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2023.10.30 UP

第169回 Sorry to bug you/パソコンのバグではなく・・・

第169回 Sorry to bug you/パソコンのバグではなく・・・

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

メールやチャットなどで相手に突然連絡する際に、文頭で「(お忙しいところ)お邪魔してすみません」という意味で“Sorry to bother you.”という表現が使えることは学校英語で習ったかと思います。ただし、“Sorry to bother you.”だと、特に仲の良い同僚に対しては少し堅いイメージがあります。

そこで今回ご紹介したいのがこの表現、“Sorry to bug you.”。この表現に最初に触れたのは20代の前半で、上司(ヨーロッパ人)とクライアント(ヨーロッパ育ちの日本人)がやり取りしているメールの中でのことでした。私はCCに入っていただけなのですが、クライアントの冒頭の文章が“Sorry to bug you.”から始まっていたのです(ちなみにその上司とクライアントは旧知の仲)。“bug”は学校英語で習った「虫」の意味しか知らなかったので慌てて調べたところ、動詞で「うるさく悩ます」「邪魔をする」という意味があることを知りました。それに“Sorry to”が付いていますから、“Sorry to bug you.”で「お邪魔してすみません」という意味になります。人間中心主義的ではありますが、「虫」には人間をうるさく悩ませるイメージがあるからでしょうか。そういえば「うるさい」も漢字では「五月蠅い」と書き、「蠅」の文字が入っていますね。

なお、IT・パソコンの文脈で“bug”と言えば、パソコンのプログラムの欠陥である「バグ」を指します。また「バグを修正すること」は、(バグが修正され、その存在を否定するかのように)否定の接頭語“de”を頭につけて“debug”(デバッグ)と言うので合わせて覚えておきましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

(社内チャットでのやり取りで)
A:Hi Claire, sorry to bug you.
B:No problem, what’s up?

A:クレア、仕事中にごめん。
B:大丈夫、どうしたの?

ぜひ使ってみてください!

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森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CRO・シミックのシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。立教大学(社会デザイン学 [博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳 [修士])卒。英検1級、全国通訳案内士、国連英検・特A級(外務大臣賞)。日本会議通訳者協会(JACI)のHPでコラム「製薬業界の通訳」を、『通訳翻訳ジャーナル』(2022-23年)でコラム「専門分野の通訳に挑戦【製薬編】」を連載していた。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版)、『ジェンダー研究と社会デザインの現在』(三恵社)がある。 立教大学・兼任講師/研究員、社会デザイン学会・理事。趣味は小6から続けているテニス。