧客はなおさらです。それでも送る際には、その方自身のみならず、近しい関係にある人たちにも心を配り、幸せを願いたいもの。そんなときに使える表現が“loved ones”です。家族であれ恋人であれ親戚であれ、異性同性問わず、その方と親密な関係にある人たち全員をまとめて指す言葉です。カードを書く機会があればぜひ使ってみてください。

なお、同様の表現に“significant others”があります。社会学や心理学では「重要な他者」と訳されますが、一般的な文脈で使われた場合は“loved ones”とほぼ同様の意味合いを持ちます。少し硬い響きのある表現ですが、合わせて覚えてしまいましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

(12月に送る同僚宛のホリデーシーズン・カードのメッセージとして)
“I wish you and your loved ones very Happy Holidays!”
「貴方、そして貴方の愛する人たちが皆、楽しい休暇を過ごされるよう願っています!」

ぜひ使ってみてください!

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森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CRO・シミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。日本会議通訳者協会(JACI)・認定通訳者。立教大学(社会デザイン学 [博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳 [修士])卒。国連英検・特A級(外務大臣賞)、英検1級、全国通訳案内士。JACIのHPでコラム「製薬業界の通訳」を、『通訳翻訳ジャーナル』(2022-23年)でコラム「専門分野の通訳に挑戦【製薬編】」を連載。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版)、『ジェンダー研究と社会デザインの現在』(三恵社)がある。 立教大学・兼任講師/研究員、社会デザイン学会・理事、文学・環境学会 役員(広報)。趣味は小6から続けているテニス。