ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
R・A・C・I、何の頭文字でしょうか?
グローバルビジネスでは、数社が協働して物事を進めて行くケースが多いものです。その際には各社がどのような役割を担うのか、明確に分担しておくのが成功の鍵です。今回ご紹介する略語“RACI”はそんな時に役立つ表現です。
“RACI”は「レイシー」と読み、Responsible(実行責任者)、Accountable(説明責任者)、Consulted(協議先)、Informed(報告先)の頭文字を取ったものです。
タスク毎にRACIを各社に割り当てておくことで責任の所在をはっきりさせ、役割分担を明確にすることができます。そのようにして作成した表は“a RACI chart”や“a RACI matrix”などと呼ばれます。基本的には“R”を割り当てられた会社(場合によっては人物)がそのタスクを責任持って完了することになります。
なお、“RACI”ほどには細かく分担決めをするわけではなく、単に「役割と責任(範囲)」という意味では“roles and responsibilities”という表現もよく使われますので、合わせて覚えておきましょう。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:We need to clarify our roles and responsibilities.
B:Sure. Let’s create a RACI chart then.
A:われわれの役割と責任範囲を明確にしないといけないね。
B:確かに。ではRACI表を作りましょう。
ぜひ使ってみてください!
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日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CRO・シミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。日本会議通訳者協会(JACI)・認定通訳者。立教大学(社会デザイン学 [博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳 [修士])卒。国連英検・特A級(外務大臣賞)、英検1級、全国通訳案内士。JACIのHPでコラム「製薬業界の通訳」を、『通訳翻訳ジャーナル』(2022-23年)でコラム「専門分野の通訳に挑戦【製薬編】」を連載。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版)、『ジェンダー研究と社会デザインの現在』(三恵社)がある。 立教大学・兼任講師/研究員、社会デザイン学会・理事、文学・環境学会 役員(広報)。趣味は小6から続けているテニス。